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ダンジョンマスターは好き勝手に生きたい。  作者: ベルフェゴール
第三章 ダンジョン食物倉庫
33/57

033

裾野は慌ただしい朝を迎えていた。

「総理、勅使瓦氏の居る市長に連絡してみてはいかがですか?」

「そうだな、だが魔物の居る街をどう移動するのだ?」

「・・・」

「隊長、訓練用のダンジョンは使えるか?」

「は、周囲に魔物がいて中に入る事は困難です。」

「君たちでも困難か。」

「何か策でも?」

「当初は魔物の襲撃からダンジョンに避難したと聞いたので、使えないかと思ったのだが。

 ダンジョンまで辿り着けないのではむりか。」

「申し訳ありません。」

「総理、市役所とは交信ができませんでした。」

「そちらも望み薄か、皆、何かできないか考えてくれ。」

そう言って総理は目を閉じた。


俺は三人を倉庫に案内し。

「ここにある物以外で必要な物とあれば便利な物をリストアップしてくれないかな?」

「ミヤのおもちゃは?」

「ミヤ、もう少し我慢してね。」

そうか、おもちゃか、欲しい物も追加だな。でも期待持たせるのも悪いからな。

三人にはリストを考えてもらい、俺は探索で魔物を探る。

20キロ程度まで迫っているが、殲滅しても終わりが無いので様子見だな。

池を見るが変化は無いな、最近は涼しいので水の追加も三日に一回で十分だ。

排水層も匂いは無い。


脱穀機を改良する事にした。

まずは回転だ。羽を作って風を当てれば廻るかな?風車だな。

いや水車を作ってみよう、池の流れで回せるかもしれない。

高さはっと、脱穀機の回転中心は地面から50cmで、回転体が50㎝でと。

棒に1mの羽を8枚刺して穴を開けた板に棒を突っ込んで、羽を水につければ・・・

廻るけど遅いな。ゆっくりとした回転だ。

流れが早くないとダメだな。

ん?門の前に人がいる。4人だ。

水車を収納して門に向かう。

門を開けると鈴木さんと叶井さんが夫婦でいた。

「こんにちは。」

「こんにちは。少しお話したいのですが、よろしいですか?」

「どうぞ。」

食堂に入ってもらった。

「この建物は?」

「1階が食堂で2階が倉庫です。」

叶井さんはあちこちを見て回っている。

「一人で建てたのかい?」

「ええ、一人で建てました。床とか仕切りの壁が無いので簡単でしたよ。」

「・・・これが簡単って、やっぱ魔法はすげ~な。ガラスも魔法で作れるのか?」

「珪砂から作りましたよ。軟化させたのは火魔法ですが。」

「あとで2階も見せてくれるかな?」

「いいですよ。」

「叶井さん、建物の事はそこまでにして話を始めませんか?」

「おぉ、そうだったな。地主さん、ここで生活させてほしいんだが、ダメかな?」

「叶井さん・・・勅使瓦さん、言い方はともかく、どうでしょうか?」

「地主さんって久しぶりに言われましたね。ここで生活するのは構いませんが。

 その前に脱穀をしてみませんか?」

俺は実際に作業を経験してもらう事にした。

「これが脱穀きで稲を当てて籾を落とします。

 臼でついて殻をとります。

とうみで籾殻と穀物を分けます。」

実演しながら簡単に説明する。

「とりあえず2箱分でいいのでお願いします。」

4人で交代しながら作業をしていく。

1時間かからずに終わった。

「どうですか?こういった作業を毎日しないと食事は食べられません。他に刈り入れもありますからね。」

「「「・・・・・」」」

「どうした、黙って、俺はいいよ。毎日農作業でも大工仕事でも。」

「私もいいよ、旦那と一緒に作業するは。」

「鈴木、どうしたよ。」

「私も作業しますが、子ども達はどうかと思って。」

