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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役勇者の復讐 後編

作者: 向日葵

また、誰かが何かを言っている。


「最後に一言、申したいことはあるか?」


最後に、一言。だって。そんなの、決まってる。


「絶対にユルサナイ」



何を唖然としたかおをしているのか。何を怒り狂った顔をしているのか。何を化物を見るような目で見るのか。


一言で言えと言ったからまとめたのに。あれか、もっと何か言って欲しかったのか?申し訳ありませんでした。許してくださいと、言って欲しかったのか?そんなの、言うわけないだろう。


「くく、ひひひ、ひゃははあはあははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、ハ、ハ」


ああ、おかしい。ここまで愚かなことが。


ああ、ニクイ。私を巻き込んだことが。


私が何もしないと思っているのか?私のことを人形と思っているのか。意思のない人形。ただ黙って従う人形。口ごたえしない人形。ああ、そうなれたら、どれほど良かったことか。




くくくっ。とのどを震わす。




ボロボロの体に力を入れ続けたせいか、またぐしゃりと崩れ落ちた。


今度は引き立てない。よっぽど私が怖いのかな。

潰れた虫のような格好の私。



本当は、絞首刑などしなくても私はもうだめ。



魔力を搾り取られ、体から足の筋肉以外の機能を使えないように、喋るのも辛いくらいに。それほど、この体が怖いのかな。でも、【勇者】のちからは、恐ろしいほど強いからかな。笑うことはできた。








もう、いいよね。













私、頑張ったよね。













笑い続けた涙か、気持ちの涙か、前がぼやける。



緩やかに瞼が落ちる。人は死に近づくと、走馬灯が流れると言うのは本当だったのか。人は死に近づくと眠くなるのも本当だったんだな。でも、1度も元の世界のことを考えなかった。それだけ、私はこの世界に執着してるのかな。




ああ、眠い。













































おやすみなさい。

願わくは、この世界に絶望が訪れますように。


























その時の様子は、よく覚えていない。






俺は、魔王と呼ばれる存在だ。

魔王が恐ろしいと人間の世界ではよく言われているが、俺からしてみれば、人間の方が恐ろしい。



自分勝手で、強欲で、高慢で、支配欲が強く、違う人間の不幸を喜び、人からの信頼をたやすく裏切る。




たまに、聖人やら聖女と呼ばれる奴にあったが、そういう奴らの方が恐ろしい欲を隠し持っていた。



獣人や、魔族を。同じ生きている人と見なさず、化物を見るような目で見ていた。そして、何も悪びれず、俺の国に攻め込んだ。



それに、反撃しただけで、すべての人間が敵になった。



だが、【勇者】と呼ばれる奴は違っていた。


今にも折れてしまいそうな細い腕

あざだらけの体

立つだけで折れてしまいそうな足


何より特徴的だったのは、目だ。


何もかも諦めたような目。


だが、底にあるのは凄まじい憎悪。


俺と、対戦していた時もそれは変わらなかった。


一瞬のスキを突かれ、俺は、心臓あたりを貫かれた。だが、俺は魔族。人間とは違うところに急所がある。


だが、そのまま倒れ落ちた。


勇者のもつ聖剣は、魔族に効く。


しばらく体が動かなくなるくらい。


それが刺さったのだ。流石にもうダメだと思った。



しかし、勇者の言葉が俺に響いた。


それはよく覚えている。





「このまま死んだふりをして。お願い。私が死んだら、出てきて。」



ああ、こいつは。











もうだめだ。


















救いがなさすぎた。










もう、死ぬのが慈悲だと思った。






あいつが死んだ後、俺はすぐに進行を開始した。


奴らは【勇者】を立てたが、所詮偽物。すぐに殺した。いや、殺そうと思った。だが、俺はやめた。そして国に返した。



そして偽勇者は、国民に罵られながら絞首刑で死んだそうだ。





教会の奴らが、また勇者を呼び出そうとしているらしい。だが、無駄だ。あいつが2度と使えないようにしていた。暴走して、周りを巻き込む大爆発を起こしていた。



【勇者】を呼ぶことが出来る、という教会の信用も地に落ちた。





王族は、国民にとっての最後の希望になった。しかし、今まで何もせず、全てあいつに押し付けてきたような奴らだ。俺は、即座に地獄門に叩き込んだ。




じわじわと、絶望に追い込まれていく、人間。





そして、人間はすべて消えた。














その世界の人間は、なぜこうなったのか、分かろうともせずに消えて行った。








唯、極々1部の人間は、こう思った。









我らは報いを受けたのだ……と、

















終わり

もしかすると、勇者のハッピーエンドを作るかも知れません。

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