第二話
「ううっ・・・」
朝6時。カーテンの隙間から差してくる光が、僕の意識を覚醒させる。体を起こし、枕元の携帯を確認する。
着信あり。3件。
「なんだよ。こんな朝早くから・・・あ、智子だ。」
叶田智子。茶色い髪を耳の所で結んでいて、いつもはしゃいで可愛い、僕の彼女。
ちなみに初彼女。
何か急用なのだろうか。こんな時間に珍しい。いや、そもそも電話を掛けてくることも珍しいのだが・・・
そう思いながらも智子に電話を掛ける。
『もしもし、海人くん?』
掛けてから4コール目で、智子は電話に出た。
「あっ、智子か?さっき僕に電話してきただろ?」
『そうなの!ちょっと用があって。8時に『桜かふぇ』に来て貰えるかな?』
「あぁ、いいよ。じゃあ8時にな。」
『ありがとう!じゃあまたね。』
「あぁ、またな。」
プツッ。電話が切れた。
「・・・・準備するか。」
白いシャツ。黒いジャケット。いろいろと試行錯誤しているうちに、もう七時半になってしまった。
8時。駅前の『桜かふぇ。』で彼女を待つ。
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「お待たせ。海人くん、ごめんね。」
8時15分を過ぎた頃、ようやく智子が現れる。
茶色い髪を巻いて、白いワンピースに薄い黄色い
カーディガン。
「いやいや、全然だよ。僕も今来たところさ。」
デートにお決まりの会話を交わした後、智子は向かいの席に座った。
「で?用ってのは?」
「えへへ、あのねー。」
智子はにこにこしながら僕が買ってあげたブランドのバックを探り始める。
「これこれ!」
白い入れ物の中に、大粒のダイヤのついた指輪が光輝いていた。
「ど、どうしたんだよ。これ。メチャクチャ高そうだけど。」
「へへっ、買っちゃいましたー。」
「い、いくらだったんだ。」
「10000000円。」
「い、いいい、いっせんまん・・」
「うん。ローン組んで。」
「で、ででで、どうしたのかな?智子さん。」
「ローン、お願い!よく考えたら10000000円なんてお金、ないんだよね。」
「・・・・いや、さすがに。」
「・・・・ダメかな?」
「わかった、いいよ。」
「そっかあ、残念・・・っていいの?!」
「いいよ。お前のためなら。僕はお前の彼氏だしな。」
「やったあああ!ありがとう!じゃあよろしくね!」