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ダンジョンマスターは好き勝手に生きたい。  作者: ベルフェゴール
第二章 ダンジョン魔物放出
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いつものように昼に起き行動を始める。先送りにしていた三人との対話だ。

一緒に生活を始めるか、そろそろ結論を聞きに行こう。


「こんにちは、鈴木さん、いらっしゃいますか」

「はい、あらっ、勅使瓦さん、あなた勅使瓦さんがいらしたわよ。」

「こんにちは、勅使瓦さん。どうぞ中へ」

「ありがとうございます。お邪魔します。」

中に入り出されたお茶を飲む。

「勅使瓦さん、先日の件ですよね?」

鈴木さんが話を始める。

「あれから家族と話し合い、親戚とも話をしました。

結果から言うと、もう少し様子を見ていたいと思います。

行政の対応がどうなるのか、発表がありません。

私の仕事や子供たちの学校も始まりません。

このまま何年も続くのか、近い将来再開されるのか。

勅使瓦さんと一緒に行動すべきか、行政の対応を受け入れるか。

まだ決める事ができませんでした、申し訳ない。」

俺は目を瞑って聞いていた。いつの間にか子供たちも聞いている。

「親戚には行政に反目するような行動は控えろ、と言われました。

私は反目しているとは思いませんでしたが、外から見ると違うようです。

行政と別行動をする、という事は将来、行政の対応を受けられない、そう考えました。

私達夫婦はそれでもいいですが、子ども達は違います。

しっかりと教育を受け、大人になってほしい、そう思ったのです。

都合のいい話ですが、様子を見たいと思います。」

「そうですか、解りました。何かあれば連絡してくださいね。

他の人達はどうですか?何か聞いてますか?」

「はい、昨日話し合いをしたので。ですが直接話をした方がいいかと思います。」

「・・・お二人の所に行ってきますね。」


俺は家に戻っていた。食堂は解体済だ。

少々寂しいが懸命な判断だと思う。確かに政府に反目していたからな。大臣には特に。

まあ悩んでいても進まないので、ミノタウルスの角を集めに行く。

今回は制覇の予定だ。

ダンジョン周辺に警備の人影は無い。全てのダンジョンが放置されている。

一階層から順に制覇をしていき、最下層まで一気に進んだ。ストレス発散だな。


翌日から500キロ圏内のLv8以上のダンジョンを制覇していった。

 全部で12ヶ所、これを停止しておけば家のダンジョンは崩壊しないだろう。


そろそろ夏本番、暑さが厳しくなる時期だ。エアコンを作ろう。

風魔法と氷魔法を使えば冷気はでるから、風を上に出せばいいのか?

漆黒樹に穴を開けて底に氷魔法の魔法陣を書く。

横穴を開けてそこから中に風が吹くように魔法陣を書く。花瓶くらいの大きさだが、効果はどうだ?

底の氷が大きすぎて横穴が埋まってしまった。失敗だ。

氷を小さく、風も小さくして動かす。冷気が上に向かって吹いてくる。

風量と氷の大きさを何回か調整して完成した。

居間において稼働させると15分ほどで室内が冷えてくる。

1時間では寒くなった、風量を下げられるように改良する。穴にコマを刺すだけの風量調節だ。

5ヶ所の穴でほぼ無風から強風まで使えるようになった。

最弱は無風みたいだが氷の冷気だけでも上は涼しい。

居間と寝室用の2個を作り、次は照明だ。光魔法が必要かな?持ってないしな。

罠ダンジョンを出して光が関係する物が無いか確認する。あったよ、光で視覚を一時的に奪う罠が。

これを1階層に設置して魔法陣を解析する。

部屋に戻り、照明を作りはじめる。涼しい部屋はいいな。

魔鋼に魔法陣を書いて動作させると光、が美しくない。

ただの鉄棒が光っても綺麗ではないよな。

そうだ、ガラスだ。珪砂が残っていたのでガラスを作ろう。

錬金でガラスにならないかな?試してみる。

錬金は魔法空間で行う場合と手元で行う場合、どちらでも大丈夫だが熱を使うときは魔法空間が便利だ。

珪砂を熱して軟化させて、コップのように形を変えて、割れないよう少しだけ圧縮していく。

これを鉄棒に被せてみた。俺なら買わない感じの照明ができた。

魔石と丸く加工して魔法陣を刻みコップに入れて終わりにした。

 


