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002 奴隷購入

 野宿?を始めてそろそろ1週間が経過する。

 この1週間、理解しきれてい先生の性能把握をしつつも情報収集に努めた結果、様々な事が新たに発覚。


 先生は記憶力と情報の整理能力もチートだった。

 写真やビデオの録画の様に映像と音声を記憶できるとか……


 分裂しまくって会話を拾い、図書館に侵入して本を読み漁った結果、この世界の言語を理解するに至り、常識を含め多種多様な分野の知識を覚えてしまいましたよっと。


 先生がな!


 色々なものを拾ったりもした。

 特に現金。

 いや~びっくりしましたとも。

 本当に色々な所に落ちているお金を地味に根気よく拾い集めただけでなんと、日本円換算で約12億円!


 この世界の通貨は大昔に謎の滅びを迎えた巨大文明が発行した通貨をほぼそのまま流用しているらしく、世界を覆った文明の通貨遺産は世界の通貨を統一するに至ったらしい。


 何気に凄い。


 そんな訳でこの世界『ギルファーナ』の共通通貨はリル。

おおよその価値は1リル=銅貨=100円となりその後は通貨価値が10倍上がり続け、銅板、銀貨、銀板、金貨、金板、白金貨、晶貨となる。


 100円以下の単位通貨が存在しない事と白金板がない事にモヤッとするものがあるけど、その辺りは慣れの問題なのかな?

 白金板が無いのは白金の絶対量が少ないからしょうがないのだろうし、銅以下の価値で量産できそうな素材と言うと鉄と石くらいしか思いつかないけど、鉄はその他の産業で需要が多すぎてダメで石は偽造が怖いと言う事かな?


 白金貨までなら現在の技術でも新たに鋳造する事も可能だけど、虹色に輝く晶貨は製造はおろか素材すら解明できないのだとか。

 もっとも解明されて10億円の価値がある通貨が量産されたら経済的に大混乱になるだろうけど。

 10億円の価値がある硬貨をうっかり落としたりしても、落とした人は大混乱になると思うけどね。


 いや、ホントにね。


 うん。

 拾ったんだよね晶貨。

 マジで落ちてたわ。

 白金貨も落ちてた。

 2枚で11億円とか……


 戸籍登録人口だけでも約80万人以上の世界一物流が激しいと言われる巨大都市なだけはある。


 通貨、お金とはある程度発達した文明で必ずと言って良い程に発明され、使われる取引専用の道具であり、理知の象徴の1つと言ってしまっても過言ではないと思う。

 使われていない道具程悲しいものはない。

 死蔵された通貨を発掘して社会に還元する素晴らしい社会貢献と言って良いだろう。


 俺って超優良社会人だな!


 とは言え、今まで積もり積もった通貨の落とし物はさすがにもうほぼ回収してしまっただろうし、そろそろ街に入りますか。


 いざ征かん!辺境都市にして迷宮都市、冒険者と商人の夢と欲望の都『アルガム』へ!


