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ダンジョンマスターは好き勝手に生きたい。  作者: ベルフェゴール
第二章 ダンジョン魔物放出
21/57

021

翌日も休みだったので叶井さんの家に伺った。

昨日の作業費を渡すためだ。

「ピンポン」

「は~~い。」

「勅使瓦です。叶井さん、旦那さんご在宅ですか?」

「ガチャリ」

「すいません、まだ寝ているのよ、起こしてきますね。」

「いえいえ、ではこれをお渡し下さい。」

「なんですか?これ。」

「昨日、トシ君と二人で壁紙を貼っていただいたのでお礼です。」

「そんな事してたの?」

「ええ、午前中から夕方まで。」

「まったく、何も言わずに出て行って夜遅く酔っぱらって帰ってきたと思ったら、まったく!」

奥さん、知らなかったらしい。来たらダメだったか・・・

「まあ、そういった事でこれ、お願いしますね。」

少し強引に押し付けて戻ってきた。

こんな所まで尾行、ご苦労さまです。

歩いてきたので、二人組に向かい会釈してやった。

気まずい顔してたな、悪い笑顔が出てそうだ。


コンビニで昼食を買い、外にでると別の二人が居た。

面倒なので

「何か用事でもあるのですか。いつも家の周りをうろついてますよね?警察、呼びましょうか。」

「いや、特に何も・・・・・」

「何もって二日前、ジョギング中にも路駐してましたよね。」

「人違いですよ。そこには行ってません。」

「ナンバー●●-●●の車に乗っていましたよね。違いますか?」

「違いますよ、そんな車知りません。失礼します。」

足早にその場から去っていった。

家に戻ると4人は残っていたが、先程の二人は居ない。

家の周りを車で走り、ドラレコに車両と人物を記録しておく。

しばらくして4人も居なくなった。

誰が監視しているんだ?謎だ。

危険があるかも判らない状態になったので、カイザーベアの皮でシャツとパンツを作る事にした。

これなら拳銃くらいなら怖くない。

普通のボタン付きのシャツを熊の皮に置き換えていく。

そんなに硬くはないな、

Gパンを出し、こちらも置換していく。

完成だ。これで防御が上がったな。


「こんちは~」

叶井さんの声だ。

「こんにちは、昨日はありがとうございました。」

「いいっていいって、だがこれは多すぎだ。半分返すよ。」

「いえいえ、この面積では妥当な金額だと思いますよ。ネットで調べましたから。」

「でもなぁ~トシは昨日の飲み代でチャラだしな、やっぱ返すよ。」

「なら、トシ君ともう一回飲みに行って下さいよ。」

「ん~~そうか~・・・よし、次は三人で行こう、それで決まりな。」

どうしても飲みなんだな。

「そうしましょう、この話は終わりです。」


叶井さんは帰り、俺はニュースを見る事に。

あれから20日以上たちダンジョンのニュースは撤去についてに変っていた。

中の事は何も報道されていない。

中に入っていないのか?報道規制か?


「ピンポン、ピンポン」

「どちら様でしょうか?」

「県警のヤマイワといいます。勅使瓦さんのお宅で間違いないでしょうか。」

「勅使瓦ですが、どのような要件でしょうか。」

間違いなくダンジョンの件だろうな、監視の奴らに絡んだから親分登場か。

「少しお聞きしたい事がありまして。」

「今、忙しいので後日にして下さい。」

窓も扉も鍵かけてあるよな。

窓は防弾にしてないな。後で変えるか。

「少しでいいのでお話聞かせていただけませんか。」

しつこいな。

「書面で郵送していただけませんか、それなら時間のある時に読みますので、。」

「・・・・・可能であればお話したいのですが、ご迷惑でしょうか。」

「要件も知らされずに警察から話があるって俺は犯罪者扱いですか?」

「そうは思ってませんが、・・・・・心当たりはありませんか。」

どうでるか、ここで揉め事起こしても隠蔽されるだろうし。

外には12人もいるからな、最悪強硬手段にでる気だろうな。負けないけど。

「外にいる10人、引き上げてもらえますか。」

「えっ!・・・・・」

「だから、家を囲んでる10人に帰ってもらって下さい。話はそれからですね。」

「・・・・・知っていたのですか?」

少し離れたところで話声がするな、電話で指示を聞いてるのか?出しているのか?

