018
この日は朝から38階層に向かった、剣撃の鍛錬だ。
まずは邪魔なジェネラルベア60体を倒してから黒い木を斬っていく。
この黒い木を漆黒樹と呼ぶ事にした、黒くて硬くて不気味だからな。一撃で倒せるよう大剣を握り、斬りつけていくが斬れない。力ではないと思う、筋力だけで斬れるなら魔力もさほど必要にならないだろう。
何度も角度や力加減を変えながら試してみるが、傷すらつける事ができない。だが、諦めるわけにはいかない。魔力を流し斬りつける。
斬れた、魔力を流せば切断できるのだが。
この時、魔力によって当たった時の反力が伝わってこなかった。ここか、力を逃がさずに伝える事が必要だったのか。魔力を徐々に弱めながら剣撃を放っていく。
一日かけて鍛錬したが、魔力消費を抑える事はできたが、無くすことはできなかった。
ただ、枝打ちもしたので50本の漆黒樹が手に入った。太さが1mでそのまま80m長さまで同じ太さなので使えそうだ。待てよ、釘が刺さらないよな。何に使えばいいんだか・・・
39階層でアースドラゴンを見る。
フロア内は1体居るな。流石に複数は無いよな。
今日も帰ろう、入口に転移する。
もう暗くなっているが畑を見に行く。
変化無だな。
魔力の循環と吸収を繰り返し魔力を上げておく。
ラスボス一歩手前の戦い、気合を入れてダンジョンに行く。
アースドラゴン、Lv300は迫力あるな。
圧空盾をだして攻撃に備える。
角から雷撃を飛ばしてくる。尾からは火弾だ!
「バリバリッドッカーーン」
二つの攻撃を盾で受けるのは厳しいな。
足で土を弾けば土弾になって飛んでくる。
休む間も無く攻撃が続く。
近づけないと剣では戦えない、どうする?
「バリバリッドッカーーン」
雷撃が来るが、受けるしかできない。
火弾に凍弾を合わせて撃っていくが、凍弾が消えてしまった。魔力が弱いようだ。
魔力を上げて凍弾を連射していくとドラゴンが動いて躱していく。
よし、動かすことができた、次は攻撃を当てる事だぞ。
口を開けてブレスを飛ばしてくる。これは攻撃時間が長いな。5秒は続く。
その間に他の攻撃は無いので、ここが攻略するポイントだろうな。
ブレスが止まって凍弾を撃てば、火弾と風刃を撃ってくる。
攻撃はお互いに当たらないが、距離が遠いままだ。
何回も同じような攻撃をお互いに繰り返し、時間と魔力だけが消費されていく。
魔力を倍以上に増やして凍弾を放ってみた。
火弾も風刃も消えて凍弾が当たるが動きは止まらない。
ブレスを撃つのか、口を開けたので氷弾を口の中に打込んでやる。
顔を振って躱した、その瞬間に空歩で距離を詰め、魔力を込めて首に一撃を入れる。
刃が食い込むが倒す事はできない、逆に首を振られ俺が飛ばされる。
まだ魔力が足りないか。飛ばされながら盾で火弾を受けたので更に飛ばされる。
「グギャァ―――!」
首に攻撃を受け怒ってるな。もう少しだ。
着地前に風刃で応戦しておくが効果は無い。
態勢を立て直し火弾と空刃をお互いに放ちあう。
また数回の魔法攻撃が続く。
凍弾の魔力を高め広範囲にして躱せないようぬに放っていく。
ドラゴンはブレスの為に魔力を貯めていたが躱す為に魔力が散る。
追いかけるように空歩で飛んで距離を詰めていく。
だが、ドラゴンも下がり躱される。
下がるドラゴンに向けて凍弾を放ちながら追いかける。
首へのダメージがあるからか、こちらの方が動きは早い。
だが、ブレスがきた。盾で受けるが押し返される。が、空歩で横に飛んで躱し首に向かって進む。
首をこちらに向けるが俺が早い!
先程より魔力を込めた一撃を放つ。
途中で止まるが風刃を重ね掛けするように放ち首を落とす!