 と、言う事で先生に光学迷彩をお願いして透明人間になりサクッと侵入。

 証明する物を貰える訳でも無いのにわざわざ並んで通行税の銀貨1枚を取られるとかアホらしい。


 そして迷わずに奴隷屋へと直行。


 初めて入る大都市で迷わない理由は先生が三次元立体フルカラーマップを構築しており目的地と現在地を繋ぎ、ナビゲーションまでしてくれるからだ。


 この世界には奴隷制度が普遍的に存在し、誰でも簡単に購入できる。

 また、奴隷に人権は無く道具と言う立場となり殺害しようとも罪に問われることはない。

 自分の所有物であるなんらかの道具、例えば家具などを八つ当たりで壊して捨ててしまっても罪に問われることはないと言う訳だ。


 ただし制限と例外がある。


 制限その1、奴隷は1人につき2体まで。

 奴隷の数え方は1人でも1匹でもなく1体2体と呼ぶ。

 奴隷を売り買いする奴隷商人は国の発行する公式免許書の所持が義務化されており、奴隷商人が管理する奴隷は商品であり、所有奴隷ではないという扱いになる。


制限その2 奴隷の購入は1年に購入制限と同じ人数までで、再購入するためには1年以上の日数経過を必要とする。

この世界の時間軸と暦は1日24時間、45日で1月、8月まであり1年は360日となる。


 例外は国と貴族に買われる奴隷であり、複数の所持が可能となるがそれも制限が厳しく、下から順に


 騎士伯 

 所有奴隷上限3体。

 便宜上は辛うじて貴族。

 2,000人前後いる。

 領地なし。


 準男爵 

 所有奴隷上限4体。

 一応は貴族。

 500人前後いる。

 領地なし。


 男爵 

 所有奴隷上限5体。

 普通に貴族。

 100人前後いる。

 領地(微)持ち。


 子爵

 所有奴隷上限10体。

 そこそこの貴族。

 50人位いる。

 領地(小)持ち。


 伯爵

 所有奴隷上限100体。

 貴族的に中ボス。

 12人しかいない。

 領地(中)持ち。


 辺境伯 

 所有奴隷上限1,000体。

 侯爵とも言われる貴族の階位であり、この国では辺境伯だけしかおらず、辺境伯とは主に国の辺境や国境付近などの高い防衛力が必要で、多くの防衛武力と権限を持たされた外敵制圧能力の高い武闘派貴族。

 貴族的に四天王。

 4人でなくてはならない。

 領地(大)持ち。


 公爵 

 所有奴隷上限1万体。

 この国での公爵とは王族との血縁がある親戚の事であり、下位ではあるものの王位継承権を持ち王族のスペアとも言う。

 貴族的にラスボス。

 1人以上だと火種になる。


 国王

 所有奴隷上限100万体。

 男は殆どが鉱山労働や戦争奴隷で女は娼婦となり、この世界における娼婦とはほぼ国王の所有する女奴隷。


 この他に名誉貴族と言う報酬問題を解決するためにあるような1代限りの領地を持たない貴族が存在する。

 凄い功績を挙げたものには相応の報酬を支払う必要があり、名誉貴族とはそれらの報酬問題解決のためだけに作られた制度だったりする。 

 なお、奴隷の所有上限が増えるのは当主だけの特権となる。


 この様な制限がかかったのにはそれなりの経緯があり、昔は奴隷だからと下らない理由で殺すアホが多く、扱いが雑過ぎで奴隷の需要に対し供給が追いつかなくなったのだとか。

 そんな訳で、その後の50年ほど間は奴隷を故意に殺めるのは犯罪と言う扱いになったが奴隷の消費速度は殆ど改善されなかったらしい。


 恐らく原因は全体的な教養の低さと、社会的認識の下地の問題だろう。


 人間社会における人と殺すと殺人罪と言う重罪に問われる法が普遍的となる理由はとても単純だ。

 人が集まることにより連携して人の社会を作っているが故に、人間社会を構築する『人間』と言う部品を壊されれば社会性の機能が壊れるからだ。


 つまるところ殺人罪とは社会構造上の部品を勝手に壊すなと言う事だ。


 これが奴隷でも本来であれば同じ扱いになるのだが、奴隷は物であり道具であると言う認識が邪魔をする。

 この世界でも他人が他人の奴隷を害するのは重度の器物破損に該当するし、うっかり取り返しのつかない機能不全を起こす壊し方をしてしまったら記録されている購入費と同額の賠償を支払う義務が発生するのだが、所有者が大した意味も無く死ぬまで鞭でしばいて殺してしまっても、食用に飼われている養豚のブタを潰してブタ肉にするより低い扱いとなる。


 要するにこの世界の教育水準ではなぜ自分の所有物である奴隷を使い潰し、浪費するのが悪い事であるのかが認識できないと言う訳だ。


 そんな訳で国民意識レベルでの教育とかめんどいんで人数制限と購入制限するわ~ってなったらしい。


 非常に迷惑な話である。


 貴族ではない者は所有できる奴隷は2体までで、年に2体までしか購入できない。

 しょうがないので質を求める事にした。

 幸いな事に俺と同じ考えを持つ奴隷購入者は多く、需要があるので質の高い奴隷をより高値で売るための大きいオークションが2ヶ月に1回ある。


 その日が今日であり、特に質の高い奴隷がオークションに売り出される。


 そんな訳でやってまいりましたオークション会場に。

 会場の入り口には待合室があり結構な人数が並んでいる。

 俺も並んで入場料の1万リルを支払い席の番号が書いた札を貰いオークションが行われる部屋の大きく豪華な扉へ向かう。


 入場料だけで100万円と言う辺りに『金持ってね―奴は失せろ』と言う副音声が聞こえるのは俺だけではないはず。


 中は劇場のような作りだね。

 結構な客数が来ているようだ。

 席も8割は埋まっている。

 札に書かれている番号の席に座ってしばしぼんやりとしていると司会役らしきおっさんが出てきた。


「本日はご来場いただき、ありがとうございます。それではただいまより春の奴隷オークションを始めさせていただきます」


 オークションが始まり簡素なワンピースを着た美女が出てきた。


 「人族のメス、未開通の15歳が出品対象となります。最低入札価格は1万リルからです。それではどうぞ」


 未開通は奴隷用語で処女の意味だっけ?