離れて行くな。でも、そこは帰ったとは言えないよ、500m離れただけだよ。

「勅使瓦さん、よろしいですか。」

「500m離れるのは帰るとは言わないよ。」

「・・・・・」

また電話している。

今度は帰っていったな、2キロは離れ、まだ遠のいていく。

「ガチャリ」

扉を開ける。

「改めまして、県警のヤマイワです。」

「同じく県警のフジタニです。」

「どうぞ中へ。」

ふたりを居間に通し、冷蔵庫から冷えた烏龍茶を出す。

「で、要件はなんですか?」

「いきなりですか。」

「駆け引きは面倒なんで率直にお願いします。」

「では、最近発生している謎の穴についてはご存知ですか?」

「ニュースで見て放映されている情報程度は知っていますが。」

「その穴が突如として消えている事は?」

「それもニュースで放映してたので、その程度の事は知っています。」

「穴が消えるのは当県警の範囲内、しかもこの街を中心に消えているようなんですが、

 何か御心あたりはありませんか。」

そうか、自分中心で動いていたからな、もう少し範囲を広げればよかった。

「それは悪い事ですか?良いことなのですか?それすら俺には判断できませんが。」

「良し悪しの問題ではなく、不自然な現象が現れているのです。

 それを調べているのが私たちの課でして。」

「それは俺には関係無い事だと思いますが。」

「こちらを見ていただけますか?」

鞄からタブレットを出し、動画再生を始める。

ダンジョンの入り口だ。Lv7の魔物系ダンジョンだったか。

上から誰か降りてきた、って俺だよ、暗くてはっきりと顔は判別できないけど。

監視カメラがあったのか、盲点だったな。

「この方、上から降りてきたように見えるのですが、あなたに似てませんかね。」

「暗くて解りませんが、他人の空似ってやつでは?」

「他の穴周辺でも同じような方を見る事ができまして、この方が現れた穴は必ず消えているのです。」

「・・・・・」

「我々は穴を消す方法を知っている方が居るのであれば教えていただきたいのです。」

「・・・・・」

「穴は何なのか。何があるのか。この先どうなるのか。皆さん不安なのですよ。

 少しでも多くの情報を得て、対策を講じなければいけません。」

「・・・・・」

「勅使瓦さんがこの方だったら教えていただきたかったのですが、人違いのようですね。

 お時間をいただき、ありがとうございました。」

「次長、それでは帰れませんよ。もっと聞きたい事があるでしょう!」

フジタニ君が声を荒げる。

「静かにして下さい。私たちは犯罪者を捕らえにきたのではありません。

 協力者を探しているのです。そんな態度で協力が得られると考えているのですか。」

「・・・・・」

しばしの沈黙が続くが、

「お茶が温まってしまいましたね、冷たいのに変えましょう。」

「いえ、結構です。そろそろ帰りますので。」

「そうですか、帰りますか・・・

 ちょっと独り言が出たら聞き流して下さいな。」

「「・・・・・」」

「ダンジョンには魔物が徘徊してるんだよ。

 ダンジョンにはLvがあって高いほど強い魔物がいる。

 ダンジョンを消すには一人で中にいる魔物全てを倒す必要がある。

 魔物を制覇できるとダンジョンマスターになれ、休止、停止、破壊が選択できる。

 魔物には拳銃や機関銃が通用しない強力なやつもいる。

 魔物はダンジョンから溢れだすだろう。

 あと一番重要なのはこの世界のエネルギーが無くなる事かな。