何回か飛ばされたが勝つことができた。
魔石と鱗が20枚、角、肉が落ちている。
長い時間戦っていたようだ、体力、魔力の消耗より気力が減った・・・
大きい角があるな、大剣で角を斬ってみるが斬れない。
首を落とした時と同じ魔力で角に一撃を入れるが斬れない。
これだ、これで大剣を作ろう。
片側だけで1m×3mなので体積にすれば5倍程度、これを大剣に圧縮して剣にする。
ドラゴンの魔石は大きいので1/4程加えて錬金を始める。
硬いな、なかなか形が変わらない。圧だけでなく熱も掛けて錬金していく。
少しづつ形になっていく。圧縮して形を整えて、よし完成だ。
薄い茶色の大剣だ。
ボス部屋はブラックアースドラゴン、Lv350。
全てのステータスが2割以上上がっている。
38階層で漆黒樹を斬ってみると魔力無で切れた。
ドラゴンの剣、最高!
部屋に入ると同時に凍弾を放っていく。
火弾、空刃で対応されるが打ち消すことはできる。
ドラゴンには当たらない、ブレスを撃ってくるか?
口を開けたので風弾を撃ち込む!入った!そこで圧縮を開放していく。
「グギャッグギャッギャ―――」
怒ったドラゴンはブレスを放ってくるが盾で受ける。このドラゴンのブレスは更に長い時間だ。
ブレスが終わると同時に横から顔に凍弾を撃ち込む。
顔が弾けたが距離を詰めるタイミングではないな。
フロアと同じで攻撃の打ち合いで時間が過ぎていく。
ブレスを放つ瞬間に何度も風弾や氷弾を撃ち込むが避けられていた。
ブレス中の凍弾も試したが俺の魔力も2ヶ所同時の全力はできていない。
何度めの凍弾だろうか、魔力が上がってきていた。
首に当たった凍弾でブレスが反れ、ドラゴンンの動きが止まる。
今しかない。一気に距離を詰め大剣を首に一撃を入れる。
今回は魔力も風刃も使った一撃だ!
首が落ちて、ドラゴンが消える。
魔石、鱗、角、肉が同じように落ちていた。
だが、やはり消耗が激しい。
もう一回の戦いは避けておく方がいいだろう。
部屋からでると座り込んでしまった。
思ったより緊張していたようだ。解放感からの脱力だな、これは。
またフロアからの戦いになるが鍛錬だと思えばいいかな。
まだ14時位だが部屋に戻りブラックアースドラゴンの角と魔石で大剣を作る。
黒い大剣の完成だ。これも魔力、気力を消耗するな、フロアで作ったときは緊張で見逃していたのだろう。
そのまま昼寝の時間になってしまった。
15時過ぎに目覚めたので買い物に行く事にした。
この先、魔物がダンジョンから溢れた場合の備えだ。
食べ物の中で入手や育成が難しい塩を大量に確保しようと考えていたのだ。
隣の隣街までいけばある業務用スーパーに他の食材と合わせて見に行く。
車で外にでようとすると畑に叶井さんの奥さんと子供、チーちゃん一家が水撒きをしていた。
「こんにちは、水撒きですか。ご苦労さまです。」
「こんにちは。ええ、水撒きだけでもと思って。」
叶井さんの奥さんだ。
「こんにちは。私も水巻です。お出かけですか?」
チーちゃんも同じか。
「ちょっと買い物に業務用スーパーまで。」
「あそこって量が多くて安いですよね。一人暮らしで食べきれるの?」
「物臭さなのでまとめ買いがいいんですよ。いってきま~す。」
話を切り上げ買い物に向かう。
まずは塩からだな。20キロ入りの塩が最大か。
とりあえず10袋買う。
コショウは5キロか、これも10袋。
ソースや醤油は普通のスーパーでも同じだな。
塩は1トンでもいいのだが、あまり一度に買うと目立つからこんなものか。
スーパーでカレー粉も仕入れたいな。
もう一度整理する必要もあるな、何でも買えるわけではないしな。予算も考えないと。
家に戻って車から空間収納に買ってきた品物を収納しておく。
改めてドラゴンの鱗と角を見てみる。
