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ダンジョンマスターは好き勝手に生きたい。  作者: ベルフェゴール
第二章 ダンジョン魔物放出
20/57

020

翌日のTVはどこもダンジョン一色だった。


都会に突如現れた森や岩山が映し出されていた。

都内だけでも100を超えるらしいが、全体の把握はまだだ。

現れた岩山や森でかなりの人が亡くなった。

日本だけでも数千に及ぶのか?そんな考えでSNSを覗いてみた。

「ダンジョンだ!」

「エルフは?ドワーフは?」

「ダンジョンに侵入するぞ!」

様々な書き込みが乱れていた。

入るなよ、スライムなら問題ないと思うけど、飛行系なら終わりだと。

放送では近づくなとしきりに繰り返しているが、ネットでの祭りには叶わない。


俺がダンジョンを制覇したからなのか?

そんな考えが頭をよぎる。

あの神様、そんな事言ってなかったし。けど偶然ではないよな。

家の大岩だって何百年も前からあったのだから。

待てよ、ダンジョンって既に昔からあって出現のきっかけを待っていたのか?

あの神様が誘ったからダンジョンに入ったのだし、あの野郎!


周辺にダンジョンが発生していないか探索で探ってみる。

8キロ圏内に6ヶ所のダンジョンがあるな、Lvは4~6か。

Lv6のダンジョンに向かってみると既に自衛隊により封鎖が終わっていた。

近くに基地があるから初動が早いな。

ここは周辺が森になってる、直径で1キロくらいの範囲だ。

救急車や警察車両が絶え間なく走っている。

解析で見てみると飛行系だな。20階層くらいか。

入口は穴だな。隊員が10人程立っている、中に入ったのか?

