またも黒幕の影
「また失敗した…」
「申し訳ありません、フェラン様…」
「よいよい、あの娘が一枚上手だったのだ。まだ二回目の失敗ゆえ、許そう」
「ありがとうございます…」
「申し訳ありません…」
今度こそ本気で落ち込む少女と少年。
主人である男が許して慰めてやる。
青年は、滅多にない少女と少年の落ち込んだ様子に困った顔でオロオロしていた。
「他の地域の作戦は順調なのだろう?」
「はい…内戦の勃発だけでなく、国同士での戦争紛いの小競り合いも起きています…」
「順調ではないか。お前たちはよく仕事をしてくれている」
「フェラン様…」
少女と少年は顔を上げる。
そんな二人の肩を叩く主人に、二人はホッとした表情で頷いた。
「その娘にばかり構ってもいられない。大陸の南側を追い落せないのは痛手だが、そろそろ我らの声明を世界に発信する準備も進めなければ」
「そうですね、フェラン様」
「特にあの国は手中に収めておきたかったがな。聖女の加護が邪魔だから排除しておきたかったし、聖魔力を置いておいても、気候が温暖で自然豊か、農業も漁業も盛んで芸術も花開く国とくれば喉から手が出るほど欲しい」
「力が及ばず申し訳ありません…」
しょぼんと肩を落とす部下たちに、男は内心慌てる。
責めるつもりではなかったのだ。
「いや、責めているのではない。大丈夫だ、気にするな。準備を手伝ってくれるか?」
「もちろんです」
黒幕はとうとう、シャルロットを潰すのを諦めた。
その代わりに、一歩世界征服に歩みを進めることにしたらしい。
その判断が果たして、彼らにとって吉と出るか凶と出るか…それはまだ誰にもわからない。
…ふと、男が視線を動かす。
そして懐の短刀を壁に向かって投げた。
「…気のせいか」
「フェラン様?」
「いや、なんでもない。すまないな」
「いえ!お気になさらず!」
…私は動悸をなんとか抑え、この屋敷を脱出する。
間諜として働いてきた人生で、一番ドキドキしたかもしれない。
急いで国に戻り、とある屋敷について報告をした。
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