占い師の結末
わたくしが背後を調べた方がいいと言ってしまったので、占い師は拷問にかけられたそうですわ。
占い師は頑なに共犯者を口にしなかったそうなのですが、最終的にお香は自分で用意したものでは無く知らない男が提供してくれたものだと自白しましたわ。
けれどその男は用意周到で、占い師に姿を見せることはほとんどなく、たまに会っても深いフードを被って顔を隠していたそうですわ。
そして、占い師はその罪の重さから極刑に処されましたわ。
これ以上は、なんの情報も引き出せそうにないとの判断でもありましたわ。
「…悪い人でしたけれど、死後は安らかにお眠りになってね」
わたくしは獣人化が解けて大人の姿に戻るまで、今度こそ大人しく屋敷にいることを義務付けされましたわ。
ですから屋敷の中からご冥福をお祈りしますわ。
本当は花の一つでも差し上げたいのですけれど、そもそも罪人に花を贈るわけにも行きませんしね…。
「…さて、お祈りはしましたし、なにをしましょう」
ぶっちゃけ屋敷に篭ってなければいけないのは暇ですわ!
なにかいい暇つぶしはないかしら!
「シャル」
「お兄様!どうなさいましたの?」
「シャルが暇してるかなと思って、おもちゃを持ってきたよ」
「おもちゃですの?」
「うん」
そうしてお兄様が取り出したのは…猫じゃらし。
「え、え、え」
「運動不足解消の意味も込めて、遊ぼう」
「え、あ。身体が勝手に!」
「ふふ、頑張れ頑張れ!」
「もう、お兄様ー!」
お兄様が猫じゃらしで誘惑してきて大変だったが、なんとか落ち着いた。
落ち着いた頃には体を動かしたおかげか心身ともにスッキリしており、お兄様の狙いもまあ的外れではないことはわかった。
だけど。
「お兄様のバカ」
わたくし、激おこですわ!
「ごめんよ、でも可愛かったからつい」
「お兄様なんて知らない、ですわ!」
お兄様と目を合わせずぷいっとする。
けれどお兄様はそんなわたくしにも優しい表情を向ける。
「ふふ、でもだいぶ表情がすっきりしたね」
「うっ…それは外に出られないフラストレーションが溜まってたからで…」
「でも外に出すとまた無茶をするだろう?」
「ううっ…」
「まあ、大人しく諦めようね」
そんなことを言いつつ、わたくしの頭をよしよしと撫でるお兄様。
もう!




