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ダンジョンマスターは好き勝手に生きたい。  作者: ベルフェゴール
第三章 ダンジョン食物倉庫
32/57

032

朝はおにぎりだった。

食材はあるが調味料は少ないのだ。

俺は塩、胡椒、味噌、醤油を出すが油が無い事に気づく。

台所にあるだけだ。困ったな。


急いで家を建て始める。

キットを広げて試行錯誤しながら組み上げていく。

柱を間違ったり壁を取り違えたりして遅々として進まない。

ふう~叶井さんに頼るか?手伝ってくれるかな?

子ども達のリクエストで今日の昼はカレーだ。

俺は鍋を出して

「出かけてくるので先に食べていて、これでお米もお願いします。」

釜の使い方を教えて、叶井さんの家に向かう。

「こんにちは、叶井さん居ますか?」

「勅使瓦さん!?こんにちは。あなた勅使瓦さんよ。」

「良くきたな、上がってくれ。」

「お願いがあってきました。家を建てるのを手伝ってくれませんか?」

「家を建てるだ?どこに?」

俺はチーちゃんが来た事を話して、早急に一軒の家が必要な事を説明した。

「いいよ、待ってな。」

そう言って中に入り、道具袋を担いできた。

「行こうか。」

二人で家に向かう。

「悪かったな、協力できなくて。」

「いえ、気にしないで下さい。」

「でも準備不足なんだろ。」

この人、結構分かってるな。

「まあ、でも大丈夫ですよ、何とかなります。」

キットを見て

「これだけでは分からないよな、完成図か写真あるか?」

収納からパンフレットを出して

「このタイプの家です。」

「なるほどな・・・」

部屋の中の写真もあるので材料と写真を見比べている。

「ちょっと部屋に行ってきますね。」

部屋に戻って

「叶井さんが来てくれたので、昼は外で食べませんか。」

「はい、料理を運びますね。」

俺は鍋と釜を収納に入れ、サラダも収納に入れてしまった。

「あっ!」

何か言いたそうだが

「外で待ってますね・」

そう言って出てきた。

テーブルと丸椅子を出して叶井さんを呼ぶ。

「叶井さん、食事にしましょう。」

「・・・ああ、そんな時間だったか。」

カレー皿とサラダを収納からだして並べていく。

三人も来たので食事を始める。

「いただきます。」

「おっ、美味いな、このカレー。」

「じゃがいも切ったのミヤなの。」

「私も手伝ったわ、今日のサラダは私が切ったのよ。」

二人がお手伝いの報告をしてくれる。

「で、どうなんだ、ここの生活は。」

叶井さんがブッコンでくる。

「準備不足は否定できないですね。畑の食材と蓄えた食材で過ごす事はできますが・・・

 卵や乳製品はダンジョンでは手に入らないし、今まで通りには無理ですね。」

「そうか、俺や鈴木、ナカモトが手伝っていれば変ったか?」

「どうでしょう、畜産関係は解りませんが、ん~解りませんね。

 俺も作物を探して外出ばかりでしたしね。」

「・・・家は任せておけ、すぐに建ててやるよ。」

心強い言葉だ、期待しておこう。

「始めるか、ご馳走様、美味しかったよ。」

子ども達の頭を撫でて作業を始める。

「この柱を立てて持っててくれるか?」

「はい。」

俺は風魔法で固定する。

「魔法か、便利だな、この3本も大丈夫か、こことこことここ。」

三か所を指しながら言う。

「OKです、ここれでいいですか。」

「ああ、組立ながら調整するから大丈夫だ。こっち持ってくれるか?」

おれは魔法で浮かせて

「どこに運びますか?」

「・・・ここに立ててくれ。」

そんな感じで家がどんどん建っていく。

暗くなる前に

「そろそろ切り上げましょう。日没後の外出は禁止ですからね。」

「そうだな、続きは明日にしよう。」