時間に余裕があるので魚を探しにいくかな。

門を開けるのも久しぶりだ、そう思いながら開けると外側に封筒が張り付けてあった。

中を見るとマスコさんだ。会って話がしたいそうだ。

面倒だな、これからは一人で好きに生きるって決めたので政府との関わりも不要だし。

無視する事にした。バスも不要だしな、一人なら。

近所の川へ洗濯ではなく魚釣りに。釣らないけどな。

川を解析するとオイカワやニジマス、ウナギが捕れる事が解った。

裾野周辺の湖でも魚が捕れたよな?走って行くことにした。

ふむ、湖の周囲は警戒中だよ、貴重な食料だからな、乱獲する事は禁止か。

隊長さん、元気かな~と思いつつ家に戻る。

池が必要か、そういえば貯水槽は放置されてるな、別にいいか。


翌日、池を作る事にした。楕円の溝を作っていく。

幅は3m深さは1mでいいかな。

楕円の中心に井戸を掘りそこから水を供給しよう。

中央は浮島みたいだな。井戸の廻りは前回同様に屋根を作っていく。

今回は水が池に入るようにパイプを組み合わせ、土中に埋めていく。

送風のパイプは魔石を圧縮、錬金して作ったので魔力は5000ほどある。

パイプにコマを刺して水の供給を開始する。

出た出た、水がでたよ。だが、すぐに止まった、あれ?

蓋を外して覗けば水位が下がってパイプがむき出しだ。

水魔法で水球を作り、池に落としていく。

深さが50cmくらいになるまで水球を落としていき、完成だ。

流れが必要だな。浮島から池に向かい穴をあけジェットバスのように風を送ってみた。

一か所では無理か、複数の穴を開けて風を送る。

ボコボコいって流れはしたが、五月蠅いな。

風を出すパイプをそのまま池に沈めれば、水が流れないかな?

穴を埋めてウルフの牙と魔石と魔力でパイプを作り、魔法陣を刻む。

稼働させて池に入れると水が動いている。成功だ。

10本作り、池の中で固定していく。

流れる池の完成だ。

ここに魚をいれれば大丈夫かな?産卵場所も必要だよな?

土魔法と錬金で作ったので表面はなめらかだ。

川に行って石を集めてくるかな。拳大の石を大量に集め、底に敷き詰めていく。

円の部分は多めに石を敷き、流れが早くなるようにした。

浮島を削り、流れの無い溜まりも作った。よし魚を入れよう。

大きいバケツを河原に出して魚を水球の中に入れて浮かべる。

そのままバケツに落としていくが、水が溢れてくる。水だけ水球で捨ててっと。

20匹ほど捕まえて収納に入れる。土の上に魚が落ちた、そうだ生き物の収納はできないのだ。

魚を拾ってバケツに入れ持ち上げる、持ち上げない。そのまま水を水球にして魚と一緒に浮かべて運んだ。人目を気にすることなく魔法を使っていく。

10回ほど繰り返して200匹か?少ないかな?

魚の餌になる川虫も沢山捕まえて放した。

浮島は川辺を斜めにして石を敷き詰めなおし、川虫の住処となるよう調整した。

幅20m長さ50mの楕円形の流れる池の完成だ。

魚影が薄いので300匹追加した。ここで繁殖えきればいいのだが。

浮島に渡る橋を幅8mで6ヶ所作った。数が多いがこれは日陰の意味もあるのだ。


この日はダンジョンが多発してから100日目、あと50日。




起床して池の様子を見にいく。

魚は死んでないか、不安だったが大丈夫だった。

水深が浅くなっていたので井戸から水を供給する。

供給側のパイプは20mほど長くしておいた。

止まるまで供給するが昨日より浅いな。

水球での供給に切り替える。

井戸の造りを変えよう。上から30mは現状のままにして、その下は太さを10mまで広げていく。

底は更に広げ太さは50mだ。

パイプを40m程度まで伸ばし、設置していく。

水位の変化は午後に確認する事にして、次は何をしようかな?

