限られたキラメキ (7)
学園祭前日、前夜祭がやって来た。前夜祭って言うと何かカッコいい響きだけど、これって前日までに準備が終わっていない団体が、徹夜で仕上げるための口実でしかない。要は最後の追い込みだ。
ウチのクラスはそこまでの事態におちいることは無かった。一時はどうなることかと思った。これもみんなが頑張ってくれたお陰です。安心して学園祭当日が迎えられそう。
とは言っても、深夜作業届、そして終夜作業届は提出してある。あ、正確には前夜祭参加届だ。そういう名目にしておかないと、学校に寝泊まりとか普通はやっちゃダメだからね。手続き上の問題ってことだ。
ゴリラ先輩に言われた手前もあるし、安全対策を色々と考慮しておきたい。あと、壊れた時のバックアッププランだ。修理用のパーツを事前にある程度用意しておくっていうのも有効。とにかく、やれることは一通り済ませておきたかった。ヒナも、やる時はやるんだよ。もう目が回りそうだけどね。
前日ということで、普段は部活の方で忙しくしているサキやチサト、サユリも顔を出してくれた。忙しい自分の仕事から逃げ出して、休憩にやって来ただけって気もするかな。完成したボートを見て、おおー、って言ってくれた。良く出来ているよね。
ペットボトルボートは、公園とかにあるような普通のボートに近い形状。その代わり、ちょっと横に広めになっている。イカダとボートの中間くらいなイメージかな。理論上は、普通の高校生なら四人までは乗れるということ。作りかけの時に何度か実験して、その辺りは検証済み。この本番用ボートの性能については、明日の進水式のお楽しみだ。
「なんだか感無量だね」
サキはボートを見てため息をついた。そうだね。でも、本番はまだ明日だ。実際に浮かべて、人が乗って、初めて大成功バンザイになる。ヒナも楽しみだよ。
「ヒナのお陰だね」
それはどうかなぁ。アイデアはそもそもサユリのものだったし、ヒナはプールの使用許可と管理をしていただけだ。学園祭実行委員のユマとか、ハルとか、ハルの友達とか、他にも設計したり、材料を集めたり、実際に組み立てたり、とにかくクラスメイトのみんなが頑張ったから、ここまで来れたんだと思う。誰か一人のお手柄ってことは無いんじゃない?
「まあ、そういうことにしておこうか」
なんだよ、含みのある言い方だな。みんなもうヘトヘトだということで、その後すぐに帰っていった。他のクラスメイトも、特に作業が無いなら早めに上がってもらうことにした。ヒナは鍵の管理をしないといけないので最後。ハルが付き合ってくれる。ふふ、むしろ最後に二人きりになれるから幸せなんだよね。
なんだかんだ細かい作業をしていたら、かなり遅い時間になってしまった。ハルと二人だけになってからも、色々と気になっちゃって、結局ヒナはいつまでもあちこち動き回っていた。ああ、だいぶ遅くなっちゃったね、ごめんね、ハル。
「まあ、俺は大丈夫だよ。最悪泊まりになるかもとは言ってあるし」
ふうん、そうなんだ。
とっぷりと日が暮れた。この時期で真っ暗ってことは、もうかなり遅い時間。晩ご飯は特別営業中の学食で済ませちゃった。学食、味は悪くないね。お値段も手頃だし、変に凝ったお弁当よりは良いかも。むむ、ちょっと対抗意識出てきちゃった。ハル、学園祭が終わったら献立表を見直してみるよ。
一度、守衛さんが挨拶に来た。お疲れ様です。今日はみんな結構残ってるね。いよいよ明日ですからね。頑張ってね。はい、ありがとうございます。さて、これで今日の来訪者は全て終了。
プールの窓から正門の方を見ると、まだ灯りが見える。ゲートの作業が続いているのか。水泳部は徹夜だな。サユリはもう帰ったみたいだけど、メイコさんはまだいるんだろうか。大したガッツだ。
「そろそろ帰るか?」
ハルが訊いてくる。ああ、それなんだけどさ。
「ねえハル?」
「ん?」
「今日は、このまま泊まっちゃおうか?」
・・・何か返事してよ、ハル。ダメか、すっかり固まっちゃった。
ヒナも一応、今日は泊まり作業になるかもね、とは言ってあるんだ。まあ、その可能性は低いかなって思いつつもね。万が一そう言うこともあるかもしれないって。ん?ハルと二人っきりだなんて、当然そんなことは言ってませんよ?
