魔族
「やはり黒幕は魔族だったね」
「世界征服を宣言しましたわね…」
「とにかく、各国の王族と緊急で会談することになったのだからここでびしっと決めないとね。行こう、シャル」
「ええ」
ヴァレール様と共に、各国の王族との会談の場に出向く。
警備はもちろん厳重だ。
「早速ですが、魔族の宣言に対して我々はどう向き合うべきか話し合いましょう」
「魔族は今や大陸全土に広がって、今の今まで人間のように我らの社会に溶け込んでいました。完全に葬り去るのは現実的ではありません」
「ですが、魔族による世界征服など言語道断」
「我ら大陸の人間の総力を挙げて魔族と戦うべきでしょう」
「異論はありますか?」
誰も何も言わない。
「では、ここに我らで総力を挙げて魔族を迎撃することを誓い合いましょう」
「対魔族同盟を結ぶことを誓いましょう」
「では、お互い困った時には助太刀し合いつつ魔族に当たるということで」
「魔族の勢いはおそらく強いでしょうが、大陸の総力を挙げればなんとかなるでしょう」
「魔族の弱点なども分かれば、すぐ報告し合うということで」
そこでわたくしは手を挙げた。
「その魔族の弱点なのですけれど」
「はい」
「我が家の書庫に、我らが文明以前の文明の資料がありまして。解読すれば魔族についての記述もあるかもしれませんわ。今専門家に見てもらっていますの」
「おお…!それは心強い。今は少しでも情報が欲しいですからな」
「我が家の先祖は獣人族…魔族とどう戦ってきたか分かれば、それだけでも有利にことを進められますわ」
その場にいた全員がこくりと頷いた。
「それと、魔力石をたくさん貯めていますの。各国への支援として、一部配りますから民を守るためにお使いくださいませ」
「これは有り難い!」
「聖女様、ありがとうございます」
わたくしは貯め続けてきた魔力石を配る。
これで少しでも多くの方を守れればいいのだけれど。
「では、それぞれ国も心配でしょうしこれで解散にして戻りましょう」
「その前に対魔族同盟を拡声魔法で宣言しましょう」
わたくしたちは拡声魔法で対魔族同盟を大陸全土の国で結んだことを宣言して、国に戻った。
魔族が少しでも怯んでくれたらいいのですけれど…。
「ヴァレール様…」
「シャル」
ぎゅっとヴァレール様がわたくしの手を握る。
わたくしがヴァレール様を見つめれば、微笑んでくれた。
「…大丈夫、きっと」
「………ええ、そうですわよね!わたくし、死なないと約束致しましたもの!」
「シャル…」
「だからヴァレール様も…ご無事で」
「もちろんだよ」
手を取られて、手の甲にキスをされる。
…不安はあるけれど、きっと大丈夫。
わたくしたちは、負けたりしない。