「畑で野菜を持って帰って下さい。」

「いいのか?悪いな、家の者が喜ぶよ。」

二人でダンジョンに入り野菜と果物を収穫していく。

抱えきれない野菜と果物を持って帰っていった。

「申し訳ない、今日もここで寝て下さい。」

「泊めていただいているので十分です。」


夕飯は野菜炒めだった。

「これを使ってパンを焼けないかな?」

俺は天然酵母を作っていたリンゴを入れたビンを棚からだす。

「これは?」

「天然酵母を作っているのだけど、どうかな?使えるかな?」

「・・・この液体で小麦を練ればいいのですか?」

「俺も詳しくはないんだ、まあやってみようよ。」

そう言って小麦粉を出していく。

「ボールを借りますね。」

ボールに小麦粉、水、ビンの中の水を入れて練っていく。

「出かけてきますね。」

俺は本屋を探した。料理関係の本があれば詳しく解るかもしれないからな。

あったあった、本屋だ。最近はネットが主流で紙は減っていたからな。

裏口から侵入して料理関係の本を収納していく。

こっちは参考書か、小学生だけど全てを収納する。将来の為に必要だろう。

おっと、漫画もあるな、収納。

他の店も廻るか。家具屋があったので入ってみた。

中は荒らされていないな、展示品もそのままだ。

裏のバックヤードに廻って箱に入って中身の解らない商品を収納していく。何かに使えるだろう。


戻ると三人がボールを見ていた。

「戻りました。」

「「おかえりなさい。」」

「何を見てるの?」

ラップに掛ったボールだけど。

「発酵が始まって膨張するか見てました。酵母が使えれば膨張するので。」

俺は収納から料理関係の本をだして

「ここに書いてある本はあるかな?」

「探してみますね。」

「俺は車庫に行くので、お風呂に入って下さいね。」

車庫の中の荷物は端に寄せて片付けられていた。いつの間に。

開いてる場所に家具を出して確認する。組立式の家具ばかりだがいいだろう。

俺は品物が解るように並べていく。

次は本か、本棚を組み立てて参考書と漫画をいれて、収納する。

そろそろかな、居間に三人が居る。

「ちょっと寝室、大丈夫ですか」

「ええ、何も無いので。」

中に入り、本棚をだして子供たちを呼ぶ。

「本を持ってきたよ。」

「わぁ~漫画がある。けど勉強の本もある・・・」

「漫画より勉強が大切だからね。」

そう言って部屋からでる。

「ありがとうございます。何とお礼していいか。」

「いいですよ、料理本のついでですから。俺も風呂に入りますね。」

そう言って風呂に入る。


結局、酵母は失敗でパンは焼けなかった。

そこでオーブン無いよ、って思った。

石窯か、これも作らないとな。




8時に門を開けて叶井さんを待つ。

9時前にトシ君を連れて叶井さんが来た。

「おはようございます。」

「おはよう、助っ人だ。」

「おはようございます。」

トシ君が挨拶する。

「今日もよろしくお願いします。」

俺は一端部屋に戻り、

「今日は庭でBBQにしましょう。」

オーク肉を出して、

「野菜はお願いしてもいいですか?」

「任せて下さい。」

チーちゃんは三人で畑に向かっていった。

俺たちは建築を開始する。

叶井さんの指示で俺が材料を動かし、トシ君が固定。その間に叶井さんが材料を選ぶ。

どんどん組み上がっていく。

庭での準備も済んだようで声が掛かり焼き肉を始める。

「美味い!美味いですね、この肉。」

トシ君は嬉しそうだ。

「どんどん食べてね。」

「ありがたく頂戴します。」

6人で楽しく昼食をとる。

15時くらいに完成した。

「やっぱ魔法はすげ~な。普通、このペースで仕事できないよ。」

「俺は重い物を運ばずに作業したの初めてです。楽できました。」

「ありがとうございました。」