いやあ、まさかコッチのもしかして、が来るとはね。ふふ、ハルと二人で夜の学校って、実はちょっとだけ期待してた。ほら、学園祭の準備では、ヒナはハルにいっぱい助けてもらったからさ。こういうご褒美もいいかな、って。
どうするかはハル次第。何をするかもハル次第。全部ハルに任せるよ。ヒナはハルに全部預けてる。プールの鍵はヒナが持ってるからね。明日の朝までお邪魔は無しだ。プール清掃も、次回は学園祭の片付け日になっている。ああ、ゴリラが出ないように、そこだけは気を付けないとかな。
ちゃぽん、ってプールの水が跳ねた。静かなさざなみ。プールサイドで、ヒナはハルと見つめ合う。誰もいないよ。ここには二人だけ。明日の朝までは、ね。
「ヒナは、その、それで良いのか?」
ハルが顔を逸らした。どきどきしている。身体は離れているのに、二人ともお互いの心臓の音まで聞こえてきそう。ハルもその気になってくれてるのかな。うん、ヒナもそういうつもり。覚悟、してるよ。
「私が誘ったんだよ?ハルにお任せします」
恥ずかしいこと言わせないでよ。ここまででもうヒナはオーバーヒート寸前なんだから。いっぱいの勇気を振り絞って、ハルにアタックしてるんだよ?大好きなハルに、全部あげるつもりなんだから。
ハルがヒナの方に近付いてくる。わ。ハルが近い。すぐ目の前に立ってる。お互いの呼吸の音が聞こえる。星空の下でのデート、二人で観た花火、それよりももっと激しく、心臓が跳ねている。ハルの意思を感じる。うん、来る。ハルが、ヒナの身体に触れようとしているのが判る。どうぞ、ハル。ヒナは全部お任せ。心も身体も全て開いて、ハルを受け入れるよ。
最初は恐る恐る、その後は優しく、最後には力強く。ハルはヒナの身体を正面から抱き締めた。ああ、ハル。ハルの腕の中にいる。そう思うとそれだけで、頭の中がぼうっとしてしまう。こんな風に二人っきりなんて、初めてかな。全てを許してハルに身体を預けるのって、とても心地良い。気持ち良い。好き。ハル、好き。
「ヒナ」
ハルがヒナの名前を呼んでくれる。嬉しい。ハルがヒナのことを好きでいてくれる。ハル、ヒナはハルのこと好きだよ。ハルになら何をされても良いよ。ううん、ヒナはハルに奪われたい。何もかも、ハルのものにしてもらいたい。
ハル、ヒナを抱く腕の力がすごく強い。興奮してるんだ。ヒナの背中に触れた掌が、所在無げに上下に動いている。ええっと、ジャージの下は水着だからね。密着してるのが判る。あの、その、ハル、男の子、だね。ヒナ、ちょっとびっくりしてる。
「ハル・・・ハルは、私と、そういうこと、したい?」
おずおずと尋ねてみる。いくら二人だけとは言っても、ここは学校だし、プールサイドだ。なんというか、かなり特殊なシチュエーションだよね。こういう機会がなかなか手に入らないって言うのは理解出来るんだけど、その、ちょっと恥ずかしい。だって、このままだと部活の度に思い出しちゃいそうだし。
「うん、したい」
直球ですね、ハル。訊いておいてなんだけど、うひゃあってなった。顔が熱くなる。うん、ハルにしたいって思われるのは、悪くない。むしろ嬉しい。ハル、ヒナのことちゃんとそういう風に見てくれてるんだね。ヒナはハルの奥さんになるから。頑張る。いいよ、ハル。ヒナのこと、好きにして。
「正直すごくしたい。けど」
ハルがヒナの身体を離した。ヒナの肩を掴んで、真っ直ぐに見つめてくる。胸の奥がきゅってなる。ハルの気持ちがいっぱい流れ込んでくる。ハル、愛しいよ。ヒナ、今すっごくときめいてる。
「それは、今じゃないって思う。ヒナとは、ちゃんとそういう時が来るって、そう思ってる」
・・・そうなの?