 地中のエネルギー源は全て吸収されるだろう。鉱物も同じ事になるだろう。」

「「・・・・・」」

ここで部屋の中に軽く雷を走らせる。俺の電気機器も壊れるが県警の分も壊しておく。

「!!!何をしたのですか?」

「電気を流した、部屋の中に。電気機器は全て壊れただろう、俺のも一緒にね。テレビ買いにいかないとな。」

「「・・・・・」」

「録音機器も壊れたよ、確認して。」

二人はICレコーダーを取り出し確認するが、落胆の色が隠せない。それ以上に

「どうやったらこんな事ができるのですか?」

「ダンジョンを攻略していくと魔法が使えるようになる。」

「なっ!そんな御伽噺、誰が信じるか!何をしたんだ!言え!」

フジタニ君が怒る、当然か。

俺は殺気を込めてフジタニ君に

「座ってくれないかな。独り言だといったけどな。」

二人は青い顔して座っている。

俺はお茶のお替りを取りに立ち上がると

「殺されるかと思いましたよ。こんな殺気、初めてです。」

ヤマイワさんが俯いたまま呟く。フジタニ君は全く動けない。

「どうぞ。」

長い沈黙の後、

「正直、どう説明していいのか理解できませんが、

 あの穴は魔物が居るダンジョンで間違いない、そう解釈してよろしいでしょうか。」

「いいのではないですか、皆さんが共通の認識を持つ必要があるのでしょうから。」

「魔物に人間は勝てますか。」

「・・・・・努力、とだけ言えますかね。」

「勅使瓦さんは勝てますか。」

「俺は負けないと思いますよ。」

「同じように勝てる人を知ってますか。」

「知りませんが、誰もダンジョンに入ってないなら居ないでしょうね。」

「ダンジョンに入らないと勝てないのですか。」

「魔物より強い生物は地上には居ないですからね。」

「解りました。この話を後日、もう一度正式な場でお願いできますか。」

「・・・・・メリットは?俺に何かメリットがありますか?」

「・・・・・」

「只より高い物は無いって昔から言うでしょ。国に世話になってるとはいえ税金払ってるし、ねぇ。」

「一端、持ち帰って検討します。」

「いや、独りごとだから、間に受けないでね。」


二人を見送り

「二度と監視を置かないで下さいね。次は本気で対応しますよ。」

「・・・・解りました。失礼します。」

ヤマイワさんは挨拶して帰ったがフジタニ君は俯いたままだった。


夜にLv6の飛行系ダンジョンを制覇した。21個目だ。


翌日は子供の日、祝日だ。

明け方にもどったので夕方まで部屋で過ごし、テレビを買いに行った。

付近に監視らしい車や人影は見当たらない。

夜になっても監視は付かなかった。


連休も終盤、暦の上では平日だ。学校もある。

「ピンポン、ピンポン」

「どちら様でしょうか?」

「県警のヤマイワです。朝は早くから申し訳ありません。」

「どうぞ。」

今回は中にすんなりと入ってもらう。

「初めまして、警視庁のマスコです。」

県警から警視庁に変ったよ。

「早速ですが、ダンジョンについてお尋ねしてもよろしいでしょうか。」

「・・・・・先日は独り言を言っただけなんだけどな。」

「ダンジョンを全て消したい。できますか。」

「無理だな。数も多いし、人もいない。」

「人を揃えればできますか?」

「俺が1000人いればできるかもな。」

「随分と自信がおありのようですが。」

「最初から話しようか、なぜダンジョンができたのか?俺がダンジョンを消す事ができるのか?