俺は二人に頭を下げていた。

「今日も畑で収穫してください。」

トシ君と三人で畑で収穫する。叶井さんは果物が多いな。

「ちょっと待っていて下さい。」

台所でオーク肉を出し5キロ程の塊にしてラップで包む。

「こちらもいかがですか?」

「おぉっ!ありがとう、いただいていくよ。」

二人は喜んで帰ったいた。

聞いた話では、仕事をしているのは公務員だけで皆は暇を持て余しているそうだ。

お金があっても買い物ができず、順番に食材や日用品を買う生活が続いているらしい。

幸い、飢える程食べ物が無いわけではないが、毎日が暇だと叶井さんは言っていた。

ちなみにトシ君は同棲中だ。

チーちゃんの話と違わないな。そこそこの自由と生活ができているからな。

車庫からチーちゃんの荷物を家に運び

「明日は水を繋げるから待っててね。」

「わ~い、新しいお家だ~ママ、ここにず~っと住むの?」

「そうよ、新しいお家にすむのよ。」

「私の部屋もあるの?」

「どこにしようか?三つも部屋があるけど二人で一つだからね。」

家族の会話、いいな、

「ごはんにしよう。ミヤお腹減った。」

夕食後に

「そろそろお米が無くなりそうです。明日、収穫したいのですが。」

「そうですか、明日は水が終わったら米を収穫しましょう。」


俺は車庫に行き石窯を作る事にした。

錬金で石を砕き箱を作る、箱の中は溝を入れてトレーを入れるようにした。

箱の奥に魔石の棒を設置しておく。

トレーに魔法陣を刻み、奥の魔石に触れると魔力が流れ加熱する、そんな石窯だ。

最後に蓋を作ってトレーを入れて試してみる。完成だな。温度は焼きながら設定しよう。


部屋でチーちゃんに確認する。

「外の生活も不便だけど、ここも想像以上に不便だと思うけど、いいのここで?」

「・・・正直、解りませんが外より不便だとは思いません。」

「そう、でも卵とか無いよ?」

「外では肉も無いに等しいですよ。野菜だって果物だって。」

「失礼な話だけど、女性に必要な物って外では十分だったの?」

「・・・何とか、買い置きで。」

ホームセンターで入手してるから車庫にでも出しておくか。

「今なら戻れると思うけど、どうする?」

「戻りません。ここで生活してはダメですか?」

「不自由だよ、労働はきつくなるよ。大丈夫?」

「頑張ります。」

そうだよな、子どもの為だものな、最悪は隊長さんに頼んでみるか。


またチーちゃんが来たけど、今度も帰ってもらった、そのための話ではないから。


夜明けと共に水道の配管を繋げていく。蛇口はホームセンターで・・・

次はトイレだ。トイレは家のをコピーして岩で作っていく。

タンクの中のフロートは漆黒樹でいいかな、木だから浮かぶだろう。

排水講に繋げて水道の水を流してみる。漏れはない。

トイレの水も流してみるが大丈夫そうだ。

風呂も作ってしまおう。鱗で作り、魔法陣を刻み、排水を繋げればいいだけだ。

完成だ。キッチンは小さい鍋とフライパン、鎌を作って台に並べればいいだろう。

小さいテーブルも作り、こんな物かな。

スリッパを適当に5足ほどだしておく。

中が黒い木だから暗いな。壁紙を貼っておこう。叶井さんと貼った経験が生きてるな。まあまあだ。


チーちゃんを呼びにいく。

「家が完成しましたよ。」

「どこに行ったのかと心配しましたよ。」

おっと朝から家に籠っていたからな。

「新しい家に上下の水回りを作ってました。」

三人を連れて家にいく。

「壁紙を貼ってくれたのですか、ありがとうございます。」

中を見て回る三人が嬉しそうだ。

「ここで食事も作れますから。お風呂も使えます。」

「お昼の時間なので向こうに用意しています。食べましょう。」

午後から稲刈りだ。

俺が刈った稲を三人に箱に詰めてもらう。

