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ダンジョンマスターは好き勝手に生きたい。  作者: ベルフェゴール
第三章 ダンジョン食物倉庫
31/57

031

翌朝、敷地周辺を索敵するが魔物の気配はない。

だが、用心のために壁の外側に堀を作る事にした。

幅は30mくらいかな、裾野は20mだったがここは広げておこう。

土魔法と錬金で掘を固めて作る。広めに残して圧縮幅を4mにする。

橋の下には穴を開けて水が流れるように繋げる。

一か所だけ深さを50mまで掘り下げていく。

敷地より下流の川に向けて10mのトンネルを掘っていく。

川まで到達したところで川に行き川底を深く掘って繋がった。

ザァ~っと水が流れて行くき、堀に流れこんでるはずだ。

取水した場所の川幅を広げて、土砂が流れ込まないようトンネル手前から川底を深くしておく。

川が落ち着いてきたので家にもどれば、堀は地表から2m下まで水が溜まっていた。

深さ10mは掘ってるから水深は8mくらいだな。

完成した。堀だ、石垣にして城を建てたら面白いだろうな。


そんな事をしていると緊急放送が入った。

最近は電気が止まっているので流れていなかったが

「キンコンカンコン」

ベルが鳴る。

「緊急放送です。政府が緊急事態宣言を発令しました。

 今後、日没以降の外出は禁止となります。

 各自、外出を控え自宅で待機をお願いします。」

「緊急放送です。政府が緊急事態宣言を発令しました。

 今後、日没以降の外出は禁止となります。

 各自、外出を控え自宅で待機をお願いします。」

「緊急放送です。政府が緊急事態宣言を発令しました。

 今後、日没以降の外出は禁止となります。

 各自、外出を控え自宅で待機をお願いします。」

3回繰り返された。緊急事態宣言か、そうだよな。

でも魔物の事は知らせないのか。この先の対応はどうなるのかな。

俺は敷地で生活しながらダンジョンを減らして行くだけだな。


罠ダンジョンにあった防御陣を作る事にした。

まずドラゴンの魔石を圧縮錬金で1個30000程度にして4個作る。

四隅の柱の上に穴を開けて魔石を嵌め、魔法陣を書き込む。

大きさと角度を調整しながらピラミッドのように敷地を囲む。

この魔法陣は攻撃力に合わせて出力を上げるタイプで通常の魔力消費は少ない。

攻撃が無ければ数年は魔力供給は必要ないだろう。


まだ天然酵母はできないから米とステーキで夕飯だな。

もう役人さんが来る事も無いだろう。

俺にできる事も無いな。一人では食料を集めるのも大変な労力だ。

俺に人を集める才能があれば良かったのだが、知り合いの三人すら説得できなかったな

そうか、裾野に畑ダンジョンを置いてくればいいか、Lv5の魔物ダンジョンを出して、作物を吸収させていく。

家のダンジョンと同じ構成にしてでダンジョンを停止させる。


朝一で裾野に行き、隊長と話をする。

「隊長さん、ダンジョンを持ってきました。」

「えっ、ダンジョンを持ってきた?」

「はい、畑ダンジョンをここに出そうと思って、持ってきました。」

「・・・?ありがとうございます?」

「そこに出しますね。」

敷地の端にダンジョンを岩型で出す。

「入りましょう。」

1階層から5階層まで畑が続く。

ボス部屋も空なので下層への転移も歩いていけば誰でもいける。

「6階層からは通常ダンジョンです。狼が居るので入らないで下さい。」

「ありがとうございます。」

「民間人に提供するのは構わないですが、隊員さんの食事を減らしてまで配らないで下さいね。」

敷地には戻らず海沿いのダンジョンを制覇してから帰る事にした。