 オークションが進んでいき次々と落札されていく。


 「皆さま、次の出品が本日最後の出品にして目玉の品です」


 おっと、ぼんやりしてたらついにお目当ての品か。


 「これ程の品が出品さる事は滅多にありません。私も21年この仕事を務めさせておりますが、極上と言ってしまっても過言ではない品であると断言できます」


 えらく引っ張るね。


 「白虎族のメス、24歳です」


 女性にしてはかなり長身で170cm後半はあるだろうか?

 腰まで届く白銀の髪に黄金の瞳、白磁の肌、白黒の虎耳と同じく白黒の虎尻尾のついたオッパイメロンのどえらい美女が出てきた。


 ある種の完成形とも言える女神のごとき美貌の奴隷の登場に会場がどよめく。


 名前 セリア

 種族 白虎族

 年齢 24

 状態 健康 空腹(中)

 特性 剛腕(大) 身体(中) 五感(中)

 技能 体術(大) 気功(大) 操気(中) 


 腹ペコの超武闘派です。

 飢えたホワイトタイガーです。


 「ご存知かと思われますが、獣人の特徴は五感に優れ身体能力が高い事です。そして獣人の中でも特に腕力に優れ戦闘力が高いとされるのが虎人です」


 知っとるがな。

 そんな事より早くオークション始めろよ。


 「白虎族は虎人族の中でもさらに極少数の希少種であり、最大の特徴である腕力が虎人族と比べてすら数段高いとされています。虎人族は鬼人族に並ぶ戦闘力を持つとされていますが、白虎族は竜人族に匹敵すると言われ、白兵戦なら獣人の白虎族、亜人の竜人族と言われています」


 知っとるっちゅーねん!

 そりゃ最初は、虎って前足が後ろ足より発達していて両前足で獲物の首を挟んでニャンニャンしてペッキョリする事が結構あるとか、なんかの本で読んだ事あるなぁとか思ったけど!


 そんな事より早く腹ペコニャンコの餌付けさせろよ!


 「その上この美貌。白虎族の平均寿命は約400年あり若さの維持力が高く200歳までは人基準で20歳前後の容姿を保ちます」


 生粋の戦闘民族だから戦える期間が長くなる方向で進化したって感じなんだろうけど、その分燃費が悪く種族的に大喰いらしいね。


 餌付けさせろよ。


 「もちろん未開通です。戦奴隷としても性奴隷としても稀にしかお目にかかれない一級品です!最低入札価格は100万から。それではオークションスタート!」


 「110」「200」「250」「280」「300」「320」「400」「450」「500」「600」


 入札せず様子見していると恐ろしい勢いで値上がりしていくが600でひとまず止まった様だ。


 「現在の価格は600万リルです。他にありませんか?」


 俺の出番が来たようだな。


 「700」

 「700万!ほかにありませんか?」

 「710」


 声が聞こえた方に意識をやると、大勢の武装した取り巻きに囲まれたブタとヘビを足して無理やり人型にしようとして失敗したような物体が睨んでいる。


 「800」


 ニャンコもこっちのペットとして飼われたいらしい。

 眼が明らかに無言のエールを送っている。


 「805」


 刻み方がせこくなってきたなぁ。


 「900」

 「901」


 食い下がるね。


 「1000」


 失敗キメラが黙った。


 「ほかにありませんか?なければ1000万リルでの落札とさせて頂きます」


 あからさまにホッとした表情を見せたニャンコにちょっと萌えた。


 オークションが終了すると直ぐに奴隷の引き渡しがあちこちで始まった。

 どうやら奴隷1体につき担当が居るようで落札者に販売側の従業員と思われる者たちが案内を始めた。


 「こちらにお越しください。奴隷をお渡しします」


 俺の所にもおっさんが来た。

 オークション会場から出て、個室に案内される。


 部屋にはニャンコが居た。

 丈の短い簡素な白いワンピースに奴隷である事を示す黒くゴツい首輪と裸足と言う恰好なのに存在感が凄い。

 近くで見ると圧倒的だ。

 もはや神々しい。

 女神のごとき美貌と言ってしまっても過言ではないだろう。


 「服を脱がせましょうか?」 


 俺が俺の奴隷の裸体を視姦するのは良いがおっさんが見るのはダメだろ。


 「いや、いい」


 おっさんが見たいだけじゃないの?


