元に戻る
ひと月の間、毎週シャルを構いに行った。
そして、シャルが元に戻ったと連絡がきた。
シャルに会いに行く。
「…シャル」
「お、おおお王太子殿下、ごきげんよう!」
どもっているのを見るに、幼児化していた時の記憶もあるらしい。
「シャル、今までごめんね」
「え…」
「君を構ってあげられなかった。僕の将来のお妃様なのに」
「そ、それは…」
「いつものように抱きしめてもいいかな?」
シャルはその言葉に固まった。
そして顔を真っ赤にしてコクリと頷いた。
僕は、このひと月ほど会うたび毎回していたようにシャルを抱きしめる。
「…本当にごめん。これからは大切にする」
「はい、許して差し上げます…な、なんちゃって。えへへ」
自分で言って、困ったように照れ笑いをするシャル。
その笑顔に、小さなシャルと同じ可愛らしさと愛を感じて思わず強く抱きしめた。
シャルは戸惑ったようにこちらを見つめる。
そんな顔も可愛くて。
「シャル」
「はい…ひゃっ」
唇への口づけは結婚式まで取っておかないといけないから、額にキスをした。
シャルは真っ赤になって固まる。
可愛すぎる。
「シャルはどうしてそんなに可愛いの?」
「え、え、え」
「どうしよう。このまま耳を食んだらどんな反応をするのかな」
「ぴぇっ」
思考が口に出ていたらしく、シャルが真っ赤な顔でプルプル震える。
可愛すぎる。
でも、イジメるのは良くないと思いぐっと堪える。
「…ふふ、冗談だよ」
「あぅ…」
「今はね」
「!?」
ああ、こんな可愛い生き物…どうしたらいいんだろう。
加虐心と庇護欲の両方をくすぐられてしまう。
今まで僕はよくこの魅力に気付かなかったものだな。