そこはLv3の飛行系ダンジョンでレベルも高くないので肉を補充する目的だった。

中に入ると人が居る。海上の隊員さんだ。ここで訓練してるのか。

全員がLv10程度で経験は少ないな。

しばらく見ていたが銃での対応しかしないので、興味を失って帰る事にした。

海を見ると海中に魔力反応がある。

一番大きい魔力反応は30キロも先だが解析でみるとクラーケンだった。

海の中にもダンジョンがあったのか、船も使えなくなったな。

総理は知ってるのか?まあいいか。動力がなければ鉄くずだしな。

帰って天然酵母を見ると、もう少しかな。




その頃、市谷では

「総理、裾野から連絡です。食料の入手が可能になりました。」

「どこから供給があったのですか。」

「民間人からの提供です。ダンジョン畑を設置した、と言ってますが。」

「ダンジョン畑ですか、裾野なら隊員が常駐しているので想定外の出来事でも対応できますね。

 こちらにも食料を提供できないでしょうか。」

「魔法バスでの運搬は可能ですが、魔物の襲撃から逃れる術が無いとの事です。」

「みすみす魔物に襲わせる事はできませんね。我々が裾野に移る事は可能ですか。」

「はっ、ヘリで向かう事は可能です。」

「ここの設備を移して稼働させるのに必要な人員、日数、燃料を算出して下さい。」

政府の移動が決まった。


まだ明るい時間なので周囲を見まわる事にした。

索敵で鈴木さん達が家に居るか確認するとチーちゃん一家は居なかったが避難所に行ったかな。街を歩いて廻った。家に残ってる人が多いな、避難所に人はまばらだ。

避難所は防御壁が必要だが、1m程度のブロック塀のままだ。

索敵に魔力が入ってきた。上空からファイヤーイーグル、火を噴く鷲が13羽、多いな。

急いで家に戻ると門の前にチーちゃんが居た。

「こんにちは、お願いがあるのですが。」

俺は門を開けて

「家までお願いします。少し急ぎます。」

門を閉めてから足早に家に入る。索敵で距離は50キロ以内に入った事が解るが動きが遅くなっていた。周辺を攻撃しているのだろうか。

どうすべきか、考えている。

「どうしたの?」

チーちゃんが怯えたように言う。

「魔物が近づいているみたい。鳥だから空から襲ってくる魔物だ・・・」

どうするか決められないまま時間は過ぎる。

「チーちゃんのお願いって何かな?」

俺は魔物の事は後にして話をする事にした。

「実は・・・共同生活をお願いできないかと思って。」

「歓迎しますが、見ての通り準備ができてないよ。飲料水もまだ、です・・・」

「そうですか、準備は手伝います。お願いします。」

「わかりました。それで今日までに何があったのですか?」

「避難所に行こうとしたのですが・・・

 広い空間をダンボールで仕切った場所、私はストレスで耐えられませんでした。

 ニュースで見ていた避難所を実際に自分で経験すると・・・」

「大丈夫ですよ、出来る限りの生活をしていきましょう。」

話をしている間も鷲は接近してくる。

数羽が離れていく。こちらに向かってくるのは5羽か。

「ちょっと出かけてきます。この家から絶対に出ないで下さい。戻ってきたら食事にしましょう。」

俺は5羽に向かって走っていく。遠距離攻撃も考えたが正面から空刃を飛ばしても避けられてしまうだろう。逆に警戒されて逃げられると困るからな。

そうしている間にも炎で周囲を焼いてる。接近して空刃で1羽づつ倒して行く。5羽を倒したが残りは別々の方向へ行ってしまった。

ここからは離れる方向なので深追いせずに家に戻った。

「チーちゃん、荷物は無いの?」

「家に置いたままです。」

「明日、取りに行きましょう。今日は肉でいいですか?」

俺は収納から釜と鉄板をだして用意を始める。オークの肉を出して、

