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013

「ところで、俺の爺さんってどんな感じの人だったのですか。」

爺さんの事を聞いてみた。

「地主さんか、普通だったな。別に波風立てることもなく普通に暮らしていたよ。」

「私は交流会で話させていただいたけど、強い印象のある人ではなかったですね。」

叶井さんも鈴木さんも同じような答えだ。

「うちの店には滅多に来ないけど、演歌を歌っていたくらいの印象かしら。」

ママさんも一緒だったが、

「私、畑のトマトを貰ったことがありました。」

発言の少ないチーちゃんが言ったよ。

「娘二人と三人で散歩していたら下の娘が畑に入ってしまって、少しお話しました。

 優しい感じのおじいさんでしたね。」

初見では愛嬌のある顔立ちで30ちょい上と思ったのだから、娘がいてもおかしくないか。

「生前の爺さんと交流が無かったので好みとか趣味とか知りたかったんですよ。墓前に供えたりするのに必要かな~って。」

「畑仕事は楽しそうにしていたので、畑の野菜とかが喜ばれるかもしれませんよ。」

そうだな、あの大きさの畑は素人が維持するの限界の大きさだよな。

「そうだね、うん、ありがとう、頑張って野菜育ててみるよ。」


しばらくするとお客さんが増えてきて、チーちゃんだけが残った。

鈴木さんから畑の事を聞いて、先程の発言を後悔してたりする。

害虫や病気対策、夏場の草むしり、考えただけでも無理そうだ。

「私もベランダでプチトマト植えたりしてるんですよ。」

「最後まで育てる事を覚えるには小さいとこから始めるのは良いかもね。」

「出来上がったトマトを娘と収穫してサラダに添えて食べるのが楽しいです。」

「私も子供が小さい時は一緒に畑仕事したのだけど、最近はダメだね。」

「娘さん、おいくつでしたっけ?」

「14歳と13歳、中学2年と1年だよ。昔は後を追いかけてきたのに最近は会話も無いよ・・・」

「私の娘は10歳と8歳なので、後ろをついてきますよ。上の娘は、・・・5年もすれば無理かな~」

「叶井さんのところはどうですか?」

鈴木さんが歌い終わった叶井さんに話を振る。

「ん?何の話?聞いてなかったわ。」

当然だよな鈴木さんが悪い。思わず笑ってしまう。

「子供の話だそうですよ、俺には解らない話ですが。」

「勅使瓦さんは独り者だったね。結婚しないの?は禁句だよね。」

「できればしたかったのですが・・・」

酒も入っていたので会社が倒産した頃の話を少しした。

「そんな事があったのか、その女より上等な人を捕まえて見返してやれ!」

叶井さんらしい意見である。

「なかなか上手くいきませんって。今は爺さんのおかげで生活できてますが昨年までは悲惨でしたから。」

ついつい過去話をしてしまう。

「人生、山あり谷ありって本当だな。」

しみじみと叶井さんに言われて思った。

今は山を上がってる最中だと。昨年までは山を上がる為に下っていたのだと。

「私も谷から早く上がりたいです。」

チーちゃんが言った。何があったか飲み屋で聞かないほうがいい。

「鈴木さんはどうなんですか?」

「私の仕事は順調、売り上げはほぼ横ばいですが、生活が苦しくはありませんね。」

「俺も同じだわ。最近は若い者も上達したし、楽できるかな。」

「叶井さん、棟梁ってどういった仕事なんですか?」

「早い話、まだ技術の無い若い人雇って教えながら家を建てているのさ。近所にアパート

 借りて住まわせて、小遣い程度の給料しかだせないが三食寝床付の仕事、そんな大

 工志望を集めて仕事してるよ。」

「最近は現場に出てるの?」

「現場に行ってるよ。そうしなきゃ稼げないだろ。」

「営業はどうしたの?営業にも力入れるって言ってたよね。」

