表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは好き勝手に生きたい。  作者: ベルフェゴール
第二章 ダンジョン魔物放出
23/57

023

翌日、静かな朝を迎えた。

国にいろいろ話をしてすっきりしたからだな。

さて、今後を考えていこう。

生きる為に最低限必要な物、それを揃える。

俺は一万人に入る、そのためにマスターになったのだから。


「ピンポン」

今日は誰だよ、面倒事は勘弁だよ。

鈴木さんだ。

「おはようございます。」

「おはようございます。早くからすいません。」

「どうぞ。」

お茶をだしソファーに座る。

「珍しいですね、家に訪ねてくるなんて。」

「昨日、総理みたいな人を見たんですけど。」

見られたのか?

「いや、どうなんでしょ。」

「何かあったのですか、力になれる事があったら言って下さいね。」

いい人だ、捻くれた俺には勿体ない人だな。

「時期が来たら、ですかね。まだ言えないです。」

「そうですか、でも相談して下さいね。」

それから畑の話をして帰っていった。


テレビを見ていたらが新しいダンジョンのニュース映像が出ていた。

某国で岩山を吹き飛ばそうとミサイルを放った。

だが、岩山は無傷のまま残り、入口から大量の魔物が出てくる映像だった。

しかも2足歩行系のダンジョンでオーガが50体以上だった。

この国、終わったかもしれないな。

カメラスタッフに魔物が向かってくる所で映像は終わった。

今度、ドラゴンの剣で岩山のダンジョンを斬ってみるか?