鱗は1m四方で厚み8cm程度、硬さは角が勝ってるな。
さて魔石を作るか、スケルトンとオーク、キラーホーネットは数はあるけど魔力が少ないので17階層のウルフまで纏めて圧縮していく。
34000程の魔力を持ったませきが完成した。
そろそろ魔力循環するにも魔石の消費が激しくなってきたな。
でも怠ることはできない、今日も魔力を増やす為に鍛錬してから就寝する。
次の日からドラゴンとの戦いが毎日続いた。
ボス部屋を制覇するには11回の戦いが必要だったが、鱗や角が大量に入手できた。肉もある。
しかも魔石は単体で3000以上ある物が22個だ。いろいろ使えそうだな。
戦いは最初よりは短くなっていった。俺の魔力が増えたのと大剣で攻めるタイミングを見極める事ができたおかげだ。
その分、体力や魔力の消費は減っていたので、ボス部屋で複数回叩く事も出来たが急ぐ必要もないので一日一回と決めて戦ったのだ。
新たな収穫もあった。ドラゴンは飛べないが手足に魔力を込めて筋力に変えてるようだ。
魔力を使って俊敏を上げていたので、俺も試し使えるようになった。
氷魔法は氷弾だけでなく吹雪のように広範囲に温度を下げる事ができるようになった。
土魔法は相手の前に土壁を出せるようになったけど、ドラゴンには効かなかったが。
穴も瞬時に掘る事ができるようになり、落とし穴のように使えば態勢を崩すには十分だった。
火弾は当たった瞬間に周囲を炎が包み込み、温度を上げられるようにした。
どれも致命傷は与えられないが攻撃のタイミングを狂わすには有効な攻撃だ。
最終の40階層にはアースドラゴンキングLv420が居た。
そんな10日間で畑は芽がでて子供たちは大喜びだった。
芽が出た記念で飲みにもいったしな。
あと機織り機を購入して部品段階で錬金を使って10台分コピーした。漆黒樹で。
これで壊れない機織り機の完成だ。
塩も1トンになった。10キロ入りのカレー粉も100缶買った。まだ足りないと思う。
醤油も味噌も購入済だが自家製も考えるべきだろうな。麹も購入した。
懸念事項は食事だけでなくトイレや水道などの水回りもある。
飲料水は井戸水を煮沸消毒すればいいのだが、ちょっとした設備が必要だな。
電気はどうなる?エネルギー源が無くなるって聞いたな。
ガソリンや灯油を備蓄しても微々たるものだから、やめておこう。
火魔法で温めたり、氷魔法で冷やしたりできるからな。
10日間でいろいろと考える事ができた。
課題も多いが生き残る為の準備に時間が必要だが、ダンジョンの発生がいつになるのかが解らない。
ドラゴンキングか、魔力は8000を超えている。
【アースドラゴンキング】
魔物
Lv420
スキル 魔術
火魔法Lv10、土魔法Lv10、雷魔法Lv10、風魔法Lv10、威圧Lv9
●動きは速い。ブレスで火弾を飛ばす。攻撃耐性特大。魔法耐性特大。衝撃耐性特大
【勅使瓦九郎太】
人族
職業 ダンジョンマスターを目指す者
Lv368
体力 585
魔力 17249
筋力 857
敏捷 759
スキル
解析Lv10、探索Lv10、地図化Lv10、模倣Lv10、剣術Lv9、並列思考Lv7、棒術Lv2、盾術Lv7
魔術
錬金術Lv10、聖魔術Lv10、時空魔術Lv10、水魔術Lv7、雷魔術Lv9、風魔術Lv9、土魔術Lv8、氷魔術Lv8、隠蔽Lv6
俺は魔力を使っての強化で俊敏と筋力が上がっている。ブラックは重いので同等以上の速さだったがキングはどうだろうな。
もっと魔力を使えば更に上げられるだろう。
キングに向かって進んで行く。
火弾が飛んでくる、大きいな。ブラックの倍くらいの大きさで速い。
一発なら受けずに躱す。だが風刃は足の一振りで5枚が飛んでくる。
盾で受けるが立っているのが辛い。相当な威力だ。流石キング!