 「全裸に首輪がメス奴隷の正装なのですが……」

 「必要ない」


 おっさんが見たいだけだろ!


 「左様でございますか」


 明らかにガッカリしやがって!


 「この奴隷に着せる服が欲しい」

 「承知いたしました」

 「どの様な衣装を用意いたしましょう?当店では様々なニーズにお応えするために多種多様な衣装を用意させて頂いておりますが」


 変態が多いと言う事だな。


 「最高品質のメイドセットを5」


 黒と白を基調にした絹製のメイド服があるのは下調べしている。

 この世界のメイド服の標準は半袖に上乳が見える胸部の自己主張を強調する上半身と、見えそうで見えないヒラヒラしたミニスカートにオーバーニーソックス+ガーターベルト+紐パンの下半身が標準だ。


 かつての熱い魂を持った変態しんしが頑張ったに違いない。


 過去の変態しんしに敬礼!


 標準その2として可愛らしさの欠片も無く、地味で野暮ったい家政婦としての機能美だけを追求した全く遊びのない、長袖で体のラインが殆ど分からなくなるロングスカートのメイド服もある。


 主に年配の……まぁ、なんだ、年配のおばちゃんが着る。


 メイドセットはスケスケネグリジェ付き。 

 最高品質メイドセットの下着はスケスケで局所が最小限しか隠れないので、疑似的にスキャンティーみたいになる紐パンだ。 


 「ソックス、ガーターベルト、下着、ネグリジェの色は複数ありますが、いかがいたしましょうか?」

 「全部白で」

 「承知いたしました」


 おっさんは懐から取り出したベルをならす。

 すると直ぐに年配のメイドが出てきた。

 サラサラッと懐から取り出したメモ用紙らしき紙に書いてメイドに渡す。

 服の用意をしてくれるのだろう。


 メイドに服の注文書を渡したと思われるおっさんがこっちを見た。


 「奴隷の登録をさせて頂きたいのですが宜しいですか?」

 「おう」


 おっさんが持ち運び可能な程度に小さいと言うか、縦に細長い台を部屋の端っこから引っ張り出してきた。

 台の上には黒いカードとカミソリの様に鋭い刃を持つ小さいナイフがある。


 「ご存知かと思われますが、説明させていただきます。そちらの奴隷カードの右上にある空欄に血液を1滴垂らしていただければ登録完了となります。登録されれば自動的に購入日と登録者が記録されます」


 改めて見ると黒いカードの右上には小さく白く丸い空欄がある。


 「一応知ってる。例外を除き奴隷は1人2体まで、再購入は1年後以降だよね」

 「はい。その通りです。首輪の効果のご説明は必要でしょうか?」

 「1、所有者を直接、間接を問わず害してはならない。2、所有者の命令には服従しなくてはならない。3、所有者の命令に反しない限り自害してはならないだったっけ?」

 「はい。その通りです。違反すると自動的に奴隷の体は硬直し、耐久拷問訓練を受けた歴戦の猛者でも泣き叫んで脱糞放尿するとまで言われる激痛を感じます」


 超怖い。


 「難点は違反しているか否かは奴隷の認識に依存するという事です。奴隷が違反している事を認識していない場合は発動しません。その点を補うために奴隷カードの任意処罰機能と任意操作機能があります。カードに触れながら念じれば自動的に首輪の機能が発動します」


 奴隷が傷を負わない鞭の代わりって訳だ。

 ハイテクだねー。


 「任意処罰機能の注意点は死ぬことは無くとも過剰に行えば廃奴隷になる事はあると言う事です」


 死ぬほどの激痛なのに死ねないから精神が死ぬって事だね。


 「そこまでする奴ってそんなに居るの?」

 「少なからずいらっしゃいます」

 「で、そう言うのに限って不良品だーとか言いがかりをつけて来るから鬱陶しいと」


 今ちゃんと説明したんだからやり過ぎて壊れてもイチャモンつけんじゃねーぞと言われてる訳ね。


「任意操作機能は奴隷を思い通りに動かす事が出来ますが、奴隷がイメージで指示を受けて動くのでやや想定と異なる動きをする事があります。奴隷は任意操作に逆らう事ができません」


 数が持てないなら質を上げれば良いじゃないってなもので、奴隷のつける首輪である『隷属の首輪』が魔改造されて今の性能が標準になったと『奴隷の歴史』ってタイトルの本に書いてたけど、冷静に考えるとイメージでリモートコントロールって超ハイテクだよね。