魔物が出たらシャレにならないし、やめとくか。

そんな事考えてたら家電が鳴った。

「はい、勅使瓦です。」

「こんにちは、マスコです。毎日すいません。」

「本当だよ、毎日こまるよねぇ~」

「本当にすいません、すいません。」

心の声を口に出してしまったようだ。

「いや、申し訳ない、つい本音が、あっ、いや、申し訳ない。で、どうしましたか。」

「・・・ニュース映像は御覧になられましたか。」

「ええ、先程見ました。」

「どう思いますか」

「俺も一度斬ってみたいなぁ~なんて思ってました。」

「えっ!斬る!えっ・・・そうですか、斬りたいのですか。でも魔物がでるなら止めて下さいね。」

「冗談ですよ、冗談。その数の魔物が出ると倒すのが困難ですから。」

「勅使瓦さんでも倒せませんか。」

「一か所に纏まっていれば倒せるかもしれませんが、ダンジョンからでて散ってしまうと追うだけでも大変ですからね。」

「纏まっていれば倒せるのですか。」

「ええ大丈夫だと思いますよ。」

「実はあの国から救援要請がありまして。」

「ほう、救援ですか。政府は何を企んでいるのですか。

 ちなみに俺は無理ですよ。どんな見返りがあっても。」

「そうですよね。無理ですよね。」

「要件がそれだけなら、もういいですか。では。」

電話を切って少しイラつく。

もう国に係るのは止めよう。決めた。


それからはダンジョンを制覇せず、水の検査や水道の事を考えていた。

水道は水のタンクを高い場所に設置して重力による供給で行けるかもしれない。

排水は大きな排水層に貯め、ある程度の量になったら火魔法で全て炭にすればいいのか。


フライパンは魔法陣と高級魔鉄で0~250°まで設定できる物が完成した。

温度設定は穴にコマを刺す場所で変える事ができ、50度刻みだ。

コマを外せば魔力も止まる、複雑な構造を作るのは面倒だった。

同じ要領で鍋も完成。炊飯器は火力と時間は設定しておき、自動で炊けるようにした。

ただ、入れる米の量によって時間と火力を変える必要があり、設定に難儀している。


最後は風呂だ。

アースドラゴンの鱗と魔石を混ぜて風呂にして、魔法陣で水の供給と温度を設定できるツマミを付けた。

ダンジョンの中で試しにお湯を張ったが、良い湯加減だったな。

底に開けた穴は漆黒樹で蓋をつくり、ダンジョン素材だけで完成した。


作業は毎日進めていたので、次の日曜には完成していた。

最近は畑に顔を出すこともなく、ダンジョン野菜と肉で生活している。

不足しているのは魚だ。

魚の養殖ができれば敷地内ので生活が成り立つ。


日曜日、ゆっくりとしていると訪問者だ。

「ピンポン」

「どちら様でしょうか?」

「ナカモトです、チーです。」

チーちゃんか、ナカモトって名前だったのか知らんかった。

「どうしたの?」

「皆で畑に居るのですが勅使瓦さんも久しぶりにどうかなって思って。」

そうだな、久しぶりに水撒きでもするか。

「着替えてから行くね。」

「待ってますよ」


畑に行くと皆で東屋で談笑中だ。

あれっ、中にベンチがあるな。

「こんにちは、ご無沙汰です。」

「こんにちは、お久しぶりですね。」

鈴木さんが少し真面目な目であいさつだ。

「本当にご無沙汰だよ。飲みいく約束、忘れてないよな?」

「お父さん、また飲みに行くの?いい加減にしないと怒るよ。」

叶井さんの奥さん、目がマジだよ。

「今日は多めにお昼を作ってきたので一緒に食べませんか。」

鈴木さんの奥さんだ。

「私たちも手伝ったのよ。沢山食べてってね。」

そんな会話をして昼食を食べて、癒されるな。


子供たちは空いてるスペースで遊んでる。

「その後、どうですか?」

鈴木さんが聞いてくる。

「いや、どうにも変わらないですよ。」

総理も隊長さんも連絡はない。警視庁もだ。

「何かあったのか。相談事なら鈴木、力技なら俺だからな。」

奥さん、苦笑しないの。

「ありがとうございます。もう少ししたら話ができる状況になると思いますので。」

何か重い、国の話や生活の話されても現実味なかったな。

今、東屋に居る人でさえ生き残れるか判らないのにな・・・


黒い車が1台入ってきた。誰だ?

出てきたにはマスコさん。

「こんにちは、勅使瓦さん。」

「こんにちは、今日はどのような要件で?」

「先週の電話での内容です。一緒にお願いできませんか。」

「どこに行くのですか。」

「今日は都内の方までご足労願いたいのですが。」

「今日は遠慮しておきます。というか、今後も御断りしたいのですが」

「・・・・・そこを何とか、ご足労いただけませんか。」

皆、不思議そうな顔をして見ている。

事を大きくするのも嫌だし。

「今日は今後のお付き合いも含めて話させていただけますか。それなら行きますが。」

「お待ちを・・・」

離れて電話してるな、総理か大臣か、大臣なら行かないよ。

「勅使瓦さん、大丈夫です、お願いします。」

「前回、怒鳴っていた人、いないよね、いないよね!」

大事なことだから2回言ってみた。

「・・・・・後で調整します。ではお願いします。」

「すいません、食い逃げみたいですが外出してきます。」

作業着のまま車に乗り込み、出発する。

「行先は?」

「霞が関です。」

「そう、隊長さんは同席する?」

「いえ」

「少し寝る」

そう言って目を瞑り車に揺られていく。




「あれは誰ですか?」

「さあ、俺は知らん、ここいらの者ではないな。」

「私も知らないですね。お前知ってるか?」

「私も知らないわ。」

「何か緊張したやり取りだったよな、お互いの腹を探りあって。鈴木、得意だろ腹の探り合い。」

「あんな緊張してる探り合い、知らないですよ。」

「緊張してたのは相手の方よね。」

「でもよ、あの車、たけ~ぞ。一千万はするぞ。」

「そうですね、市長でも乗ってないですよ。」

そんな会話が東屋でされていた。


着いたのは市谷じゃねか、霞が関って言ったろうが。

「すいません、こちらの場所に変更になりました。」

「あの大臣、来るのか?なら帰るぞ。騙すようなら考えがあるけど。」

怒気である。思わずだしてしまい、運転手さんも動かなくなる。

「どうするんだよ!」

再度、声を荒げてしまった。

「・・・・・」

しばらくの沈黙のあと

「すいません、確認します。」

「俺が車の外にでる。」

外に出て頭を冷やす。が冷えない。

思わず魔力を発散してしまう。

周囲の動きが全て止まったかのような錯覚になるが、すぐ動きだす。

「勅使瓦さん、申し訳ない同席するそうです。」

「そうか、今日で最後だと思えばいいか、行こうか。」

そういって車に乗る。

沈黙が続き、車から降りてマスコさんの後に続く。


部屋には大臣とお偉いさんが10人、扉周辺に3人が控えてる。

両隣の部屋にそれぞれ10人以上居るな、全員レベルがあるのでダンジョン経験者だ。

「いきなり呼び出されたけど、何の用なの?