3箱ほど集まったので、1時間くらいで外に出て足踏み式の脱穀機を使ってもらう。

さらに臼に入れて棒で突き殻を外しうみで籾殻を飛ばす作業だ。

辛いだろうな、俺は稲を刈りにダンジョンに戻る。

追加で5箱を持って外にでると、全ての作業が終わったところだ。

三人とも疲れているな、だが毎日の作業だからね。

「どうですか?続けられそうですか?」

「ミヤはクルクル回したの。」

そう言ってとうみを回す。

「私とお母さんで脱穀したの。足が太くなっちゃうわ。」

二人は楽しそうに言っている。チーちゃんは

「疲れますが、大丈夫です。」

俺が5箱の稲を出すと固まった。

「今日は終わりにしましょう。これは車庫に入れておくので足りなくなったら使って下さい。」


その頃、市役所では

「市長、在庫の食料は残り2回の販売で無くなります。

 次の入荷はいつになりますか?」

「・・・政府からの返答は?」

「当面、各自治体で対応してほしいの一点張りです。」

「食料が無い事は伝えていますか?」

「はい、ですが回答は同じです。」

「誰か食料を入手できないですか?」

「・・・・・」

「困った事になったな。」


俺は余った時間で食堂を建て直す事にした。今度は2階建てだ。

1階を食堂、2階は倉庫にする。

柱を全て長い物に交換して、溝を追加していく。

屋根が2階の床になるので中央に柱を追加して、受けの柱を立ておく。

柱が立てば、壁と窓を組立ていく。

2階用の窓はガラスが無いがとりあえず組立を進める。

2階の入口は厨房の上として、一か所だけ作った。

階段は斜めの板に四角い穴を開けて、水平な足場板を差し込む形で組立してみる。

板の固定は楔だけだ。大丈夫か?

足場板にも穴を開けて柱に差し込んでいく。柱は段付きにして楔を打った。

よし完成だ。

中は不要になった柱を再加工して棚を作って並べていく。

トイレットペーパーにティッシュ、洗剤やシャンプー等の生活必需品だ。

ここから使ってもらえばいいかな。

「勅使瓦さん」

チーちゃんに呼ばれる。

「夕食はどうしますか?」

辺りは暗くなっていた。時計を見れば19時だった。

「用意できたので食べましょう。」

「ありがとうございます。」

二人で階段をおりながら

「この建物を短時間で、すごいですね。」

「一度作って収納していたので建てるのは問題無いですよ。」

チーちゃんの家で夕食をごちそうになる。


裾野では

「総理、避難民が増えて場所が足りません。」

「会議室や更衣室も開放したか?」

「食堂も開放しました。」

幹部達の個室も無くなり、寝るのも指令室の中にあるソファーだった。

「敷地の拡大はできませんか?」

「・・・隊長、その後勅使瓦氏からの連絡は?」

「ありません、この施設の開放から連絡の無いままです。」

「市谷はどうなってる?」

「あちらも同じ、いや、こちらより酷い状態です。」

「そうか、だが現状で乗り切るしかない。何とか頼む。」

食料はあっても寝るスペースも無くなってきた。

「井戸の水を沸騰させる炭も不足しています。」

「周辺の木を切って使えばいいだろう。」

誰かが言うが

「生木など燃えるはずないだろうが!」

そんな怒号が続いていた。

「私が勅使瓦氏の家まで行きます。」

隊長が言う。

「いや、ここの守りも重要だ。君たちの隊が居なくなれば魔物への対応ができない。」

「しかし、このままでは・・・」

「待つしかないか。他の施設はどうなってる?」

「食料も無くなり放棄された施設が増えています。」

「移動先はどこなのだ?」

「ここへ向かっていると思われます。」

「そうか、ここか・・・」

裾野も問題の解決ができなくなっていた。


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