 「最後の注意点です。奴隷の行動の責任は全て所有者へと帰属しますので、奴隷が犯罪行為を行った場合は所有者が行った事とほぼ同義となります」

 「了解。別に使わなくても問題なさそうな任意懲罰機能を使い過ぎて壊すアホが少なからず居るってのは知らなかったよ」

 「普通の奴隷はさほど値が張るわけではありませんので」

 「1000万は高いかな?」

 「平均的なオス奴隷の値段は1万リル前後です」


 1万リル=100万円。

 売値でそれだと売る時の値段は半分前後だろうし、知ってはいたが改めて聞くとやはり安い。


 「そう言われると高い気がするね」


 1000万リルはほぼ10億円だし安くはないとは思うけど拾ったお金だと実感がない。


 「見た目の良いメスほど性奴隷としての価値が上がり値が張りますので。未開通なら更に上がります。戦闘もこなせるとなると希少な上に誰もが欲しがりますのでおのずと値が跳ね上がります」

 「個人的には1000万リルで買えてお買い得だったと思ってるけど、この世で最も高価なのは命、最も値引きが効くのも命と言うやつかな?」

 「至言かと」

 「んじゃ登録するわ」

 「お待ちください。お支払いを先にお願いします」

 「あいあい」


 懐から晶貨を取り出しおっさんにぽっいっと投げて渡す。


 「っと……晶貨ですか」


 おっさんの顔が若干ひきつった。


 「ん?晶貨じゃダメなの?」

 「いえ、少々驚いただけです」


 問題なかったようだ。

 

 「じゃ、登録するよ?」

 「はい」


 ナイフで指をちょっぴり切りカードに血を1滴垂らす。

 すると、カードが淡い青に発光し右上にあった白い丸が赤くなった。


 「登録完了です」


 登録が完了するのとほぼ同時にノックの音が聞こえる。


 「入れ」


 年配のメイドが数人入ってきた。

 手には丁寧に折りたたんだ服を持っている。


 「お値段は?」

 「こちらの品はサービスとなります」

 「あれ?そんなのあったっけ?」


 初耳ですが?


 「1000万リル以上のご購入をなされた方だけの特例サービスです」

 「なるほど~そんなのあったのね。まぁいいや、とりあえずそのメイド服、ひとつ俺の奴隷に着せてよ。それ以外は俺が持っておく」


 おばちゃん達の持つ服、ニャンコが着る分以外のメイドセットとネグリジェをに触り次々収納していく。


 「やはり高位の魔法使いの方でしたか」

 「さーどうだろうね?」


 この世界には魔法と魔法を使う魔法使いが普通にいる。

 魔力は誰でも持っていて火種を作る程度の魔法が使えるものは割とその辺にゴロゴロいるが、個人差が激しくピンキリ感が凄まじい。

 属性は火、水、風、土、回復、空間となり火水風土を基本4属性と言い、適性があるものが多く、回復、空間の順に適性者が少なくなる。

 得手不得手の差も酷く、大抵は1属性で複数の属性に適性を持つ者ほど数が少なくなっていく。


 また、魔法の種類はかなりあいまい。


 この世界の魔法には似た効果はあれど決まった効果は無く、決まった詠唱も無い。

 なぜなら魔法は基本的に術者の魔力と精神力だが材料だからだ。


 本人のテンションとかイメージや集中力が重要なので無詠唱の者、詠唱するもの、変なポーズをする者と色々。


 先生の収納を使ってもさほどには驚かれなかったのは『アイテムボックス』と言われる空間魔法が使い手は少なく希少とされるものの知られているからである。


 魔法使いではないけど、最低でも空間魔法の『アイテムボックス』が使える魔法使いだと誤認されたという事だ。

 誤解の要因には俺の今の姿がローブだからと言うのもあるんだろう。


 今の俺の姿は『拾った』質の良い服の上に青を基調とした質の良さそうなローブを着ている。


 「申し訳ありません。貴族のお嬢様でしたか?」


 え?

 反抗期の愚息がいますが……


 「貴族ではないしお嬢様でもないよー」

 「大変失礼いたしました」


 おっさんは深々と頭を下げて謝罪するが、驚いている様には見えないあたり探りかな?


 俺って150cm半ばの身長に青と言うより蒼い髪に蒼い眼の女子力の高い顔面戦闘力だし、体のサイズの割にはゆったりしたローブを着てるから性別の識別が難しいのかね?

 声で分かるのではと思ったけど男にしては高く女にしては低い気がすると言う声では識別は難しいのか。


 ニャンコもノーリアクションだね。

 体臭とかで確信してたのかな? 


 何はともあれ、虎耳奴隷メイドゲットだぜ!


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