↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/19

005 黒奴隷メイドゲットだぜ

 回復チートの王道は良いがその前にしなくてはならない事がある。

 犯罪奴隷の免責だ。

 

 「その奴隷の免責料は幾ら?」

 「免責なされるのですか?お勧めはできませんが」

 「何故?」

 「この奴隷の罪状は子爵家の放火と火魔法による殺害です」


 なんとなく想像は付いていたけど放火ね。

 それも子爵家か。

 貴族の自宅への放火の罪状で死罪になってないのってある意味凄いと言う気もするが、今の状態を見る限り普通の処刑よりキツイか?


 「その罪状がありますので、発言と魔法の使用を禁じられています。凶悪な火魔法を使い、重犯罪を行った奴隷です。何をするかわかりません。それにこの奴隷は火魔法を得意とする妖狐族です。妖狐族は多少銀髪の者も居ますが大抵は金髪碧眼です。ですが、極稀にこの奴隷の様な黒い炎を使う黒髪黒目の者が現れ不吉の現れ、凶兆とされています。ご存知かと思いますが、奴隷の行いの総ては所有者へと責任が帰属します」 

 「それは知ってるけど、犯罪奴隷であるが故に禁じられた事は免責しないと解除できないでしょ?」 


 名前 黒華クロカ

 種族 妖狐族

 年齢 21

 状態 欠損(大) 火傷(大) 空腹(中)

 特性 狐火(大) 黒炎(大) 魔力(大) 知力(中) 身体(小) 五感(小)

 技能 炎術(極) 調理(小) 裁縫(小)  


 チラリと沈黙している奴隷を改めて見ても火魔法を使えないと価値が大暴落だし、発言を禁じられてるって言うのも胡散臭い。

 まるで口封じだ。

 実際にその通りなのだろうけど、喋れないのも困る。

 コミュニケーションを取る難易度が跳ね上がる。


 「お勧めできない最大の理由は免責料金です。罪状の重さにより免責料は増えますので免責料は500万リルとなります」


 約5億円とか、免責させる気の無い額だね。

 奴隷本体の1万倍じゃねーか。

 一月、この世界では45日の維持義務と売れなければ廃棄処分と言う点を考慮すると、それなりに拷問された挙句に死罪と変わらないな。

 なにやら意図的な悪意を感じるね。


 「それで良いよ。払うから免責して」

 「……左様でございますか。最後の確認です。どの様な奴隷であったとしても購入すれば購入登録されますので購入制限が掛かります。仮にこの奴隷を処分しましても1年後以降でなくては再購入はできなせん。また、奴隷の返品は受け付けておりませんし、免責料の払い戻しもありませんが宜しいでしょうか?」