ふふ、もう、カッコつけちゃって。いいの?我慢してない?ヒナはハルのすることなら、何も拒絶したりしないよ?
「ハル、カッコいいこと言ってる」
「う、うるさいな。いいだろ」
ハルが照れてる。ヒナの肩を掴む手が熱い。ハルの想い、判るよ。ヒナのこと、大切なんだね。すっごく大切なんだね。嬉しい。ちょっと涙が出てきそう。
「後悔しないの?大丈夫?」
「きっと後悔する。あー、やっとけば良かったって思う。でも」
ぽん、とハルの掌がヒナの頭の上に載せられた。くしゃくしゃ。ふふ、なぁに?それで誤魔化せるの?
「やっぱりヒナとはいい加減にしたくない。いや、今もいい加減だなんて言うつもりは無いけどさ」
意地っ張りめ。ヒナはハルにがばって抱き付いた。ハルがうわってなる。ぎゅうって強く抱く。強く、強く。ハルの匂い。ハルのぬくもり。ヒナの大切な人。ヒナの居場所。
ヒナの、未来の旦那様。
「じゃあ、その時が来たら、優しく奪ってね」
ハルの手が、ヒナの背中に触れる。「わかった」小さな返事が聞こえる。約束ね、ハル。ヒナにはハルしかいないんだから。ハル以外なんて考えられない。お願いだよ?
ハルの身体を離して。見つめ合って。
「ハル、大好き」
「俺もヒナのこと、好きだよ」
そっと、軽いキスをした。多分これだけで生活指導に呼び出される要素としては十分だ。バレたら来年から前夜祭参加届なんて軽くぶっ飛ぶだろう。先生、ゴリラ先輩、神様、あとクラスのみんな、ごめんなさい。ヒナは悪い子です。
船底のパーツの予備が、そのまんまベッドとして使えそうだった。大きいペットボトルをつなぎ合わせて板にして、バスマットが貼り付けてある。これをプールから離れたところに並べて敷く。ハル、寝相大丈夫だよね?寝てる間にプールに転げ落ちるとか、冗談にならないよ?
寒くは無いので、これにバスタオルで寝床としては十分かな。しかし、いざ寝ようとしてみると赤面してしまう。これ、先にベッドを用意していたら、ハルの答えは変わってたかもね。これからここに横になるって思うと、なんだか生々しい。ハルもちょっと複雑そうな表情。
「ハル、後悔してる?」
「訊くな。もう決めたんだから」
まあ、決心が揺らいだらいつでも言ってね。拒まないから。これはこれで素敵な思い出になりそうじゃない?ヒナ的には全然オッケーですよ?相手がハルなら、ね。
寝心地は、まあ普通かな。床に寝るよりはマシ。バスマットとペットボトルがギシギシと音を立てる。あー、これはダメだよ、ハル。激しくしたらきっとすごいことになっちゃう。同じことを考えたのか、ハルと目があったらぷいっと横を向かれてしまった。そのまま二人して笑い出す。もう、エッチだなぁ。
電気を消すと、非常灯と消火栓の明かりだけになった。おお、何処からがプールの水面なのかが判らなくなって、ちょっとコワイね。トイレとかに行く時は気を付けないと。窓の外を見ると、まだ明かりの点いている教室がある。お疲れ様。頑張ってね。
校門の方にも光がある。水泳部凄いな。明日、本当なら最初は正面ゲートから入って登校してくるはずだったんだよね。早起きして見に行ってみようか。
臨時ベッドに体を横たえる。ギシギシ。笑っちゃう。ハル、この音だけで我慢してくれる?ギシギシ。何か足りない?うーん、そっちはハルの中で勝手に補っておいて。流石に恥ずかしいや。
ハルと二人で眠るのって初めて。こんなに近くで、こんなに無防備に身体を晒すんだね。あ、ハル、ヒナが寝ている間に我慢出来なくなったりしない?そういうのはやめてほしいな。するなら起きてる時にしてね?