 マスコさんって警視庁でしょ、いいの此処に来ていて。」

「余計な事はいい。お前は俺の質問に答えればいいんだ。」

「そうですか、で、質問って何よ。」

「ミサイルを撃ってダンジョンから魔物が出た事件は知ってるな。」

「ああ、ニュースで見たよ。」

「あの魔物を退治してこい。」

「嫌だね、何で俺が行かなきゃいけないんだ、理由が無い。」

「俺が行けって言ったら行けばいいんだ。」

「何言ってるんだか、マスコさん、どうすればいい?」

「・・・・・」

俯いたままか。

「いい加減にしろよ!」

全開の殺気で威圧する。

全員がビクッと震え硬直する。

「もう一度言うぞ、魔物退治に別の国には行かない。理解したか。理解したら首を縦に振れ。」

大臣の首が縦に振られる。

「もう帰っていいか?」

また首が振られる。

「マスコさん、帰りも車でお願いできるよな。」

「・・・・・はい。」

二人で立ち上がりその場を後にする。

敷地を出て

「マスコさん、今後俺の敷地に入らないでくれよな。」

「解りました。」

「電話もメールもごめんだ。総理に二度と関わるなと伝えとけ。」

「知っていたのですか。」

「ん?大臣が二世って事か、知ってるよネトウヨの世界では有名だからな。」

「そうでしたか、どこのにでも居るんですよ、二世三世が。私も断れなくて。」

「そうだろうな。だが、こんな時こそ自国の利益優先で動く奴らに従うことはできないよな。

 そうは思わないかい。」

「・・・・・力及ばす、不快な思いをさせて申し訳ありませんでした。

 ただ、総理には矛先を向けないようお願いします。

 今日の事は総理も知らない事です。」

どうするかな・・・

「判った、何かあれば連絡しても構わないよ。

 ただ、あの大臣は無理だ。」

「はい、ありがとうございます。」

 

家に戻り、寝る。嫌な事も寝ていれば考えないで済むからな。


次の日からダンジョンを制覇して回った。

よるにこっそりを忍び込み、一日一か所のペースで20個程を制覇した。


明け方戻り寝起きでカレンダーを見れば六月、日曜だった。

あれから3週間か、もう大丈夫だろう。

そんな思いがフラグのように

「ピンポン」

「誰?」

「シマウチです。隊長です。」

うぉ、隊長さんかよ。

「失礼しました、どうぞ中へ。」

「失礼します。」

「隊長さんが私服で訪問とは珍しいですね。」

「今日は公務ではありませんので、私服です。」

「そうですか、公務でないなら少しは安心できますね。」

「あはは、市谷での事ですか?」

「知ってますか?あの話。」

「噂程度にはね。駐車場から殺気を放っていたとか。」

「いやぁ~、お恥ずかしい話です。」

「今日は装備について聞きたくて訪問させていただきました。

 我々の装備はダンジョンには不向きでしょうか。」

「そうですね、俺は最初に買った装備がこれです。」

バイク用のプロテクター、グローブ、ブーツを見せる。

「これは?」

「バイク用の用品です。転倒しても怪我を防ぎ動きも妨げないような形で使い勝手は良かったですよ。」

「こういった装備が必要ですか。」

「ゴブリンの棍棒を受けた時、このプロテクターの有無でダメージが違うと思いませんか」

「そうですね、これなら先日の隊員が受けた攻撃のダメージも軽減できたかもしれません。」

「できる限りの用心が必要かと思いますよ。生き抜くためには。」

「・・・・・上に装備の追加を進言します。生死を決める事ですからね。」

「この装備があっても生き残れるかは不明ですがね。

 他に海外の部隊などで使ってる装備を調べてみるのもいいかもしれませんよ。」


そんな話をして隊長は帰っていった。

ダンジョンを制覇できるだろうか。

俺は少しでも周囲のダンジョンを制覇するだけだ。

まだ40個しか制覇してないけど。


そろそろ夕食だな、そんな時間にTVの場面が変わり

「某国が緊急発表をしました」

「原油、天然ガス等の資源が消失しています」

「数日中にも全ての採掘ができなくなります。」

おっと他国が先に発表したか。

魔石の研究も公表したか。

まだ実用化できていないようだな。魔法陣が必要だしな。

自国民への帰国を促している、当然だ。

いつまで飛行機が飛ぶか判らないが、燃料の問題は大きいだろう。

俺はフライパンを取り出して

「発電できればいいのだが・・・」

独り言を呟いた。

熱があるのだから蒸気タービンで発電できないか?

魔法陣で高温が維持できれば可能ではあるが、消費魔力が多く長時間の使用は無理かな。

フライパンだって5回もステーキ焼けば魔力の補充が必要だしな。

ドラゴンの魔石1個で時間単位しか稼働しないだろうな。

蒸気機関車はどうだろうか、あれは石炭だ。無くなっただろうな。

まだ実用化できる物は無い、か・・・


そんな思いでニュースを眺めていると家電が鳴った。

「はい、勅使瓦です。」

「マスコです、申し訳ありません、切らないで下さい。」

マスコさんか、切らないよ。

「どうされましたか。」

「ニュースはご存知ですか」

「見ましたよ。」

「その件で明日、お時間をいただけませんか。」

「いいけど、大丈夫?」

「大丈夫です。前回の件は報告済です。今後の対応も含めて明日、お話させていただきます。」

「わかった。」

「明日、9時にお迎えに伺います。」

「よろしく。」


そろそろ大きく動く時か。

俺一人では何もできないけど・・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