 「それで構わないよ。末永く使い込む愛用品になる予定だし」

 「承知致しました。免責料も合わせて504万500リルとなります」

 「あいよ」


 懐から白金貨5枚と金板を1枚取り出し、店員に渡す。


 「お釣りは要らないけど、その代りちょっとだけこの部屋貸して貰える?」

 「宜しいですが、何をなされるのかお聞きしても?」

 「その奴隷を多少手入れするだけだよ」

 「承知致しました。では登録をお願いします」

 「おう」


 奴隷カードを受け取り用意されている登録セットで登録する。


 「登録完了です。ご購入有難う御座います」


 メイドから服を受け取り店員達が部屋から退出していき、部屋には俺とニャンコ、そして台車に乗ったままの黒狐が残される。

 黒狐に近づき改めて服と言うか、申し訳程度にボロ布の貫頭衣に包まれた体の状態を見てみるが酷い有様だ。


 右腕は二の腕から、右足は太ももから切断され傷口は明らかに焼いて止血された痕跡があり包帯すら巻かれていない。

 左半身は顔と言うより頭から左太もも近くまで焼けただれ所々皮膚がヘドロ状になっている。

 耳も左は焼けてなくなり、頭皮も左頭部の3割は分焼けてしまっているし、顔も半分近くは焼けただれ左側の唇も2割ほど焼けて無くなっている。

 ふさふさしていたであろう尻尾は毛が4割程しか残っておらず、焼け爛れた尻尾の芯が露出している。

 骨格や右の顔の造詣から滅多にお目に掛かれない程の美女であった事が容易に察せるため余計に凄惨に見える。

 しかし、そんなものよりも俺の気を引く部位が在る。

 瞳だ。

 強い意志の籠った瞳。

 熱く冷たく、燃え盛る凍てついた相反する黒い意志の宿る目だ。

 憎悪とも言う。

 

 「喋れる?」

 「……ハイ」

 

 やや不明瞭だが喋れる様だ。


 「ハイかイイエだけで良いから答えてね。体が治るなら悪魔にでも魂を売れる?売る相手は悪魔ではなく俺だし、俺は悪魔だなんて可愛らしい存在じゃないけど」

 「ハイ」

 「復讐したい相手は居る?」

 「ハイ」


 やはり居るのか。


 「復讐したい相手に復讐できるのなら死んでも良い?」

 「ハイ」

 「そう。じゃ、体は治してあげるし復讐もけじめがつくまで支援してあげる。ただし、対価は本当に身も心も俺に売って俺の奴隷になる事。より正確に表現すれば身も心も奴隷になる調教を全く自重も遠慮もせず、容赦なくする様になると言うべきかな。それで良い?」

 「ハイ、悦んで。如何なる苦難も苦痛も受け入れます」


 饒舌になってきたね。

 喋るのも辛い状態のはずだが。


 「俺の調教で感じるのは逆だよ。どんな苦難も苦痛も、例えその先に在るのが死でしかなくとも、それが幸せであるのなら誰にも逆らえない。激しい多幸感を伴う快楽だと逆らう気すら起きず、重度の依存状態になる。それこそ、悪魔に魂を売ってでもってくらいね。俺には【隷属の首輪】なんて無粋な物は必要ないんだよね。その気になれば幾らでも喜んで奴隷になる奴隷志願者を量産できるから」


 先生の技能である 体液(極)と猛毒(極)のコンボはおおよそあらゆる種類の薬物を作れる。

 高純度の麻薬でもだ。

 普通はそんな事をすれば直ぐに耐性がついて同量では満足できなくなってしまい、量が増えあっと言う間に廃人コースになる。

 そこで回復チートだ。

 薬物依存の症状も回復させてしまえば体は問題ない。

 体が治れば体の依存状態も治るが、体の依存状態が収まったとしても経験した事を忘れる訳ではない。

 その気になれば容易く奴隷を作れるだろう。

 本当に悪魔なんて可愛らしいもんじゃねーな。


 「けれど、それではつまらない。奴隷の行うべきことは色々とある様に見えて本質的には1つしかない。如何にしてご主人様を悦ばせるかだよ。手段なんてどうでも良いのさ。悦ばせれば悦ばせるほど気に入られる。気に入られれば気に入られるほど大事にして貰えるし可愛がって貰えると言う訳だね」


 それはそれで完成された主従関係ではなかろうか?


 「俺が君を気に入った理由は色々とあるけど、1番の理由は目だよ。その状態でも諦めていなかったんだろ?目を見れば分かるよ。強い意志が冷たく燃え盛ってる目だ。『人の歩みを止めるのは絶望では無く諦め。人を歩ませるのは希望ではなく意志』と言う言葉もあるしね。君の目が死んだ魚みたいな物だったら俺もこんなには興味を引かれなかっただろうし、俺の目にも止まらず買わなかったかもしれない」

 

 とか言いつつ能力がある程度見えてしまう俺にとっては超優良物件だったので結局は買っていたと思うが。


 「そう言った意味では君のその意志が俺を引き寄せたとも言えるね。俺は君を買って免罪し、治療して体も治すし、その後の待遇も奴隷ってなんだったけ?とか思う様なものになったとしても、善意や同情からのものではないって事だよ。俺は自分の利益に忠実なだけだ。そこを勘違いしてはいけない」

