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お人形遊び想(三)沼に引きずり込む化け物って居るよね。


 自宅でウェイトトレーニングを始めてから一年が過ぎようとしている。かつては五キロのダンベルだったのが今は十一キロのダンベルを上げるようになった。少しずつだが確実に進歩している。


 儂のウェイトトレーニングと切り離せないのが人形遊びである。当初はボディラインを整える為に行っていたが、ここ最近は人形の野外撮影の為に鍛えていると言っても良いかもしれない(四十センチ級のレジンキャスト製の人形を二体も担いでいると疲れるわな。年末年始辺りに今度は七十センチ級の人形が届く。無論、野外撮影を行う予定だ)。


 そんな人形遊びを支える者……趣味仲間を今日は記そうと想う。


 四十センチ級のメンズ人形のオーナーになった儂は困っていた。好みの服が全く販売されていないのである。


 そりゃ一応服として扱いはある。パンクスにコスプレ系は通販で充実している。しかし儂が好きなバイカールックやミリタリー系の扱いが全くと言っていい程ないのよね(あまり着る機会は無いがアビ○ックスや○商会等の服が好き)。販売していてもいい所、ポケットが少なめなカーゴパンツやタンクトップあたり。


 ……ずっと夏服のままで過ごせと申すのか、と恨みたくなる程にメンズのラインは少ない。


 ……もしかしたらイベント(人形メーカーや通販会社が主催するイベント。人形服、小物、家具等の作家も出店する)にはあるかもしれない。しかし渋谷の交差点並みに人口密度が凄まじい所に居たら、人付き合いも大嫌いで混雑した所なんてもっと嫌いな儂は発狂する。


 ああ。旅行に携行するのにアロハシャツ着せたかったなぁ。仁王さんとか和柄のガラの悪いヤツ着せたかったなぁ。


 悶々としていた儂は一念発起する。ネットで無料型紙をダウンロードし、小さなアロハシャツを手縫いしてみた(家にはミシンが無いし、儂はミシン出来ないのである)。


 結果は惨敗。


 ボタン付けがやっとな人間には無謀過ぎる行為だった。


 端処理等、ミシンが無ければキツい作業だ。ンなモン、ミシンを片っ端から壊してしまう儂には出来るものか(なんだか分からないけど壊してしまう。PCビギナーが言う「何もしてないけど壊れた」みたいな感じだ)。


 リビングでへたれる儂に智将が声を掛けた。


「俺が(ミシン)やろうか?」


 以前から話は持ち上がっていたが自分の尻も拭けぬとは情けない、と儂は話を濁していた。しかしこのままだとメンズの人形は冬でも元気パッパラパーな体操服男子小学生と同じ状態になっちまう。


 恥を忍んでお願いした。


 袖を付ける等の作業に苦労したものの(一部アドバイスを布人形の大家であらせられる花潜りさんに賜る)ミシンを購入してから三日目辺りで形になった。


 凄い男だ。


 無理に頼んで申し訳ないな、と想いつつもアロハシャツやドロワーズ、ワンピース、ハーフパンツと少しずつ作って貰っている。


 しかしどうやら楽しんで作っているらしい。出来上がっては改善点を見つけたり『ここが巧く出来た』と誇らしそうに笑ったりしている。


 ……自分の人形に着せる服だったらもっと楽しいだろうな。


 そう想った儂は(誕生日には早すぎるのだが)小さな人形(十一センチ級)を差し上げた。


 喜んで貰えるか? しかし今まで人形と縁がなかった人間が急にプレゼントされるのだ。良い反応は得られないかな、とも考えていた。


 袋を開ける智将を眺め案じるも束の間、直ぐに彼は破顔した。


 今では服を作るばかりか、3Dプリンタを購入してとあるキャラクターの盾を作っている。


 そう。智将は凝り性なのだ。儂と同じくオタク気質だ。


 趣味のジャンルを『沼』と呼ぶらしい。その沼に嵌まって一人で苦労するようなら、興味を持った人間を上手に引き込み沈めてしまえばいい。


 人形が趣味になり二年か三年目……漸く心強い趣味仲間が出来た。


 やれやれ。


 


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