孤独な少女
童話のように書いたつもりです。
小さい頃、母がよく読んでくれた絵本。
――孤独な少女の話。
少女はたった一人で、そこに居た。
少女は一人だとつまらなかった。
だから、ドールハウスを造った。
人形も創って、そこに役割を与えた。
最初は、自分と遊んでくれる男の子。
でも男の子一人じゃかわいそうだから、女の子も創った。
二人で遊ばせた。
そのうちに、二人は自分を見てくれなくなったように感じた。
だから大人を創った。
自分を視てくれる人。
だけど大人は、男の子と女の子が心配で、二人を見守る役に徹するようになった。
また自分は一人だ。
だったら分け隔てのない、動物を創ろう。
うさぎがいい。ふわふわした、かわいいこ。
うさぎはずっと自分を見てくれてた。
でも動物の命は短い。
うさぎは死んでしまった。
先に創った大人も死んでしまった。
男の子と女の子は大人になっていて、子供をたくさん産んだ。
子供たちはすくすく育つ。
大人になった二人はいずれ死んでしまう。
また一人になる。
そこには、永久しか、無かった。
『少女』を視ようとする人は居なかった。
天涯孤独の少女。
――少女はそれでも、いいのだろうか。
ドールハウスを眺めているだけで、満足なんだろうか。
僕は、知りたいけれど――彼女に会う方法を知らなかった。
流されている僕も、ドールハウスの中に居る。
だから、少女を探せなかった。
そうして僕も、いつかは死ぬんだろう。
疑問を抱えながら。
いや――いつしか亡くす記憶ならば、知る必要も無いのかもしれない。
最低限、今を生きれば――?
――生きれば、何になるというのだろう。
僕は何も残せない。
彼女も居ないし子は成せない。
頭も良くないから技術を残せない。
歴史を残せない。人望も無い。居ないも同然。
せまい空間の中でしか、生きられない。
それでも――望みがいつか叶うなら、僕が『少女』に成りたい。
孤独な少女。ドールハウスを見るだけの生涯。
それに成り代わりたい。
そうしたら少女は、僕を知る。
僕は少女を知る。
そして孤独に生った僕には、何かを遺す必要なんて無くなるんだ。
――最高じゃないか。
『少女』さん。もしも僕を視てくれているなら、居場所を代わってくれよ。
僕にはもう、遺すという作業を考えることすら億劫だ。
――あ。
と思った時には遅い。
僕はいつの間にか宙に浮いて、ドールハウス――地球を眺めていた。
――なれた。
不思議な感覚だった。
死んでしまったような、でも自分を動かしているという感触はあった。
こうしてぼくは永久をてにいれた。
つまらなくなんてないさ。
それぞれに感情があって、物語があって――だから観察は飽きないんだ。
唯一気になるのは、ぼくに代わって生きた少女の存在。
どうやっても見つけられなかった。
それだけが悔しい。
……なぁに、ヒトの世は輪廻転生と言われてて、再び地球に還ってくるとされている。
なら、また会えることを楽しみに、ぼくは待とう。
いつまでも、彼女の誕生を。
その後については、皆様の想像におまかせします。