「しないって」
ははは、怒られちゃった。もう、しないで、とは言ってないのに。じゃあ、これで。
ハルの手をそっと握る。二人で手をつないで横になってる。うわぁ、なんだろうね、この状況。ハルとこんなことが出来るなんて、考えもしなかった。どきどきする。二人で明かす、初めての夜。お泊り。聞こえてくるのは、微かな水音と、ギシギシってノイズ。ぷふふ、ダメだ、やっぱり面白過ぎる。可笑しい。
「楽しそうだな、ヒナ」
ごめんごめん、眠れないよね。うん、楽しい。超楽しい。興奮が収まらない。夜、ハルとこうやって二人でいるって、それだけで自分が抑えられない。
ハルは眠れそう?すぐ隣にヒナがいて、同じように横になってて。想像したら色々考えちゃったりしない?ヒナはどうかな。眠れそうかな。
ハルに寝てるところ、寝顔なんかも見られちゃうって、やっぱり恥ずかしいな。いつもハルの前では一生懸命可愛くしているのに、そのままの素のヒナを見られちゃうんだよね。ヒナ、いびきとかかいてないよね。よだれたらしたりしないよね。ハルに嫌われないよね。
暗闇に目が慣れてきた。ハルの方を見ると、ハルもヒナのことを見ていた。仰向けに横たわって、手をつないで、見つめ合う。このままずっとこうしていたい。うん、出来るよ。今日はもう、このままハルと共に眠りにつくことが出来る。そしてまた明日、朝起きた時からハルと一緒にいられる。そう考えると、とっても得した気分になってくる。
ハルの手を強く握る。ハルが握り返してくれる。幸せだ。ヒナは今、人生の中で最高に幸せな瞬間を更新したと思う。ハルとこうやって並んで寝るなんて、とっても素敵なことだ。興奮して眠れそうにない。
「俺も。いや、変な意味じゃなくって」
雰囲気ぶち壊しだなぁ。いいですよ、変な意味でも。今ならきっと何でも良い思い出に出来る。ほらほら、ラストチャンス。可愛い幼馴染が、ハルのすぐ近くで横になってますよ?
「うん、可愛い」
ぐっ。正面から撃ち返してきたか。
「だからもう少し、大事にさせてくれ。いつかきっと、嫌でも我慢出来なくなるんだからさ」
さらっとすごいこと言うなぁ。はぁーい。じゃあヒナももう少し頑張ろう。何をって?決まってるでしょ。言わないよ。ハルの方から言ってくれるはずだからね。
ふっと、意識が遠のく。疲れてたのかな、興奮し過ぎたのかな、ハルがいてくれて安心しちゃったのかな。
きっと全部だ。眠気がすごく心地良い。
おやすみ、ハル。イタズラする時は、ちゃんと起こしてからにしてね。お願い。
窓の外から眩しい光が射しこんでいる。プールの水面が光を反射して、キラキラときらめいている。ああ、綺麗だ。身体を起こす。ギシギシ。うん、この音どうしようもないな。
目が覚めたのはヒナの方が先だった。残念、ハルにイタズラされて起きたかった。そんなことしないか。
よいしょって立ち上がって伸びをした。節々が痛い。まあ、簡単ベッドだったし、しょうがないね。ふわぁ、とあくびを一つ。
お弁当を作る習慣で、もう自然と朝早く起きてしまう。ハルはいつも何時くらいに目を覚ますんだろう。まあ、今のヒナよりは確実に遅いんだろうけど。
ハルの寝顔を覗き込む。良く寝ている。結局ヒナにエッチなことはしなかったんだね。ハルはカッコいいなぁ。こうやってお泊りするって段階で、ヒナは覚悟してたのに。もうちょっとくらい自分に正直になってくれても良かったんだよ?こんなチャンス、もう二度と無いかもしれない。ふふ、大好きだよ、ハル。
さて、ハルが寝ているなら丁度良い。シャワー室に行って、その後着替えとか諸々済ませちゃおう。女の子には色々と準備が必要なんです。ハル、もうちょっとだけ眠っててね。
プールから出ようとしたところで、ばったりとサユリに出くわした。え?サユリ、鍵、持ってたっけ?ああそうか、メイコさんに借りたのか。部長のメイコさんは、マスターキーの方を管理している。そっち経由のルートがあったか。
「あれ?ヒナ、昨日はここに」
そこまで言って、サユリの視線がヒナの後ろに向けられた。そこには、バスマットの上で眠りこけているハルの姿が。
わ。
わわわわ。
うわー、っと、サユリ、ちょっと表に行こう!ダメ!ここダメ!