暇なので駅のほうに行ってみる事にした。

電車が動かないので駅はシャッターが閉まっている。

商店街もシャッター通りだな。

そのまま進むと市役所だ。遠いしな、そんな事を考え歩いていると人が居る。

何かあるのかな?

近づいてみると行列だ。最後尾の方に聞いてみる。

「何の列ですか?」

「知らないのか?米の販売だよ、一人1キロ。家族で並ぶんだよ。」

米の行列か。俺は買い溜めした米が残ってるから気にしていなかったが。

「毎日販売しているのですか?」

「週に一回だ。販売する地区が決まっていて身分証明書を持って買うんだ。」

そうなっていたのか、大変だな。

俺は元来た道を戻って家に帰った。

ダンジョン畑に米は無い。まだ吸収させていないからだ。

150日後だと9月の中旬か、間に合うかな?

東北地方なら刈り入れが始まってるか。

売ってくれるだろうか。

その晩、日本海側の米所に行ってみた。

まだ収穫時期には早いので警備は居ないな。

大豆や小麦はどうだろうか?


翌日からあちこちの畑を見に行った。

小麦は根から入手する事ができた。最後の収穫だそうだ、よかった。

そこで大豆は10月くらいと教えてくれた。

米と大豆はギリギリだな。小麦が手に入って良かったよ。

暖かい地域まで行き、スイカとハウス物のメロン、マンゴーも入手できた。

10日間程かけて作を探し、多種の農作物を入手しダンジョンに吸収させた。

1階層、2階層が畑になっていた。


役人も来なくなったな。ふと思った、フラグか?

門を開けると車だ。マスコさんが下りてきた。

「こんにちは。」

「こんにちは、今日はどのような話ですか?」

「畑とバスの事です。」

「暑いので部屋の方へどうぞ、車で入っていいですよ。」

車で家の前まで行ってもらう。

部屋に通すと驚きの表情だ。

「エアコンですか?」

「魔法です。これですよ。」

俺は花瓶のような冷却器をテーブルの上に置く。

「・・・これですか・・・」

不思議そうに見ている。

「持ち上げても大丈夫ですよ。」

手に持って中や外を見つめている。

「暑かったので作りました。部屋の中が快適ですよ。」

「・・・・・これは報告してもよろしいでしょうか?」

「いいですよ。作る事も可能ですが。」

「メリットですね。何か必要な物はありますか?

