不問にはできないけれど
武装蜂起した平民たちは、マインドコントロールが原因とはいえ不問にはできない。
けれど斬首ではなく苦しむことなく死ねる毒を下賜されることになり、マシな死に方をできることになった。
そして、村に残した妻や子供は特別に許されることになった。
その毒は一週間後に与えられるという。
それまでの間になにか思い出せないかと色々試してはいるが、難しいらしい。
「とりあえず、なにもしていない妻や子供は守られて良かったですわ」
「ギロチンのち晒し首のコンボも避けられたから、最低限の誇りは守られたしね」
「わたくし、やっぱりメアリーのこともありますから彼らは許せませんけれど…でも、それだけは良かったと思えますわ」
村に残してきた妻や子供は、なんの罪もない。
彼らも、罪はあってもそれはマインドコントロールの結果。
赦しが与えられたのは、本当によかった。
とはいえ、わたくしはどうしたって許しませんけれど。
「でも、マインドコントロールをした犯人がわからないのは痛手ですわね…」
「そうだね。彼らも君たち家族を襲ったこと、君を泣かせてしまったことをひどく後悔していてね。せめて死ぬまでの間になんとかして思い出して、役に立とうとしてくれているよ」
「なら、一週間後までになんとか思い出してくださるかしら…」
思い出してくれなければ手詰まりだ。
「だが、今になって一つ有力な情報か入った」
「え?」
「彼らがマインドコントロールされる一部始終を見ていた酒場の従業員の女がいうには、村では今まで見たことがない幼い子供たちが酔っ払った彼らの思考を誘導するようなことをしていたらしい」
「!?」
「…その子供たちが、何かした可能性はある」
子供が国家転覆を目論む闇の組織に属していると言うの?
どうしてそんな?
「わたくしと同じで、大人なのに子供に戻った存在…とか?」
「どうだろう。今は断定できない」
「そうですわよね…」
「ただ、いずれにせよ警戒はするべきだ」
「そうですわね…」
とはいえ、幼い子供には気をつけろと言ったところでどうにかなるとも思えないですけれど…。
「大丈夫、なんとか見つけ出して償わせてみせるよ」
「ヴァレール様…」
「だから安心して」
そう微笑んでくださるヴァレール様の気持ちが嬉しくて、尻尾がピンとなる。
そんなわたくしにヴァレール様はさらに笑みを深くした。