 「承知致しました」

 「では、治療しようか」


 極微細な先生を黒狐の傷口や火傷に散布し、体内へと侵入させる。

 千切れた腕と脚から肉がうごめき、火傷でただれた皮膚から新しい皮膚に変わっていく。

 焼けてただれた頭皮から新たな髪が生え、焼け落ちた耳が生えて来る。

 頭皮から髪と耳が生え、腕と脚が生え、皮膚が治り完治する。

 髪の長さがやや不揃いになってしまったので頭髪の長さを腰程度で整え頭髪も含めて全身を浄化。

 所要時間は約7秒。

 

 分かってはいたが完治した黒狐はやはり目を見張るほどの美女だった。


 「え?」


 黒狐は呆然としているね。

 ニャンコも驚いている様だ。

 せっかくなので先生に鏡になって貰う。


 「ほれ、これで自分でも良く確認できるだろ」

 「あ……あああっ」

 

 黒狐は自分の腕や脚、焼けた左半身をペタペタ触って確認している。


 「うっうっううっ」


 黒狐の瞳からは涙が零れ、嗚咽が漏れる。


 泣き出した。

 やべぇ……想定内だけど対応に困る。

 超困る。

 女の涙は強いね。

 美女、美少女の涙は必殺兵器ではなかろうか?

 無表情で内心あわあわしながら泣き止むのを待つ。

 待つしかない。

 ここで泣き止めとか無粋なんてもんじゃないし、嬉し泣きだろうから慰める必要すら無いので落ち着くのをひたすらに待つしかない。

 なんと言う苦行。

 なんと言う苦難。

 恐ろしい。

 女に泣かれるのは恐ろしいでござる。


 「ぐずっ……申し訳ありません。見っとも無い所をお見せしました」


 しばしして、黒狐も大分落ち着いてきた様で泣き止み涙を拭いて謝罪してくる。


 「いや、良いよ。普通はそうなるだろうし、悦んで貰えた様で何より」


 内心オロオロしていたが、気にしてはいけない。


 「じゃ次は着替えてね」

 

 黒狐用のガーターベルト、ニーソ、下着が黒いメイド服を手渡す。


 「はい」


 いきなり貫頭衣を脱いで全裸になった。

 黒狐の羞恥心なんてどっかの床にでも転がってるんだろうねぇ。

 それともこれは黒狐なりのサービスなのかな?

 

 下着から身に着け、ガーターベルト、ニーソ、メイド服の順に着ていく。

 

 「お待たせ致しました」


 見込んだ通り着替え終わってまともな恰好になった黒狐はタイプこそ異なれどニャンコにも勝るとも劣らない美女だった。

 容姿もロリコン以外の男のロマンを体現したかの様なワガママボディも劣っていない。

 若干東洋の臭いがする顔つきだろうか?

 東洋美女の見本とでも言うべき顔面戦闘力だ。


 化けたね。


 女も狐も化ける者。

 女狐だから化けて当たり前と言うべきか?


 巫女服着せたい。


 「やはりと言うべきだろうけど、まともな恰好をするとすっごい美人さんだねー」

 「有難う御座います」

 

 黒狐は優雅に一礼する。

 先生の視点から復活したフサフサの尻尾が揺れる。

 もふもふしたい。

 プルンと揺れる果実が素敵だ。

 揉みたい。

 しかし、俺は紳士。

 先生にログをとって貰ってじっくり鑑賞するだけにしておく。

 しかし、堂に入っている礼だった。

 黒狐は結構な教養がありそう。


 「ところで、黒華の復讐したい相手ってだれ?」

 「カーマイン商会の会長です」


 うん?失敗キメラ?


