暗躍する組織
「あの聖女候補もダメ、魔女もダメ、占い師もダメ…なんて使えない連中ばかりなんだ!」
一人の若い青年が喚く。
それに、幼い少女が答えた。
「ほほ、そなた失敗ばかりじゃのう。次は妾に任せておけ」
「い、いや!まだいける!」
「いや、ダメだ」
少年が答えた。
「これはお前の失敗じゃない。現に作戦は、どれも成功しかけていただろう?邪魔をされてばかりだったけど」
「そ、それは…」
「邪魔をした女を叩かなければ、どんな作戦をたてようと失敗する。なんたってその女は聖魔力を持つ聖女で、世界から失われた獣人の末裔だ」
「…」
青年はなにも言い返せない様子で歯ぎしりした。
「そなたは本当に年下には甘いのう」
「姉さん、あまりいじめないであげてよ」
少年は少女を嗜める。
そして言った。
「次は僕と姉さんであの女を潰す作戦を練る。あの女を潰したら、次はお前がまた国を乗っ取る作戦を練ればいいさ」
「兄さん…姐さんも、ごめん」
「ほほ、三度も失敗して辛かったろう。子供は子供らしく年上に甘えておればよろしい」
「姉さんもなんだかんだで甘やかしてるじゃない」
呆れた目を少女に向けた少年。
少女はそれを気にせずに、青年の頭を撫でる。
青年はちょっと戸惑った表情だが、どことなく嬉しそうだ。
「…どんな作戦を立てるのだ?」
「フェラン様!!!」
アラフィフくらいの男が現れると、家族の団欒をしていた三人は即座に土下座した。
「よい、顔を上げよ。楽にするがいい。それで、どのような作戦を立てるのだ」
三人は顔を上げ、土下座はやめてそれぞれ跪いた。
「民衆の不満を焚きつけて、あの聖女を殺すのが一番かと」
「ふむ」
「ご許可いただけますでしょうか」
男は頷いた。
「いいだろう。その作戦を認めよう。作戦の実行を許可する」
「ありがとうございます!」
「あの聖女、どうにも一筋縄では行きそうにない。抜かりなくな」
「もちろんでございます!」
こうして、本人のあずかり知らぬところでシャルの殺害計画が密かに進んでいた。
そんなことは知らないシャルは、兄と猫じゃらしで遊んでいた。




