039
人数が増えたので食材の供給も増える。食事当番と食材当番でローテーションする事にした。
女性陣で3班に分かれてもらい、1班は休みにする。
32名での班分けだが、1班10名、隊員さんは数に入っていない。
小麦粉作りは俺の仕事、無くならないで良かった。男達は更に仕事が無くなる。脱穀も食料班で補うそうだ。油作りも渡さないよ。
家を建てるの頑張ったから、酒作ろう、酒。酒樽を頼まれたけど、他は必要ないの?
「まだ調べてないよ。」叶井さん
「蒸し器とか桶とか布とか必要ないの?」俺
「急いで調べましょう。」田垣さん
「調理酒に使いたいから、早くお願いね。」のぶえさん
「10代には飲ませませんよ!」真希絵さん
「ワインもいいわよ。」チーちゃん
「そうね、赤ワインの煮込みも作りたいわね。」雪乃さん
夜はドラゴン肉でBBQとなった。
隊員さんも含め58名だ。
6個のテーブルに鉄板が必要だな、60cm×2mの鉄板を造りテーブルに並べる。
肉はカウンターに置いてセルフだ。野菜とキノコも焼いて食べる。マツタケを丸ごと1本、贅沢だ。
若者3人よ、さり気ないアピールのつもりだろうが、10代に偏ってるぞ。廻りの20代の目が怖いよ。
「お前ら、そんな色目使ってもダメだぞ。ここで一番の売れ筋が残ってるからな!」
「オヤジ、誰だよそれ!」
「地主さんに決まってるだろ。強くて総理にコネがあって経済力がある。
無人島で一人、100年でも生きていける経済力だぞ、敵うわけないだろ。
その地主さんが一人なんだ、狙いは地主さんだよ。」
いやいや、若すぎるだろ皆。
「オヤジ、それ、言ったらダメだろ・・・」
「えっ!そうか?」
「気づいてないだろ、来たばかりなんだから!」
「そうか、知らないよな、忘れてくれ。」
遅いよ。でも隊員の3名さん、叶井さんの言葉に頷くのもよく無いぞ、男の隊員さんが俺を睨むから。
「休みの日に訓練に参加してもいいですか?」
松木愛結ちゃん16才だ。
「訓練ですか?理由を聞いても?」吉俣君
「強くなりたいです。自分も廻りも助けられるように強くなりたいです。
こんな世界にした魔物を倒したいです。
これからずっと魔物と戦わないと生きていけないなら戦います。」
数名のお嬢さんが頷いている。
「4名は何階層まで進んでますか?」俺
「現在、3階層です。」吉俣君
「新人さんとレベル差があるので俺が居る時限定で訓練しましょう。」俺
「え~一緒がいいな。」昌君
「隊員は2名残りますが、1名で4名の対応は難しいです。」吉俣君
にやけていた3名は悔しそうだ。
「これから装備を作るのでサイズを教えて下さい。」
「えっ!サイズですか・・・上から8「違う!洋服のサイズ!」」
そのサイズではないよ。
「S、M、Lでいいので教えて下さい。その時に袖を長めとか、股下何cmとか詳しく言ってもらえれば調整しますので。
「あれ、俺たちの時と違うよ、俺たちはいろいろと計ってつくったけど。」
「流石に俺が触って計って合わせていたら、問題だからね。」
「優良物件なんですよね?それならお願いします。」
他の数名も頷いている。
「いやいや、後からでも調整するから数値でお願いしますね。」
「地主さん、全員纏めて計ればいいんだよ。俺も手伝うよ!」
「あ・な・た!」
夕食後にジャージのサイズと緩い、きつい、短い、長いを書いてもらう。
部屋でゆっくり作ろう。
翌日は朝食後に裾野に行った。
出発前に装備の熊皮を渡しておく。
「総理、ご迷惑をお掛けしました。」
俺は頭を下げた。きっと根回し等大変だったかと思っていたので。
「勅使瓦さん、こんにちは。今日はどうされました?」
「お約束していた装甲車の改造にきました。」
「ありがとうございます。車両は敷地の外なのですが、装甲車で案内します。」
「いえ、場所だけ教えてもらえば収納してきます。」
「では見取り図に印をつけます。」
「ところで、中部や関西、他の主要都市はどうなってますか?」