 「失敗キメラかよ……その物体は既に俺の獲物として登録されてるね。ある意味運命的だねー。単純に失敗キメラがやりまくってるから確率が高いだけかも知れないけど」

 「ご主人様も因縁が?」

 「いや、そんな大層なものじゃないよ。ついさっきあったオークションでセリアを落札したんだけど」


 ニャンコを指し示しながら説明。


「最後まで競って来たのがカーマイン商会の会長改め失敗キメラだったんだよね。で、競り負けた後待ち伏せしててセリアが記念すべき1000体目の肉便器として相応しいとなぜ分からんとか言われてねぇ。『メス奴隷とは無駄な手足を切り落とし、歯を抜いて肉便器となるのが正しい姿なのだ!そんな事も知らんのか!』って感じで怒られた。あんな理不尽な怒られ方をされたのは生まれて初めてだったよ……」


 何故俺が怒られたのだろうか?

 

 「んでまぁ話の流れで決闘になって、セリアが取り巻きを適当にボコッて賞金900万リル巻き上げて決闘と称した茶番は終わったんだけどね。ワシを敵に回した事を必ず後悔させてやるとか言ってたんで、それは宣戦布告って事で良いのかと確認したんだけど、勝手にしろって言ってたからただ今正式に失敗キメラとは戦争中だね。その一件からまだ1時間程度しかたってないけど」

 「そうですか、確かにご主人様とお会いできたのは運命的だったのですね」

 「だねーっとまぁ、このまま立ち話ってのもなんだし、ちょっと遅めだけどお昼ご飯食べに行こう。君達お腹空いてるだろ?」

 「はい。とても空腹です」

 

 ニャンコは素直だね。

 餌付けしなくっちゃね。


 「セリアは何食べたい?」

 「お肉が食べたいです」


 とっても肉食系の回答ですね。


 「セリアはガッツリ肉系か。黒華は?」

 「私は食べさせて頂けるのであればなんでも構いません」


 遠慮しているのだろうか?

 

 「そう?じゃ今回はセリアの希望を優先して高級焼き肉店の食べ放題で店員を泣かす方向で行こうか。肉以外もサイドメニューを頼めば食べれるんだし、それで良かろ」

 「楽しみです」

 

 ニャンコはもう我慢できないと言わんばかりの様子だ。


 「ええっと宜しいのでしょうか?」

 「セリアさん。言ってあげなさい」

 「ご主人様の奴隷は美味しい物を食べさせられ、餌付けされる事も仕事です」


 何やら微妙なセリフをキリッとした真顔で告げるニャンコ。


 「そうして舌が肥え過ぎて元の生活に戻れなくなってしまう訳だね。我ながら恐ろしい調教だこと。それにセリアは既に失敗キメラをボコって900万リルほど自分の食費を確保してるから遠慮する意味が無いんだよね。まぁ俺の収入と金銭感覚を考慮すれば最初からお金の問題で遠慮する事自体無駄の極みだけど」

 「……承知致しました」

 「うむ!では焼き肉屋の店員泣かしに行こうぜ!」

 

 白猫と黒狐を部屋から出て奴隷店の外へと出る。

 途中で店員が目を見開き硬直していたが些細な事だ。

 幸いな事に脳内マップに在る高級焼き肉店は奴隷店から近い。

 徒歩7分と言った所であろうか。

 

 焼き肉屋へと行く横を通る者は全員が振り返る。

 男は分かるが、女も老人もだ。

 釣られて振り返る者も少なくないが、子供までとは凄い破壊力だ。

 美女の奴隷メイドが左右に2人居ると注目度が凄いね。

 2人で目を引く量が倍になり、釣られて見る者や、釣られた者に釣られる者までいるからか、相乗効果が出ている様だ。

 ほぼ全員の目の動きが俺の白黒奴隷メイドを見てから俺を見ている。

 

 白黒ペットの飼い主として少なからず優越感を感じてしまうのは仕方がないと思います。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。