気になるので一端離れて車の中で探索で人の動きを探る。

昼近くになって交代要員が来て入れ替わったが中には入っていかない。

懸命な判断だ。迂闊に入ると死ぬからな。


廻りを取り囲む野次馬も夕方には減っていき、21時を廻ると隊員以外が居なくなった。

隠蔽で気配を消し、空歩で上から入口に向かう。

午後にはバリケードで入り口周辺を閉ざし、外から見る事が出来なくなっていたので侵入も外からは分からないだろう。

入口で装備に着替え中に入る。

スズメみたいな鳥が襲ってくるが雷を横に走らせ瞬殺だ。

ボス部屋も一緒、瞬殺を繰り返しダンジョンカードを手に入れる。

そのまま魔法で進んでいくと最下層はファーイヤーイーグルだった。

サンダーバードよりLvが低いので火には氷って事で凍結弾で瞬殺。

明け方にはダンジョンカードを埋め、停止状態にした。

すると自動で入り口に転移されたので、慌てて空歩で逃げる。手元にはダンジョンコアがある。

10分もするとダンジョンへの入り口は消えたが森は残った。


車に戻り一息。

「Lv6のダンジョンは一瞬だったな。」

「飛ばないとはいえドラゴンを倒したのだから当然か。」

家に戻りながら次のダンジョンに向かうか考えていた。



朝、8時前だというのに鈴木さんが畑に居た。

「おはようございます。」

「おはようございます。朝からお出かけですか?」

「ちょっと近所のダンジョンを見に行ったのですが、封鎖されていて近づけませんでした。」

「大変な事になりましたね。何ですかね、あれは。」

「ネットだとダンジョンだって昨日は騒いでましたが。」

「昨日、入った人がいて夜になっても出てこないってニュースで言ってましたが。」

「怖いですね。何か判っていないのに入るなんて無謀です。装備を整えないとダメですよ。」

「装備ですか?」

「そうそう、耐性のついた装備が必要ですよ。」

「耐性?何ですかそれは?」

あっ、俺はダンジョンを知ってるけど世間は知らないのだったな。

「いや、ラノベとかで出てくるではないですか。」

誤魔化してみる。

「・・・・・漫画やアニメの世界なら、そういった装備で済ますが現世界では・・・」

「あれがダンジョンだと仮定すると、中に居るのは魔物で出てこないって事は・・・・」

「「・・・・・」」

「鈴木さん、今日は仕事に行かないのですか?」

「この騒ぎで昨日から仕事にならないですよ。」

「場所によっては停電してたりしますか?」

「この辺は大丈夫ですね。ニュースではあちこちで停電してるって言ってましたが。」

「そうですか・・・これからどうなるのでしょうかね?」

「少し不安ですね。早く全容が解明すればいいのですが。」

「畑のほうれん草はそろそろ収穫が近そうですね。」

「ええ、あと一週間もしないで大丈夫でしょう。」

「そろそろ別の野菜も仕込む時期ですね。」

「夏に向けて枝豆ですよ、枝豆。」

「そうそう、ビールに枝豆、最高ですからね。」

「あれはダンジョンなんですかね?」

鈴木さん、ダンジョンの話から離れないな。

「そうだと面白いかと思うけど、危険もありそうなので、普通の穴だったらいいのですが。」

「・・・・・面白そうですか。」

「いや、そういった意味ではなくラノベ的に「俺TUEEEEEEEEEE!」って感じにならないかなって。」

「あははは、そんな感じなんですかダンジョンは。戻ったら子供に聞いてみますよ。」

「ハーレムとかあったりしますよ。」


そんな話をして徹夜明けだったので寝た。


夕方に起きだし、風呂に入ってさっぱりしてからTVを見る。

各地でダンジョンに入り戻らない人が多発しているようだ。

しきりに入るなと警告を発しているが、無理だろうな。

ダンジョン認定されてしまったからな、ネットの中では。


今晩はLv4のダンジョンに向かう。夕方、明るい時間に到着しあたりを伺う。

岩山に穴があり家のダンジョンと同じ入口だ。

ここは動物系のダンジョンだ。

夜になったので空歩で岩山に登り、隠蔽で降りる。

中は草原だったり森だったりしたが、最下層はホワイトウルフだった。

バッファローも居て肉も増えた。

ここも停止にしてダンジョンコアと入口に転移し空歩で逃げる。

岩山が消えたのを確認して家に戻る。

まだ夜明け前なので早々に寝床に潜り込み就寝。


その後、毎日1個づつダンジョンを制覇していった。

Lv5魔物系

Lv4死霊系

Lv6ゴーレム系

Lv4飛行系

8キロ圏内全てのダンジョンを制覇し、停止状態にして持ち帰った。


その間にもスーパーや直売所で購入した野菜をダンジョンに吸収させていた。

朝帰りを利用して直売所を廻り、農家さんからカットしていない葉付きの大根やニンジンを購入していったのだ。

スーパーでは値上がりしており、品数も少なめになっていた。

だが、1階層はいろいろな野菜が採れる階層になっていた。