こちらも周囲を凍らすよう魔法を放つが動きは鈍らない。
今度は穴を掘るが落ちない、空歩のようにそのまま走っている。俺も使うし当然か。
尾から雷撃を撃ってくるが、横っ飛びに躱し雷撃で応酬する。
耐性が特大なので魔力を高めているが、まだ少ないようだ。何事も無いように火弾や風刃を放ってくる。
俺の攻撃は威力が弱いようだ。
範囲を狭めて液体窒素をイメージして魔法を放つ。凍結弾だな。
相手の周囲が一気に凍り付きキングの動きが止まる。
一気に加速して首に一撃!
斬るというか砕けるというか、そんな音がして消えていった。
液体窒素を見たことがあってよかった。知らないとイメージできないからな。
そんな事を考えつつ魔石や鱗、角、肉を回収する。
エンシェントアースドラゴン!
全長で60mはあろうかという龍だ。
しかも体表の温度が高い、300度以上あるな。
相手を詳細に解析して解る情報だ。
凍結弾が効くといいが。
【エンシェントアースドラゴン】
魔物
Lv720
スキル 魔術
火魔法Lv10、土魔法Lv10、雷魔法Lv10、風魔法Lv10、威圧Lv10
●動きは速い。ブレスで火弾を飛ばす。攻撃耐性特大。魔法耐性特大。衝撃耐性特大
●体表温度は324度。
まずは休憩して魔力、体力ともに回復させておくか、ハンモックを取り出し横になる。
横になりながら戦い方を考えているが、イメージが沸かない。
休憩を終えてからキングの角で大剣を作った。
今回は角と魔石を混ぜ合わせる時に魔力を練り込むように。
魔力を帯びた大剣の完成だ。
だが、魔力を消費してしまったので再び横になった。
休養も取れたので部屋に入る。
同時にブレスを放ってきた!盾で受けつつ横に躱すが盾が消えた。
危なかった、もう少し移動が遅れれば消されていたな。
すぐさま火弾が尾から放たれ、空刃も飛んでくる。
一気に攻撃されて防戦しかできない。
ブレスだ!今度は盾に込める魔力を増やし、そのまま押していく。
盾と一緒に進んでいくが、ブレスは終わらない。
それどころか強力になってくる、進めない。
ブレスは止まるがそのまま盾を当てようと押し込むが躱された。
尾を大きく振ると暴風だ!足に魔力を込め踏ん張るが火弾を口から出してくる。
くぅ~盾で防ぐが攻撃の糸口が全く掴めない。
凍結弾を放つが火弾で消されるが何回も放っていく。
火弾を放つ為に開いた口に風弾を叩き込むが牙で弾かれる。
しかし僅かに横を向いた瞬間に横に飛び空刃を叩きつける。
首にあたるが弾かれる、威力が弱かったか。
尾で直接叩き潰そうとするが後方に下がりながら火弾を放ちつつ離れる。
ブレスがまた撃たれる。今度は凍結弾で迎え撃つ。
双方がぶつかり衝撃が発生するが、どちらも消えずに押し合いになった。
一歩一歩ドラゴンに近づいていくが、相手も進んでくる。
凍結弾の後で大剣を出し、残りの魔力を使い切るつもりで空歩を使い一気に加速する!
剣がドラゴンの口から頭に突き刺さる。
大剣も抜かずにその場から飛び去り、残りの魔力で風弾を作り口の中に叩き入れた。
「ボンッ」
風弾を喉元で開放するが、まだ倒れない。
空間収納からアースドラゴンの剣をだし、首に一撃を入れる。
まだだ、ポケットに魔石から魔力を吸収する。
その間に空刃が尾から放たれるが空歩で上空へ退避する。
上から再度首筋に魔力を込めて一撃をいれる。
「ボトッ」
首が落ちて消えていく。
魔力も底をつき、へたり込んでしまった。
ドロップ品を回収しへとへとになって部屋に戻った。