「・・・俺には向かない。」

「営業しないと仕事増えないよ。従業員増やしても仕事無くなれば倒産だよ。」

鈴木さん、本気で心配しているようだ。

話をきいてると、長年勤めていた従業員は腕もあがり一本立ちできるようになったらしい。

いつ独立されても大丈夫なように人員をふやしたが、独立が遅れているらしい。

でも従業員が増えて仕事量は変らず、確かにマズい状況だと俺でも判る。


「勅使瓦さんの畑、一緒にやらせてくれませんか?」

鈴木さんから提案だ。

「どうしたんです、急に。」

「いや、家の畑を潰して増築しようかって話があって。娘二人が一部屋だと可哀そうだと家内が言うんですよ。」

「俺がリフォームしてやるよ、どうするんだ?予算は?間取りは?」

「まだ話の段階だから・・・でも実現すると私の趣味が無くなってしまって。」

「それは困りますね、でも畑できるか解らないですよ。気持ちと現実は違いますから。」

「もし邪魔でなければ私も一緒にいいですか。」

チーちゃんまでノリノリで話してくる。

「俺もやる、俺も。」

叶井さん、無理だろ。細かい事嫌いなんでしょ。

「私は子供が学校から帰ってきたら一緒に畑仕事したいですね。」

「私は仕事前、早朝に畑に出向きたいな。」

「俺は収穫したら食べたいな。」

「「おいっ!」」

俺と鈴木さんが声をそろえてしまった。




そんな話で盛り上がったいたが、皆さん明日も仕事なので日付が変わる前に帰路についた。


本当に家庭菜園を始める事になろうとは思ってもいなかった。








今日は23階層、アーススネイクとの戦いだ。


索敵を使わなければ魔物が居るのは解らないな。

だが俺には通じない、どこに潜っているか判っている。


こちらからゆっくり近づいていく。20m程で魔力が流れる。撃ってくるな。

圧空盾をだし身構える。顔を出すと同時に火弾が積んでくるが受け止める。

すぐに顔を引っ込める。地中を動いている。魔力が流れるのでこちらも風刃を浮かべ攻撃に備えておく。

動き始めた。出てくるであろう場所に風刃を撃つ。首が飛んだ。

魔石と皮が残った。魔法と攻撃耐性中の皮だ。

難しい敵ではないので、次々と倒しながら進んで行った。

30匹の魔石と皮を手に入れボス部屋へ。


アーススネークが5匹だった。

地中に居るので魔力を探り、地中から出るところを複数同時に倒していく。

5匹は少ないな。50個の魔石と皮。はあ~素材ばかりが増えていく。


24階層はビグパンサーLv50、大きい豹か。確かに大きい。木々もあり動きが制限されるな。

馬より大きいぞ。風と氷魔法を使うのか。空歩はあるな。氷弾は物理的な衝撃があるだろうから圧空盾がこうかありそうだ。

動きも速いが大丈夫だろう。

4体が近くに潜んでいるな。木が多いので位置取りを考えないと。

廻りを囲むように動きだしたぞ。こちらは端の1頭と距離を詰めていこう。

動いた!空歩で駆け上がってくる。横から2体も空歩で距離を詰めてくるな。

下の1体は魔力を高めている。氷弾だな。

4頭同時か。氷弾には圧空盾をむけ、近くの1頭には風刃で足場を崩す。

落ちる1頭に剣を突き刺し、振り向きざまに2頭の足元に風刃を撃つ。

1頭は落ちるところを斬り倒すが、1頭が逃げられた。

2頭と向かい合う。左右に分かれながら同時に空歩で飛んだ。

前足から氷弾と風刃が飛んでくる。こちらも空歩を使い飛び上がり躱す。

そのまま空歩で横に飛び、左の1頭を狙うが躱される。

後から氷弾がくるが圧空盾で防ぎ、前の1頭と並ぶように走る。

風刃を相手の足元に放ち、落下させて上から斬りかかる。

後に振り向き、圧空盾をそのまま押し出すようにぶつける。

態勢が崩れたところを風刃で刻み戦いが終了する。

今回は魔石と牙と皮か。空歩と風波、氷弾を同時に使うとは。対処できたからいいか。