野菜も肉もダンジョン産で賄えるので食事は楽になった。


Lv4の飛行系を制覇した翌日は日曜だった。

午後に起きた俺は畑へと向かった。

三家族、揃って東屋で休憩中だ。

「こんにちは。」

「「「「「こんにちは。」」」」」

皆さん揃ってるな。

「今日は天気も良くて畑日和ですね。」

「動いてると暑いよ、はっはっはっ。」

叶井さんが笑う。

「いい汗かいてますよ。」

鈴木さん、いい笑顔だ。

「少し疲れてませんか?顔色が悪いですよ。」

鈴木さんの奥さんに言われる。

「最近、寝不足でね。」

「夜遊びか?羨ましい!」

叶井さん、違うからダンジョン制覇してるから。

皆、いいひとだな。どこの馬の骨とも知れない俺に接してくれて。

田舎は閉鎖的だっていうけどここは違うな。

「これ、あたしが採ったの。」

ミヤちゃんが自慢してくる。

「偉いねぇ~、今日はママとおねえちゃんと一緒に収穫祭だね。」

「夜は私が料理を作るのよ。お母さんと一緒に。」

「ミヤも作る!」

アオイちゃんが言えばミヤちゃんも言ってくる。

「ミヤはお手伝いね。」

チーちゃんが諭すように言うと

「は~い。ミヤ、お手伝いする。」

素直な良い娘だ。

「私も帰ったら料理しようか、お母さん。」

鈴木さんの長女、ユミちゃんだ。

「一緒に作ろうか。」

下の娘、ユマちゃんも同意する。

「お願いね。」

鈴木さんの奥さんが嬉しそうに答えると鈴木さんも最高の笑顔だ。

俺も家族欲しいな、そう思った瞬間だったな。

「息子さんは来ないのですか?」

「高校生の息子だかなら、今日は部活か?」

「ええ、部活よ。朝も言ったのに。」

叶井さん夫婦も楽しそうだ。

「今晩、収穫祭で飲みいくか?」

叶井さん・・・

「今日は日曜だからお店は休みですよ。」

「チーちゃん、開けてよ。」

「ママに言って下さい。ママなら嫌だって答えるでしょうけど。」

「「我慢しなさい。」」

皆に声を揃えて言われる叶井さん、ちょっと悲しそうだが同情はしないよ。


日曜なので俺もダンジョン制覇に行かず、TVのニュースをチェックした。

全国で二千を超えるダンジョンが発生したそうだ。

各国も同じような状況だが北米や大陸の国は人が住んでいない土地のほうが広いので把握しきれない状況らしい。

欧州では見つけたダンジョンの封鎖に成功したらしい。

どこの国も発生時に相当数の人が犠牲になっている。

また、封鎖される前に侵入して戻らない人も多数でている。

この国では封鎖と情報伝達が早かった為、侵入による被害は数十人だった。

で、ダンジョンが突如消えた事もニュースになっていた。

俺が停止したダンジョンの事だ、間違いない。

原因が解らず、全てが消えるのか?そんな憶測まで出ていた。

どうするのがいいのだろうか。

全てのダンジョンは制覇できない。首都圏でも厳しいだろうな。

魔力も増えて広範囲に索敵が使えるのでダンジョンを探ってみた。

150キロ程の場所に罠系Lv7のダンジョンがあるな。

明日はそこに行ってみよう。


車で行こうと走りだすが、ガソリンも値上がりしてるな。


罠系は周囲を砂漠に変えていた。

障害物がなく丸見えだ。

入口は囲われていて、人は見えない。

索敵で探ると砂漠の外周に何人か配置しているな。

暗くなれば隠蔽と空歩で対応できるな。

街中まで戻り、時間を潰す。

塩や胡椒といった食材のほかに生地も買ってみた。

衣類はダンジョンでは作れないからな。スパイダーの糸で織るにしても人出が必要だし。

車に積めるだけの生地を積んでダンジョンへ向かう。


中に入ると廊下が続いているようだ。

地図化でフロア内を確認し、索敵で魔力を探すが魔物は居ない。

解析で床や壁、天井を探りながらゆっくりと進む。

床に魔力の流れがある。

罠か。空間収納から岩を出し置くと床が消えた、落とし穴だ。

迷路になってる廊下を迷うことなく進んでいく。

落とし穴や炎が出る罠、壁から矢が飛んでくる罠。突風の罠、様々な魔法を使った罠があった。

罠がある通路が正解で罠の無い通路は行き止まりになっているようだ。

ボス部屋は罠が沢山あった。動くと矢や魔法が飛んでくるが、空歩と盾で防ぎ転移陣に向かう。

奥の転移陣に乗るとダンジョンカードが現れて2階層に転移した。

下の階層でも同じような罠が続いていくが、下層になるほど魔法の威力が増えてくる。

最下層、24階層の炎はミノタウルス並みの火弾だった。

そんな罠も攻略してダンジョンコアを手に帰った。


全てのタイプのダンジョンを入手し次の攻略場所を探していた。

15キロ圏内には19ヶ所のダンジョンがある。

Lv3~Lv8だ。罠系以外は全てあるな。

これもひとつづつ制覇していこう。


昼間は物品購入、夜はダンジョン制覇、そんな日が続く。

5月になった日、家の周りに人が居る。6人だ。

見張りのようだな、何かマズい事でもやったか?