「ヒナ、アンタまさか」
サユリの目が冷たい。眼鏡がギラリと光を放つ。そうじゃない、ええっと、そうじゃなくて、ええっと。
「ほら、今のうちに綺麗にしておかないと」
うん、そうなんだけど、ええっと。いや、そうじゃなくて。あわわわ。
「大丈夫、黙っててあげるから」
うわーん、それは有難いけど絶対何か誤解されてるよう。まあそういうことになってもいいかな、とか思ってたけどさあ。
しどろもどろになりながら、ヒナはサユリに昨夜のことを説明した。その間、サユリはずっと、呆れ返って何の言葉も出てこない、という顔をしていた。うう、お母さんに悪さを見つかった子供みたいだ。
ヒナが一生懸命サユリの誤解を解いているのに、ハルはずっと眠っているままだった。幸せそうですね、ハル。起きたらヒナと一緒にお説教タイムだよ。今のうちに良い夢みておいてね。
「もう、それこそ学園祭を台無しにするところだったじゃない」
「ゴメンナサイ」
「朝倉が真面目な根性無しで良かったわね」
「ソウデスネ」
もう何回目か判らないくらいのため息を吐き出して、サユリはハルの方を見た。ハル、起きませんね。よっぽど疲れてたのかな。
「どっちにしても早く片付けましょう。見つかるとマズイことに変わりはないんだから」
はぁーい。
ハルの身体を揺する。ほら、ハル、起きて。もう朝だよ。学園祭だよ。ううーん、と言ってハルが身体を起こす。
「おはよう、ヒナ」
ハルはまだちょっと寝ぼけてた。そんなに朝強い訳じゃ無かったんだね、ヒナ、初めて知ったよ。もうちょっと早くその情報欲しかったかな。
多分、まだ二人だけだと思ったんだね。ハルはヒナのことを、ぎゅうって抱き締めてきた。あ、あわわわわ、ハルさん?
「好きだよ、ヒナ」
はい。ヒナも好きです。ハルのこと好きです。ですが、今はマズイです。最悪です。ハルさん、起きてください、今すぐ。
「あんたたち、いい加減にしなさいよ」
背後でサユリがブチ切れる気配がする。うひゃあー、ごめんなさーい。
ヒナ、お祭りだからってちょっとハメ外し過ぎちゃったかな。だって、すごく楽しくて、すごく嬉しくて、色々と我慢出来なかったんだもん。
みんなで作ったペットボトルボート。キラキラ光って、まるで宝物みたい。ヒナは、ハルと、クラスのみんなと楽しい学園祭が出来るって思ったら、自分が抑えられなくなっちゃったんだ。
ほら、ゴリラ先輩だって言ってたしさ。
青春のきらめきは、今だけなんだ、って。
読了、ありがとうございました。
物語は「ハルを夢視ル銀の鍵」シリーズ「ボトルシップレーサーズ」に続きます。
よろしければそちらも引き続きお楽しみください。