とにかく進んでいこう。


ボス部屋は7体が待っていた。

問題なし。早々に終わらせた。


130個の魔石と牙、皮が戦利品か。在庫整理もしないとな。


次はっと、25階層アイアンゴーレムLv70か。一気に上がったな。


【アイアンゴーレム】

魔物

Lv70

スキル

土魔法Lv5

●動きは速い。皮膚が固い。土弾を飛ばす。攻撃耐性大


【勅使瓦九郎太】

人族

職業 ダンジョンマスターを目指す者

Lv57

体力   513

魔力  5229

筋力   311

敏捷   288

スキル

解析Lv10、探索Lv10、地図化Lv10、模倣Lv10、剣術Lv8、並列思考Lv4、棒術Lv2、盾術Lv5

魔術

錬金術Lv10、聖魔術Lv10、時空魔術Lv10、水魔術Lv7、雷魔術Lv4、風魔術Lv6、土魔術Lv3、氷魔術Lv2、隠蔽Lv5



ステータスを比較すると圧倒的に弱いな俺。しかし魔法だけは勝てるな。


24階層に戻って雷魔法を練習しよう。


まずは掌から雷を出す!蠍の尾を掌に置き換えて魔力にイメージを通す。

「バリッバリッバリッ」

雷が走り

「ドッカーーン」

落ちた。

すげぇ迫力。直撃したら一瞬で炭になりそうだ。

次は上空から落としてみる。魔力を上空に向かい流す。落とす場所を決めイメージを通し雷を発生させる。

「バリッバリッバリッ」

「ドッカーーン」

イメージ通りの威力と場所だ。使えるぞこれ。

アイアンって言うくらいだから鉄だろ、雷なら一発じゃね。


25階層に戻り戦ってみる。

5体が動きながら土弾を連射してくる。

圧空盾と剣で弾きながら躱す。徐々に距離を詰めるが横から撃たれて剣の範囲に入らない。

やはり雷か。上空から雷を中央の1体に向けて落とす。

「バリバリッドッカーーン」

左右の4体も弾け飛ぶ。中央よりの2体は飛ばされながら消えた。

残り2体、雷を2ヶ所に落とす。消え去ったあとには鉄塊が。

下級魔鋼とでた。魔鉄より強そうだ。

「バリバリッドッカーーン」

「バリバリッドッカーーン」

「バリバリッドッカーーン」

ずんずん進んでいくとボス部屋だ。


シルバーゴーレムLv85、パターン化してるな。


「バリバリッドッカーーン」

「バリバリッドッカーーン」

同じ事の繰り返しで終わった。

低級魔鋼の量が多いな。


一日で3階層も進んだのは初めてだ。

魔法で倒していくから時間は掛からないな。特に25階層。

レベルは上がっているが、筋力は伸びないな。

自分の体を改めて見回すが、マッチョではないな。

筋力は維持で魔力を流してサポートすれば力負けしないだろう。


26階層へ向かうとミノタウルスが待っていた。

マッチョだよ、ミノタンだよ、ラノベだよ。

しかもLv90、筋力800オーバー、大剣も振り回せるよな、その体格。

羨ましくなんかないからね、マッチョボディ。魔法耐性中と攻撃耐性大も付いてるけど。



さて魔鋼か、剣に使えるかな?パンサーの牙と魔鋼、どちらが硬いか。

ミノタウルスと戦うのにどちらがいいかな、魔鋼の平に伸ばして牙を突き立てる。

刺さったよ。貫通はしなかったが刺さったよ。

牙6個で剣の形に錬金していく。

ミノタン大きいので10cmくらい長く、厚みも少します。

完成!キラ―――ン、そんな音が聞こえてくるような真白な美しい剣になった。


もしかしてミノタンにも雷って有効じゃね?いやいや、雷は最後にしよう。


あと15階層か、25個の玉が埋まったダンジョンカードを見ていた。

これが埋まれば何が起きるのだろう。期待と不安が今になって襲ってくる。

まあいいか。


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