「それを切ってもらえるかな?」

「はい、他はありますか?」

収納からトマト、ナス、キュウリを出して

「今日はこれしか食材は無いのですよ。明日、収穫しますよ。」

「包丁はありますか?」

台所から持ってきて食材を切ってもらう。

茶碗と皿、箸を用意して夕飯の開始だ。

子供たちは緊張しているのか、話をしない。

母親の緊張が伝わっているのだろう。

部屋の中は明るく照明が輝き、今までとは違うからな。

「いただきます。」

「「「いただきます」」」

食事が始まると子供たちの緊張が一気に無くなり

「お母さん、おいしいね、おいしいね。」

「ママ、沢山食べてもいいの」

「お肉も野菜も沢山あるからね。お腹いっぱい食べていいよ。」

俺は笑いながら言う。物流が止まってから食料事情は悪かったからな。

食事も終わり、俺は寝る場所を考えていた。

一人で寝室に入り中の物を収納に全て入れ、窓を開けて風魔法で埃を外に飛ばす。

布団は20組だけ買っていたので3組を出しておく。

「こちらの部屋を使って下さい。」

扉を開けて中を見せる。

「何もないのですね。」

「急いで収納しましたよ。」

次は風呂だな。すでに魔法陣は書いてあるのでコマを入れて湯を貯めていく。

「風呂はこちらです。俺は1時間ほど外に行きますので、その間にお願いします。」

「ありがとうございます。先に使わせていただきます。」

トイレはここですが、水が出ないのでバケツで流して下さい。10個のバケツに水を入れ並べる。狭いな。トイレの外に並べてそう思った。

俺は暗くなった街にでてホームセンターに向かった。

入口は滅茶苦茶に荒らされているな、中には狼が4体いる。巣にしたか。

隠蔽で気配を消して接近し、空刃で倒していく。ダンジョンの外でも魔物は消えてドロップ品を残す。

さてと、布団や枕はあるかな?子供用の食器類、歯ブラシや歯磨き粉も必要か。

手当たり次第に収納していく。盗んでごめんなさい。俺は店を出る時に頭をさげておく。

水や非常食は全く残っていなかった、魔物が入る前に人間に襲われたんだろうな。

次は洋服だ。量販店を探して店内を探る。

中には人も魔物を居ないがシャッターも閉まっている。

強盗だな、そう思いながら裏口を壊して中の品物を収納していく。

家に戻ると子供たちは寝ていた。

「お腹いっぱい食べたので眠ってしまいました。」

嬉しそうに言う。

「食事は何とかなるのですが、他が準備不足です。

 まず、家を何とかしないと、三人が住める家を建てましょう。」

「ありがとうございます。迷惑でなければここでも・・・」

「大丈夫ですよ、家のキットはあるので建てるだけなのですが一人で建てられるかどうか・・・」

「??? キット、どんな家なんですか?」

「ログハウスですかね、欧州産のキットハウスです。」

「丸太の家ですか?」

「いや、木でできた家ってだけで普通に木の板です。」

「でも木の家って素敵ですね。」

そんな話をして寝室に入ってもらう。

一人で風呂に入りながら明日からの事を考えていた。

貯水槽、どうするかな、トイレも問題だし。風呂から出てソファーを収納して寝る。

しばらくするとチーちゃんが部屋から出てくる。

「一緒に寝てもいいですか?」

「えっ?」

「お世話になる私にできるお礼、これしか思いつかなくて。」

いやいや、嬉しいけどどうする?

「・・・とりあえず今日は部屋に戻って下さい。お礼の話は後日って事で。」

「そうですか、私ではダメですか?」

「意味が違いますよ、今日はダメって事です、今日は!」

「・・・・・」

黙って部屋に戻ってくれたよ。

勿体無いけど、子どもが隣の部屋に居るのにマズイよね。

それだけ追い詰められていたのかな?