「いやいや、子どもの作業は別にしましょうよ。重労働は男の仕事で。」

「そうですね、私も重労働で音を上げる事は無いですよ。」

「あなたがいいなら私が反対する理由は無いはね。」

「じゃぁ4人で世話になるって事で。」

「子供を忘れてるわよ!」

「おっと、7人?とにかく2家族、よろしく頼むよ。できればトシも頼みたいが。」

「トシ君、いいですね。若い力は必要です。」

「ありがとうございます。安心しました。」

「外はどんな感じなのですか?」

「特に変わりませんが、食料の販売間隔は伸びてますね。」

「水は?」

「そういえば貯水槽があったな?地主さんが作ったのか?」

「ええ、水の供給まで含めて、何とかなりました。」

「そうか、悪かったな設計できなくて。」

「水は役所で給水と一日一回、1時間だけ水がでるので汲み置きです。」

「そうですか、汲み置きですか。大変でしたね。」

「ちょっとトシを呼んでくるわ。」

叶井さんはトシ君の家に行ったので、チーちゃんを呼んで話をする。

奥さん方とダンジョンに行って野菜の収穫方法を教えるよう頼んで、鈴木さんと二人になる。

「本音で言えば生活が厳しくなってきました。このままでいいのか?悩んでました。」

「そうですか、厳しいですか?」

そんな話をしていると叶井さんが戻ってきた。

「連れてきたぞ、話はしておいた。大丈夫だ。」

「親方から話は伺いました、お世話になります、よろしくお願いします。」

そういってトシ君は頭を下げた。まだ食堂の水回りは手付かずだったな。

4人で今後の予定を話始める。

「まずは3軒の家を建てる事からですね。」

「そうですね、家ですが大丈夫ですか?」

「あのキットはまだあるかい?あれなら手順も覚えているので早いが。」

「ありますよ、あと9軒分あります。」

「そんなにか?髙かったろ?」

「1軒買って魔法でコピーすよ。」

「やっぱ魔法は便利だ、俺も使えるようにならないかな?」

「ダンジョンで魔物と戦えば使えるようになりますよ。」

「なら止めとくか。」

「叶井さん、何日くらいで建てられますか?」

「そうだな、4人でやれば1日1軒、いけるか?トシ?」

「ギリギリですね、2日にしましょう。」

「そういう事だ、2日で頼む。」

「勅使瓦さんはどうですか?」

「建てるにあたり前にも話ましたが、食事と風呂をどうするか?ですね。」

「そうですね、前の話ではこの食堂を利用する予定でしたね。風呂も浴場を作る事になってましたし。」

「後は他に人を増やすかにもよるのですが。人数が多くなると食料の分配や火力も必要になるので。 

 可能であれば一か所で済ませたいですね。」

「俺はいいけど、何か問題でもあるのか?」

「問題は無いですね。」

「僕もいいですよ、彼女も大丈夫です。」

「よし、話は決まった。明日から家を建てるぞ、トシよろしくな。」

「井戸を見せてもらっていいですか?」

「ええ、行きましょう。」

4人で井戸を囲んで

「この筒を囲んでいるのが井戸に風を送るパイプです。

 井戸に風で圧力を掛けると水がこのパイプを通ってこの筒に入ります。

 囲んでるパイプには火魔法で温めるようになっいて水を沸騰させます。

 沸騰した水が水蒸気となってこちらの貯水槽に入ります。

 途中のパイプに氷魔法で水蒸気を水滴にしています。

 貯水層に上まで水が溜まると、この桶に水が入り、重さで風と火の魔法が止まります。

 桶と貯水槽を繋ぐパイプにはバルブがあって、貯水層に水があると閉まり、無くなると開きます。

 バルブが開くと桶の水が無くなり魔法が発動して水の供給が始まる。

 といった感じの供給部です。」

「「「・・・・・」」」

三人とも黙っている、変な事言ったか?