「こちらへの移送を希望しています。ヘリや飛行機は使えないので、装甲車で搬送する計画です。」
「それならバスを改造したほうが人数運べませんか?」
「バスだと強度が問題になりませんか?」
「前回作ったバスの外板は鉄でしたが、装甲車と同じミスリルにすれば強度は変りませんよ。」
「しかし、バスがありません。」
「借用書ではダメですか?」
「今用意します。お願いします。」
装甲車は10台に減らしてバスを20台にした。ミスリルは余分に採取してあるので足りるだろう。
借用書をもらい周辺からバスを20台集める。観光バスの会社を見つければ一気だった。
戻って、装甲車の置換を始める。要領は覚えているので簡単だった。
バスは外板とタイヤを変換して、左右の窓もミスリルで塞ぐ。
前後の窓は目の細かい鉄の網をミスリルで圧縮変換して錬金で取付する。
出来上がったバスに隊長さんが火弾を打ち込む。無傷、当然だよ。
バス20台、1000人が移動できる。護衛は装甲車10台だ。
「これで救出に向かえます。ありがとうございます。
借用書も用意したので、必要に応じて使って下さい。」
「ありがとうございます。」
「先日の女性達は勅使瓦さんの所に身を寄せたと聞きました。
ありがとうございました。
これを見ていただけますか。」
総理が出してきたのは藁の敷物だ。
「家は土間なので稲を刈って出た藁を編んで敷物を作っています。
草履もできています。入聞や立河、厚林にも教えています。」
「これはいいですね、俺の家にもほしいですよ。戻ったら編んでみます。」
これがあれば土間でも暖かいな、凄いな人って。
「勅使瓦さんの所に名前を付けていただけませんか。
呼び方に困っています。各所で好きな名前で呼ぶので。」
マスコさんが言ってくる、久しぶりですね。
「名前ですか?ん~適当に呼んでください。」
俺も敷地って言ったり俺の家っていったりして統一感は無いな。
戻って、ここか、名前が無いとこまるのは・・・
「戻って名前は皆で考えてみます。」
そう言って戻る事にした。
夕食後に装備を作った娘が並んでサイズ変更を申し出てくる。全員だ
高沢美奈子 胸がきつい。肩幅を狭く。袖を短い。
坂東彩夏 胸がきつい。お腹が緩い。
重田由香里 胸が緩い。肩幅が広い。袖が長い。
井本成美 お腹が緩い。袖が短い。丈が長い
川井沙樹 胸が緩い。
江頭照 袖が長い。
沢田勝美 胸がきつい。袖が長い
松木愛結 胸がきつい。丈が長い。袖が長い。肩幅が広い。
そうですか、修正します。置いて下さい。
「着てる姿で確認しなくて大丈夫ですか?」愛結ちゃん
「何回でも修正するので結構です。」
触らないよ。
夜、部屋で修正を始める。マジックで名前を書いてもらい正解だよ。
しかし、名前が覚えられない。年取ったな・・・
朝食後に装備を渡し、
「不備があったら修正するので夕食後にお願いします。」
その後はミスリルの採取をしたら、訓練だ。
1階層でネズミと戦ってもらう事になる。
今日の休みは
高沢美奈子
重田由香里
川井沙樹
3人だ。ネズミを見てギャーギャー言ってる。
「静かに!ネズミが嫌いなら出て行って下さい。
この先にはミミズも蜂も蜘蛛も居ます。
好き嫌いで騒ぐなら帰って下さい!」
他の人に任せなくて正解だ。
女子会のノリで騒がれたら堪らない。
「すいませんでした・・・」
美奈子ちゃんが頭を下げると2人も一緒に下げる。
「では注意事項から始めます。」
ネズミの説明と戦い方を説明する。
3匹の足を切断してとどめを刺してもらう。
3人にレベルが発生する。
使ってる剣はミノタウルスの角製だ、斬れない事は無い。
だが、無駄に力が足りず、殺せない。
「もっと力を込めて、しっかりと刺して!」
やっと殺して、次に行きます。同じ事を繰り返す。
1階層のネズミが居なくなったので終了とした。
「生き物を殺すって事が分かりましたか?