子供たちが起きてきた。

「「おはようございます。」」

「おはよう、早起きだね。」

「沢山寝たの。今日はママのお手伝いをするの。」

「ママは起きてる?」

「起きてるわよ、準備してるわ。」

準備?ああ化粧か。いつまで持つかな化粧品。

「朝ごはんを採ってくるから待っててね。」

俺はダンジョンに行ってリンゴや桃などの果物を採って戻る。

「ごめんね、朝は果物で我慢して。」

「いえ、果物なんて久しぶりです。」

そういって果物を切って並べていく。

「今日は畑に案内するから、俺は貯水槽を作る。その間に米をお願いしたいのだけど。」

「はい、頑張ります。」

まずはチーちゃんの家に荷物を取りに行く。全て収納に入れて終わりだ。

場所がないので車庫に荷物を出してから畑に案内すると

「「すご~~い!」」

子ども達は中を走り回る。

「ここが米がある階層です。」

「ここ全部がお米ですか、凄いですね。」

「ここを全部刈っても200キロ程度しか米になりませんね。」

「そうなんですか、少ないですね。」

「人数にもよるけど、これを一日で脱穀するには10人以上必要ですよ。

 後で説明しますが、脱穀まで人力なのでチーちゃんにできるか、不安ですがね。」

「やったことないけど、食事の為にやりますよ。」

母は強しって顔だな。

2階層、3階層で野菜を見せて、4階層で小麦、5階層の果物と廻り野菜と果物を収穫していく。

「明日からチーちゃんに野菜と果物の収穫をお願いしてもいいかな?」

「はい、野菜と果物ですね。」

「料理の献立もおねがいします。肉は鳥、豚、牛があるので言ってくれれば出します。」

オークとバッファロー、ミノタウルスだけどね。

「家の台所で大丈夫ですか?」

「十分です。」

俺は貯水槽を作りを始めた。

4本の柱と横に繋げる柱を作ってみる。下の四角と柱が立つ。

底板と壁板をはめ込めるように溝を作っていく。

板は長編に凹凸で溝を作り、水が漏れないようにする。

底板、壁板と組み上げていくが、途中で木材が不足してダンジョンに切りにいく。

何とか箱になったので水球で水を入れていく。

漏れるな、壁と上から押えれば漏れは止まる。

大丈夫かな、一番上に横柱を入れて動かないように楔で固定する。

横柱を組んだ面の水漏れはない。このまま横柱と組みこんでいく。

壁も外側から楔を打ち込んでおく。

中の水を捨てて、底板も固定の楔をいれて箱は完成だ。

天井も同じで板を組み、中を確認できるように扉も組んでおく。

完成だ。次は井戸からの水を煮沸させて貯水層に供給するのだが、考えが纏まらない。

井戸からの供給は池で経験しているので問題は無いな。

あとは煮沸か、どこに貯めるか?

ドラゴンの鱗で加熱層を作ろう。

直径5m高さ10m。貯水槽に前に置く。

井戸からのパイプを加熱層の上部に繋ぐ。

漏斗も鱗で作り貯水層の上までパイプを伸ばし上から貯水槽に繋げる

横のパイプは傾斜をつけ水が溜まらなくして氷の魔法陣を刻む。

加熱層の底は温度200度で設定して、井戸に風を送り水の供給を開始する。

井戸は池と同じ形なので水が途切れる事はないだろう。

貯水層の扉を開けて水を見ている。

溢れた水は井戸に戻す。パイプを繋げていく。

井戸の蓋を細工して桶を高い位置に取付る。水の重さで風が止まるようにした。

桶は貯水層の底より上にして桶の底から貯水槽に向かいパイプを繋げる。

パイプにバルブを付けて貯水層に水があれば閉まり、無くなれば開く。

これで水の自動供給の完成だ。

空焚き防止は風が止まると加熱が止まる。

難しいな、一度分解して考え直す。

「お昼にしませんか。」

昼だったか。家に戻り昼食を食べる。

「夕飯は何がいいですか?」

俺は収納からカレー粉をだして

「カレーにしましょう。業務用のカレー粉なので甘くも辛くもないと思います。」

「わあ~カレーだ!カレー大好き。」

「肉は牛で。」

バッファローの肉をだし、必要なだけ切り取る。

大鍋を出して、この鍋でお願いします。

「こんなに大きい鍋で、余ってしまいますよ。」

「収納に入れておけば腐らないので大丈夫ですよ。」

カレー作りをお願いして給水装置に取り掛かる。


風と火を同時か。

加熱層にパイプを巻き付けて加熱と送風の魔法陣を刻む。

外側から加熱していくのだ。これなら魔法陣が1個で済む。

パイプの上に桶を再配置して稼働させる。

今度は400度で風量も多くした。

貯水層に水が溜まっていく。溢れた水で止まる、完成だ。

氷魔法は動いたままだ、このままでいいかな。


貯水層から家の水道管にパイプを繋げる。

中に向かって

「水道から水がでるか確認して!」

俺が声を掛けると

「出ました。水がでましたよ。」

「量はどう?」

「水道よりは弱いですが、問題ないと思います。」

中に入り水を確認する。トイレも問題無いな。

排水層はどうかな?まだ少ないから大丈夫だろう。



夕飯のカレーが美味しかったな。


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