犯罪グループ
わたくしの影武者の方は無事に救出され、解放された。
その方は後から聞いた話、占い師の件で兄が被害を受けていたらしい。
占い師の件で解決に導いたわたくしに感謝してくれたから、影武者になってくれたとのこと。
お役に立てて良かったと言っていたそうで、人伝にお礼を言えばすごく喜んでくれたとのこと。
一方で犯罪者グループは、影武者の彼女を殺さずに済んだことを騎士団に感謝していたらしい。
「犯罪者グループとはいえ、人の心は失ってなかったようですわね」
「彼らが最終的に冷静になってくれてよかったよ」
「彼らの処遇はどうなりますの?」
わたくしが尋ねれば、ヴァレール様は難しい顔をした。
「彼らの所業は許されることではない。北の国と話し合って、我が国での処刑を許してもらったよ」
「処刑…」
「とはいえマインドコントロールの被害を受けたことを考慮して、ギロチンにかけるが晒し首にはしない」
ギロチンは、処刑道具としては割と苦痛が少なくて済む設計らしい。
晒し首も避けられるならまあ、ギリギリ最後のところで尊厳は守られるだろう。
「攫われたのが影武者で、そちらも無事解放されたからね。厳しすぎる処罰は避けた。ちなみに彼らのアジトにあった金品は、北の国が押収して犯罪者グループの詐欺の被害者へ返したらしい」
「まあ、そうなんですの?」
「さすがに、被害額全額を回収はできなかったらしいが…できる限りは返したそうだよ」
「それは良かったですわ」
犯罪者グループも、今回のマインドコントロールの件は可哀想かもしれないが今までの犯罪は反省してほしいところ。
「犯罪者グループは今、悪いことをしたから因果が巡ったと落ち込んでいるらしい」
「あら…」
「してきたことを思えば今更だが、よくよく反省してほしいものだね」
「そうですわね」
とはいえ、やらかしたことに対して反省する時間は少ないだろう。
「いつ処刑されますの」
「三日後だよ」
「はやいですわね」
「犯人たちも否認してないしね」
「そうですの…」
前の件では、無理矢理思い出そうとして自害に追い込んでしまったから…今回は、無理に思い出させることもしない判断なのだろう。
「それで、犯人のアジトに闇の組織の情報はありましたの?」
「いや…だが、酒場で例の少年少女らしき者たちがマインドコントロールをしていた様子を見た人がいる」
「そうですの…」
「その人が、似顔絵を描いてくれた。どこまで正確かはわからないが…」
見せてもらった似顔絵は、たしかに幼い子供たちが書かれている。
「さすがにビラを配るのは下策ですし、これを使ってどうしましょう?」
「間諜に探らせる。それしかないからね」
「そうですわね。それが一番ですわよね」
我が国のスパイに任せるのが一番の手。
下手にわたくしが首を突っ込むより、わたくしは魔力石を生成する方が優先だ。
「わかりましたわ、一歩でも話が進んでよかったですわ」
「そうだね」
このまま順調に敵に迫れれば良いのですけれど。