 今日は持ってないよな?電子機器。昨日テレビの買い替えしたから壊したくない。」

「先日は失礼しました。今日は持っておりません。スマホも置いてきました。」


俺はダンジョンの発見と神様とのやりとりからを話していった。

ダンジョンの制覇や武器の製造については詳しく教えなかった。


「「・・・・・」」

「あなたは神を信じますか?」

そんな宗教の誘い文句みたいに言ってみた。

「信じろ!という方が無理がある。神様と話をするなんて。」

マスコさんは神を信じないタイプか。

「神様の話より勅使瓦さんの強さはLv9ダンジョンを制覇できるほど強いと。」

「この国の戦力、戦闘機や戦車、ミサイル、どれを用いても倒せない魔物が居る。

 これは事実なので、国がどう判断し対応するか、それによって人間の生存数が決まる。

 あなた達の初動が間違えば大変な事態になる事。それは間違いないですよ。」

「どうすれば?」

「ダンジョンを制覇するしか道は無いでしょうね。」

「今の封鎖を解除しろと・・・」

「いや、国が主導して攻めるべきかと。」

黙っていたヤマイワさんが

「狭い範囲で考えて、この街は助かるのですか。」

「無理ですね。何十万もの人が住める場所と食料を何年も提供できるのですか、国は?」

「国でも無理ですね。やはり地域限定でも無理ですか。あなたが居ても。」


「持ち帰って相談します。」

マスコさんが言うが

「ね、だからダメなんですよ。相談相談、先日のヤマイワさんとの話から二日ですよ。

 何か進みましたか。多分ですが一週間たっても進んでいないですよ、今の対応方法だと。

 トップダウンのできる組織が必要だと思いますけど。」

「耳が痛い言葉ですね。

     一端、帰ります。」




週末だから警察の上層部はお休みで動かないだろうな。

俺は家の裏に罠ダンジョンをだしていく。

ダンジョンコアに

「休止状態で開始」

「ダンジョンが開始されます。設定をどうしますか。」

「入口は穴だけ、砂漠は無。内部は初期設定のまま設置。」

穴から中に入り、罠を確認する。

ダンジョンコアを入手した時に罠の仕組みが理解できた。

今日は再確認だ。

休止状態、しかもダンジョンカードを持っているので罠は発動しない。

罠には魔法陣が必要なのだ。これを上手に使えばコンロやストーブ、エアコンの代わりが作れるような気がしていた。

実際の罠と魔法陣を見て強さや時間の書き込んである場所を探る。

一端、管理室みたいなコアのある部屋に行き罠の設定を変えて稼働させる。

入口でダンジョンカードを空間収納に納めダンジョンに入る。

火魔法のところで石を投げて威力を見る。

時間、威力共に設定通りになっている。

よし、よしこれでフライパンや鍋が作れるな。

風魔法や氷魔法も設定、確認をしてダンジョンを停止して転移する。


おっと!マスコさんとヤマイワさんが穴の前に居たよ。

「・・・・・こんにちは。」

「こんにちは、何をしていたのですか?」

「ちょっとダンジョンの研究をね。」

「研究?ちょっと興味がありますが、話をさせていただいてもよろしいでしょうか。」

「今日は土曜だからお休みかと思ってました。」

「昨日の話で休みとか無いと考えてくれませんでしたか。」

そんな話をしていると穴が消えた。

「本当に出し入れ自由なんですね・・・・・」

ヤマイワさんが呟くように言う。


二人を部屋に通し、お茶を出す。

「何時頃に来たのですか?」

「9時前だったのですが、窓は空いてるが人が居ないので戻ってくるかと待ってました。」

「いや申し訳ない。ダンジョン出して遊んでたから。

 で、今日は何用で。」

「一番近い基地にご同行願えませんか。

 正直、警察機構での対応は難しいと思うのです。」

「素晴らしいですね、昨日の今日で即決ですか。」

「昨晩、総理に直談判しました。」

マスコさん、やるな。でもヤマイワさんが

「私は県警なのでここまでで終わりです。」

「そうですか、残念です。フジタニ君にもよろしくお伝え下さい。」


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