 勅使瓦さんに必要な物は私には思いつきませんが。」

「そうですね。特にはないですね。」

「ところで池がありましたが。」

「ああ、作ったのですよ、魚を養殖できないかと思いましてね。」

「養殖ですか、できそうですか?」

「まだ一か月も経っていないので何とも。」

「来るたびに進歩してますね、他には何か作りましたか?」

「照明ですね、これです。」

俺は明かりを灯してテーブルに置く。

「この球体が光っていますが、魔法ですか?」

「魔法陣を刻んであります。右回しで点灯左回しで消灯です。」

クルクル回して点灯、消灯を繰り返す。

「私も回してみても?」

「どうぞ。」

クルクル回してる、これも不思議そうに見ている。

「これも作れますよ。」

「分かりました。合わせて報告します。」

「本題は何でしたっけ。」

「畑の件ですが、作物の提供は保留とさせて下さい。」

「どうしたのですか?」

「輸送方法と人員の問題です。・・・公務員の数が減っています。

 自分の家族を守るので精一杯になっているのです。

 キャリア官僚の中にも地方に避難する人が出てきました。」

「移動はどうしているのですか?」

「そこは・・・キャリアだから、と言うしかないですね。」

「はは、そうですか。」

「治安維持が優先事項になっています。徒歩での見回りが中心です。

 地域の警察も主要な建物以外は警備に手が回っていません。」

「それでダンジョンに警備員が居ないのですね。」

「正直ダンジョンまで手が回っていません。民間人が入っているのかすら把握できていません。」

「俺みたいな奴がでたら困りませんか?」

「勅使瓦さんのような人ですか?」

「レベルが上がった人は増えると治安維持が難しくなりませんか。」

「・・・・・そうか、ダンジョンでレベルがあれば警察官では取り押さえることができないか。」

「その可能性がある、ってだけですがね。」

「上に報告しておきます。」

「バスの件は?」

「同じバスを作っていただく事は可能ですか?」

「いいですが、バスは用意して下さいね、あのバスも高かったので。」

「バスは用意します。それでメリットですが・・・」

俺は思い出していた。郊外にある食品工場が稼働していたことを。

確かカップラーメンを作っている工場だったはず。

「カップラーメン、一万個。」

「そんなにですか?備蓄用に蓄えはありますが。そこまで提供できるかは。」

「いやいや、郊外にある食品工場、稼働してますよね?カップラーメンの工場。」

「なぜそれを知っているのですか?」

「先日、近所を偶然と通った時に人の気配を感じて探ってみました。」

「そうですか、内密にお願いします。

 穀物の入手が困難になっても大丈夫なよう保存食品の工場には燃料を供給して自家発電で稼働させています。工場は隊員等、民間人以外で動かしています。」

「カレー味は絶対条件ですよ。」

「・・・・・解りました。」

「裾野には何日に行けばいいですか?」

「三日後でお願いします。」


訪問を約束して帰っていった。


訪問に備え、翌日は冷気を出す道具を5個、照明を5個作っておいた。

風を出しパイプに魔力を供給する魔石も加工する。

あとは現地で現物合せだ、台数言わなかったな、5台でいいか。


暑さで池の水が減ってしまう。

井戸からの供給を止めずに行う事にした。

風量を抑えて稼働させる。溢れないといいが。

暗くなってから見ると水深が深くなってる。風を止めて風量が少なくなるよう魔法陣を変える。

明日も様子見だな。


朝、水の供給を始めてから今日の予定を考える。

暇だ。

米が出来た時の為に脱穀機を作る事にした。

形が解らないので周辺の農家さんを廻っていく。

何件目だろうか、倉にあるからと言って案内してくれた。

「もう何十年も使っていないから、持っていくなら只でいいよ。」

ありがたく頂戴することにして収納に入れて帰ってきた。

もちろん素材変換で漆黒樹にして動かしてみる。

足踏み式の脱穀機で藁から籾を取れるな。

次はとうみだ、もみ殻と穀物を風を使って分ける道具だ。

小麦もこれで大丈夫だな。


裾野では一台のバスを改造する。

すでにエンジン、ミッションな無くパイプを付ければいい状態であった。

そういえば前回のバスはバックが出来なかったな。

前進、後退で差換えるのも問題だろうからレバー式で作ってみる。

前に倒せば前進、後ろに倒せば後退、上手に操作できればブレーキも不要だな。

試運転も終了し、暗くなる前には戻っていた。最初の1台も同じように改良しておく。

それから5日間、農作物を探していく。

あまり変化は無いな。


ダンジョンを毎日一か所、制覇して20個のダンジョンコアを増やした。

140日目だった。


そこから再度、農作物を探しに動き回る。


150日目の朝、何事も無く朝が来て日が沈んだ。

俺の杞憂だったか。


その後、15日間で米やソバ、リンゴなど様様々な作物が入手できた。

秋の果物も敷地で収穫時期になったので、そのままダンジョンに吸収させた。


1階層全てを米、コシヒカリだ。

2階層は野菜、3階層も野菜。

4階層は小麦とソバ。

5階層は果物。

これでダンジョン畑の完成だ。

日常で食べていた野菜で不足分もあるかな?

米を刈って脱穀しのとうみで籾殻を飛ばして米を炊いてみる。

美味しい。十分に食べていける米だ。

小麦はどうだろうか、臼がないから粉にできないな。

錬金で粉にしていく。

イースト菌はどうするか?パンが焼けないよ。

リンゴで天然酵母を作って行こう。

ビンにリンゴと水、砂糖を入れて蓋をすればOK。

数日で出来上がるはずだな.しばらく待ちの状態だな。


そして運命の167日目、魔物が氾濫した日だった。



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