しっかりと考えて今後も訓練を続けるか決めて下さい。
今の状態では訓練を続けても無意味です。」
しっかりと言う。生半可な考えでは生き物は殺せないからな。
ダンジョンから出ると昼を過ぎていた。
トシ君たちはこれからダンジョンに入るところだ。
「お疲れ様です。初ダンジョンはどうでしたか?」
山守さんが言うと
「「「・・・・・」」」
少し涙目で俯いていた。
5人は黙ってダンジョンに入っていった。
ダンジョンの中で
「山守さん、何があったと思いますか?」昌君
「そうね、生き物を殺してショックだったのかな。」
「女の子ですからね~、生き物殺して平気でいられたら困ってしまいますね。」コウ君
「そんなの嫁の貰い手が無くなるっての!」カズナリ君
「私は嫁の貰い手が無いと言いたいのね、分かったわ。
今日の3階層はサポート無で行きましょう。怪我は魔法で回復するので死ぬまで訓練できるわ!」
「「「・・・すいませんでした!」」」
トシ君は女の怖さを知ってるので黙っていた、正解だったようだ。
食堂では休みの女子陣だけでなく、調理中の人も集まっている。
「何があったの?」のぶえさん
3人がダンジョンの中での事を説明する。
「そう、殺せなかったの・・・なら訓練は中止ね。」のぶえさん
「そんな言い方しなくても、ソフトに言えば。」夕布子さん
「でも、事実よね、これから訓練を続ける覚悟があるなら別だけど。
続けられないから、ここに座ってるのよね。」光希子さん
「「「・・・」」」
「三人は少し考えたほうがいいわね。」優香子さん
「今日は休んで、明日からの作業をお願いね。」
三人は部屋に戻っていった。
「殺す事って大変な事ですか?」倉田さん
「生きた魚をさばいた事はある?」
「気持ち悪いので触れませんし、殺すのは嫌です。」倉田さん
「それ以上だと思うわよ、剣で殺すのは。」のぶえさん
「ゴキブリもハエも殺せない人には無理よね。」響子さん
「他の希望者も覚悟を決めて訓練をする必要があるわね。」のぶえさん
「さあ、食事の準備を続けましょう。」優香子さん
俺は会話を横目におにぎりを食べていると
「このくらい太い神経でないと務まらない事なのよ!」
のぶえさんが叫ぶ。
「少しは遠慮して席を外せばいいのに!」
優香子さんにも言われる。
俺は午後から脱穀セットと厨房セットを作っていた。
中部への救援が帰ってくれば必要になるからね。
それぞれ300セットを作る。
あとは・・・家か・・・
夕食の後に家を1000棟作り、部屋に戻る。
家の前でチーちゃんが歩いてくるのが見える、風呂の帰りかな。
「今晩は、ダンジョンに行っていたのですか?」
「そう、家を作って来たんだ。おやすみ。」
「後で伺ってもいいですか?」
「・・・いいよ。」
その晩、チーちゃんと一夜を共にした。
子供が起きる前にチーちゃんは戻った。
朝食後、今日のメンバーに確認する。
沢田勝美
松木愛結
この2名だ。
「昨日の話は聞いていると思いますが、大丈夫ですか?」
「はい、問題ありません。」
2人が頷く。
昨日と同じように説明し、ネズミの足を斬りとどめを刺してもらう。
愛結ちゃんは一撃で首を切り落とす。言い出した事はあるな。
勝美ちゃんも躊躇いなく突き刺している。
俺が1匹を数回躱し、動きを見せてから斬る、見本を見せたのだ。
「真直ぐな動きだから、上か下、よく見て躱してみて。」
愛結ちゃんがネズミと戦う。
ネズミの動きについていけず、噛まれそうになるが水球で弾き飛ばす。
「良く見て!飛ぶのは手前からだよ!」
足元に来るネズミを躱した。飛んでくると躱しきれないので水球だ。