「細かい事は分からないが、これで水は無くならずに済むんだよな。」

「凄いですね、これを一人で考え作ったのですか。」

「僕も難しい事は解りませんが、凄い事はわかります。」

「池もあったが、あれも作ったのか?」

「流れる池にしてニジマスとオイカワを入れてます。繁殖できればいいのですが。」

「ニジマスの養殖ですか?川では自然繁殖していないと思いますが。」

「えっ!繁殖しないのですか?」

「河川のニジマスは放流ですよ。」

「残念、魚を食べたくて作ったのに。」

「オイカワは大丈夫だと思いますよ。ニジマスに稚魚が食べられないように分けたほうがいいかもしれませんね。」

「いや、ニジマスは食べてしまいましょう。」

そんな話をしていると奥様方が戻ってきた。

「明日は家族で来て下さい。昼食を一緒に食べましょう。」

そう言って5人が帰った。

チーちゃん達と食事のあとに食堂に手を入れたいが、明日、奥様方の意見を聞いてからにしよう。

午後は部屋で漫画を読んで過ごした。


5人はというと

「他の人はどうしますか?親戚とか。」

「俺の兄弟は遠いから連絡もつかない。連絡があれば誘ってみる、そんな感じだ。おまえの兄弟は?」

「妹に話したけど、来ないって言ってた。今は状況が違うので来るかもしれないけど。」

「俺は若い者、二人を呼びたいな。」

「あの二人ですね、大丈夫ですよ、彼らは解ってくれますよ。」

「私の兄弟には話をしてみる考えです。」

「貴方の兄弟と私の兄弟、そんなに増えても大丈夫かしら。」

「そこが労働の話だろ、人が増えれば労働力も必要になる。なら働いてくれる人がいいに決まってる。」

「勅使瓦さんが言っていたのは、そのことですよね。一人で楽する人でなければ大丈夫ですね。」

「僕の親は大丈夫でしょうか?」

「どこに住んでるだ?」

「町内ですよ、普通のサラリーマンですが。」

「問題ないだろうよ、親御さんは働かない人なのか?」

「働く事を拒否する人間とは違います。」

そんな話をしながら歩いていた。


チーちゃんも考えていた。

姉と兄に話をするかを。

シングルマザーになって二人からは連絡が無くなっていた。

親は他界していて頼れるのは二人だったのだが、電話にも出てくれなくなっていた。

恨みは無いが、助言や話を聞いてくれるだけでもよかったのに。考えても答えはでない。

それより畑で言われた事を思い起こしていた。

「勅使瓦さんとはどうなの?」

叶井さんからの話だった。

「私も気になってたのよ。どうなってるの?」

「・・・別に何もないです。」

「「いやいや」」

二人が一緒に答える。

「男と女が二人でいて何もないって、本当に?」

「断られました・・・」

「「えっ!」」

「だ・か・ら!、断られました、2回も。」

「「えぇ~~!」」

双子かよ。

「断られたって女嫌いなのかしら?」

「そうかもしれませんね。チーちゃんが魅力無いわけではないので安心して。」

「ぐっ・・・」

「そんな事言ったら失礼ですよ、魅力ありますよ。」

鈴木さん、フォローになってないです・・・魅力無いかな私。

いろいろと心労が激しいチーちゃんでした。


家の建設が始まった。食堂の前だ。

俺は食堂の配置を奥様方と考えていたが、長くなりそうなだった。

シンク、鍋、鉄板、釜、カウンター、返却棚、収納から出して建築現場に行った。

叶井さんの指示で俺が材料を運び、鈴木さんとトシ君で固定していく。

子供たちは食堂に行ったり建築現場にきたりウロウロとしている。

叶井さんの息子はアオイちゃんとミヤちゃんに着いて廻ってる。ストカーでは無いよ、見張りだよ。

「そろそろ昼だけど、作ってるか?」

叶井さんが息子に聞く。

「話してるよ。」

「昼飯作れって言ってこい。」

「了解!」

鈴木さん、トシ君彼女が走ってダンジョンに行った。

今日中に厨房の配置が決まるといいが。また集中して作業を始める。

「お昼ができましたよ。」

声が掛かったので食堂に行く。

おにぎりと果物が置いてあった。厨房が無いのだった。忘れてた。

「海苔は無いの?」

アオイちゃんの素朴な疑問だ。

「申し訳ない、買っていなかった。」

足りない食材も多い。

「ミヤ、海苔なくてもおにぎり美味しいから好き。」

「ミヤは海苔嫌いでしょ。」

「えへへへ。」

二人には癒されるな。このまま成長しないでほしい。


その後も作業を続け、もう少しといった所で終了した。

厨房の配置は決まっているが、明日まで固定は保留になった。

夕食用に大鍋でカレーを作り、倉庫にあった鍋に移して持ち帰りとなった。お米も。

俺はチーちゃん達と食堂で食べて風呂をどこに作るか考えていた。

食堂の横でいいかな。

風呂は2×8m、深さ50cmかな。段も付けて子供でも入れるようにする。鱗で2個作り収納しておく。


家の建築、2日目

俺は食堂の水回りに取り掛かった。小さめのシンクを二つ追加して壁際に指示通りに並べる。

「ちょっと待ってね。」

叶井さんに言われて中断となる。4人が動き回り動線の確認か?本格的だな。

長くなりそうなので

「昼食の用意、お願いしますね。」

そう言って建築現場に行って作業に加わる。昼前に建築は終わり、中で壁紙を貼る作業を始める。

誰の家かで決着がつかず、

「壁紙は全て同じ、このクリーム色で統一します。張り替えは後日で!」

俺が決めた。全員が頷いた。

「そろそろ飯時だが、どうだ?」

俺の顔を見てどうだって言わないで叶井さん。4人で食堂に行くと

「「「「牛丼だ!」」」」

昨夜、チーちゃんにバッファローの肉を渡した事を思い出した。夜に作っておいたのだろう。

だが、久しぶりの牛丼は美味しかった。午後は壁紙とフローリングを貼りだ。

チーちゃんの家を建てた時はフローリングが無かったからな。後日貼る事にした。

作業が終わる前に厨房の配置が決まり、水回りの作業を始める。パイプを固定して蛇口を取付していく。

貯水層から太いパイプで食堂に繋いでいくが、貯水槽と繋ぐ時に水が大量に漏れたが魔法で止めて完成した。

食堂で蛇口を捻ると水が出る。全ての蛇口を全開にしても勢いは変らない。

しかし、各家庭に飲料水を繋ぐのは無理かな。排水溝や他の家との干渉がある。

貯水層を見ながら考えていると鈴木さんが

「これを全ての家に繋ぐのは厳しくないですか?」

「今、同じ事を考えてました。食堂の外にも蛇口を追加して・・・悩みます。」

「この貯水槽は食堂専用にして家庭用は一緒に考えましょう。」

「飲料水の供給は諦めませんよ。」

その日の作業も無事に終わった。


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