罠系ダンジョン制覇の後

Lv8飛行系

LV3魔物系

Lv4魔物系

Lv8死霊系

Lv7飛行系

Lv4飛行系

Lv7ゴーレム系

Lv4動物系

Lv7動物系

Lv5ゴーレム系

Lv4ゴーレム系

Lv7魔物系

13ヶ所のダンジョンを制覇して消しているのだが見られていないと思うしな。

今日はLv8のゴーレムの予定だ。

車でいつものように出かける。

2台が尾行してるな。コンビニで止まる。

1台は素通りし1台は駐車場に入ってくる。

俺は車から降りずに様子を伺っていると1台から一人が下りて店内に入っていくが運転手は残ったままだ。

素人の俺に振り切ることはできないか。

ダンジョンの近くまで行き、ホテルを探す。

隣街にあるビジネスホテルにチャックインすると駐車場には先頭の1台が止まっていた。

ダンジョンの場所まで空歩で行く事にした。

暗くなってから非常階段のドアを開け空歩で一気に加速してダンジョンに向かう。

Lv8のゴーレムダンジョン最下層はゴーレムナイト、騎士のゴーレムだ。

剣と鎧で武装しているがドラゴンの大剣一振りで倒していく。

20個目のダンジョンコアを入手しホテルに戻る。


チャックアウトが10時なのでギリギリまで寝てから戻る。

2台体制の尾行は続いているな。

無視して家に戻り、二度寝する。

目覚めても監視は居る。

面倒だな。着替えてランニングに出る。

敷地の廻りを走るのだが、しっかりと車が止まってる。

ペースを落とし中を覗くように走っていく。

10周も走っただろうか、6人の顔は覚えたよ。

相手も移動する事なく居るって事は気付かれてもいいて事か。


暗くなってから家の木を漆黒樹に置換する事にした。

何があるか分からないが漆黒樹にすれば拳銃は貫通しない。

漆黒樹が4本で置換ができた。

だが壁はモルタルのままだ、どうするか。

アースドラゴンの鱗を粉にしてモルタルの代わりに使えないかな。

錬金で粉にするのは簡単だったが壁に着かない、接着剤が必要か。

まてよ、そのままモルタルと置換してみるか?

できたよ。龍の鱗の外壁。色が茶色になったな。今までは白だったから目立つな。

瓦も鱗で置換する。3耐性が付与された家の完成だ。

部屋の中も茶色になってるよ。明日は塗料を買って塗ってみるか。


翌日、監視はあるがホームセンターに行き塗料を大量に買って戻った。

脚立で上から乳白色の塗料を塗っていく。

平屋で良かった。昔の家なので平屋なんだよ家は。

大きい居間の他は台所と6畳の寝室があるだけのシンプルな造りだ。

居間はフローリングだが襖の押し入れがあったりしてリフォームの苦労が見える。

一日かけて外壁を塗り終わり内装は壁紙を張る事にしよう。


翌日は5月3日で祝日だ。

壁紙を買いにホームセンターへ行こうすると畑に叶井さんが見えた。

「叶井さん、おはようございます。」

「おお、おはよう。お出かけかい?」

「ホームセンターに壁紙を買いに行こうと思って。」

「ほう、リフォームか、自分で?経験は?」

そうだ、大工の棟梁なのだから壁紙張れる職人さんを紹介してもらおう。

「経験無いので紹介していただけませんか?」

「紹介?いや、俺がやるよ。」

「へっ?大工さんですよね、できるのですか?」

「素人に比べれば職人さ、職人に比べれば素人さ。」

「何ですか、その領域は。」

「いいから、いいから買い物に行こうぜ。」

そう言って車に乗り込み一緒にホームセンターに向かう。

モルタルの上からでも張れる少し青が入った感じの壁紙を買って戻る。


「どうぞ入って下さい。」

「邪魔するよ~、なるほどなるほど。この造りなら買った分で足りそうだな。」

叶井さんが言いながらサイズを測っている。

俺は今の中の家具を外に運び出す作業だ。

「おぉ、頼むよ、来てくれよ。」

そんな声が聞こえて部屋に入ると叶井さんが、

「助っ人呼んだから、今日中に終わらせるよ。」

有難い、助っ人だ。

重い物は寝室に入れ、軽い物は外に出し終わる頃にトシ君が来た。

「こんにちは、助っ人参上しました。」

「待ってたよ、そっち持ってくれ。」

叶井さんが指示をだし、切った壁紙を合わせていく。

手慣れた感じであっという間に居間が張り終えた。

「昼飯買ってきますね。何がいいですか?」

俺が言うと

「「焼き肉弁当、大盛で!」」

同じ答えが返ってきた。

早々に弁当屋さんに向かい

「焼き肉弁当2個、大盛りで!肉も大盛りで!幕ノ内弁当1個。」

戻ると居間の家具は戻っていて、寝室の家具が居間にあった。

部屋は埃っぽいし狭いので庭先のベンチで食べていただく。

寝室も終わり、廊下、台所と張り替え終わる頃には暗くなっていた。

「夕飯でもいきましょう。」

「いいね、トシ、何がいい?」

「焼き肉で!」

二人で笑って焼き肉を食べに行った。


戻ってきても6人は相変わらず監視を続けている、面倒な奴らだ。

少しイラつきを覚えていた。


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