何回か繰り返すと、躱す事はできるようになったので風刃で倒しておく。
勝美ちゃんは愛結ちゃんの動きを見ていたため、動きがスムーズだ。
躱す事はできるようになった。
「次は躱したら斬る、見てて。」
俺は数回躱した後に、ネズミの前に剣を出す。ネズミが斬れていく。
「前に出すだけでも斬れるから、試してみて。」
今度は勝美ちゃんからだ。剣を出すが位置が違うな。
「良く見て、ソフトボールとバットだと思って!」
勝美ちゃんは頷くと、ネズミに向けて剣を振っていく。一発で当たった。
次は愛結ちゃん、問題無く斬っていた。
「今度は躱さずに1回で倒して!」
2人は後退しながら倒していく。1回ではないが倒しているので慣れだな。
回数をこなす度に動きがスムーズになっていく。
「昼めしにしよう。」
3人で食堂に向かうと、視線が集まる。
「大丈夫ですよ、泣いてません!」愛結ちゃん
「まだ少し早いので待っててね。」チーちゃん
「分かったよ。」俺
「地主さん、話方が変わったな?」
叶井さんが後から言う。
「そうですか?変わってませんよ。」俺
「いや、変わった!チーちゃんだけ言葉が違った!」
「気のせいですよ、食事の用意ができていますよ。」
チーちゃんが厨房の中から言ってくる。
昼食後は3人で再びダンジョンだ。
「ボス部屋は3匹だから1匹は俺が倒すけど、1対1で戦ってみて。」
俺は1匹を風刃で倒して2人を見守る。
数回躱してから、愛結ちゃん、勝美ちゃんの順で倒せた。
「これを1回で倒せるまで繰り返すからね。」
俺たちは何度も入退室を繰り返し、2人は一撃で倒せるようになった。
「次は2人で3匹ね。俺は入らないよ。
最初に2匹を相手する人を決めてから戦って。」
2人で入って戦いを始める。2匹を相手にするのは勝美ちゃん、躱すだけだ。
その間に愛結ちゃんが1匹を倒し、1対1にしてから倒していた。
「慣れてきたら躱すだけでなく、攻撃もしないと。」
2人で3匹は問題なく倒せるようになった。
「次は1人で3匹ね。」
「あの、そろそろ時間かと思うのですが・・・」愛結ちゃん
「お腹がすきました。」勝美ちゃん
時計を見ると19時を過ぎていた。
食堂に戻ると全員が食事を終え、座っていた。
「遅かったですね、問題でもありましたか?」吉俣君
「地主さん、変な事してないだろうな!」叶井さん
「いえ、今日は1階層のボス部屋で2人が3匹を倒すところまで進めたので、遅くなりました。」
「「「「えっ!」」」」
若者4人だ。
「ボス部屋!今日初めてダンジョンで戦ったのですよね?」コウ君
「そうですよ、初めてでボス部屋です。次回は一人で3匹を倒してもらう予定です。」
「・・・早いですね。」山守さん
3人で食事をしてから、俺はミスリルを集めにダンジョンに向かう。
「どんな訓練だったの?」昌君
3人は今日の出来事を報告していく。
「怖くなかった?」沙樹ちゃん
「昨日の話を聞いていたので、大丈夫だった。」勝美ちゃん
「・・・そう、私も次は頑張らないと。」由香里ちゃん
「そうね、一緒に頑張りましょ!」美奈子ちゃん
「我々の進捗より早いですが、勅使瓦さんの教え方が上手なのでしょうか?」吉俣君
「それは本人しか分からないだろ!素人に抜かれるのが心配か?」河合さん
「そうですね、我々もダンジョンでの訓練を追加する必要がありますね。」吉俣君
「しかし、時間が足りませんが。」鈴木君
「今から向かうぞ。全員装備を着用してダンジョン前に集合だ!急げ!」
7人は走って出ていく。
「大変ですね。」有國さん
「そうですね。」鈴木さん
「お前たちはいいのか?お嬢様方より弱いとモテないよ!」叶井さん
「「「・・・」」」




