占いのカルト化?
幼くなったわたくしだけど、楽しい日々を過ごしている。
あと数日くらいで大人に戻るはずなので、せっかくだからと子供の姿を満喫している。
そんなわたくしの耳に、変な噂が届いた。
「そう言えば、シャル。なんか最近変な噂があるらしいよ」
「変な噂ですの?お兄様、聞かせてくださいまし!」
「なんか、平民たちの間で妙な占いが流行っているらしい」
「妙な占いですの?」
占いなんて、定期的に流行ったら廃れたりするものではないかしら?
「どうも、その占い師の予言はなんでも当たると噂らしい」
「よく聞く話ですわ」
「平民たちの間で流行る分にはどうでも良いんだけどね」
「…なにか問題がありまして?」
お兄様は微妙な顔をして口を開く。
「貴族の間にも、その占い師の信奉者が出始めているんだ」
「信奉者…ですの?」
「うん、なんだかカルト化しているみたいだ」
「新興宗教になりそうなんですの?」
「そのレベルじゃないかな」
占いが宗教に発展するなんて、すごいですわ。
「そんなによく当たるんですのね」
「怖い話だと思うけどね。貴族が占いに左右されるなんて問題だと思うのだけど」
「それはまあ、たしかに」
「民を導く立場にありながら、他者に決断を委ねるのはどうかと思うなぁ」
「ふふ、そんな風に考えるお兄様ならその占い師さんに会っても安心ね」
わたくしがそう言えば、お兄様は困った顔をした。
「そうだといいんだが…妙なことに、占いを信じるタイプではない人も信奉者になっているらしいんだ」
「え」
「軽く洗脳レベルだと思う」
それはおぞましいですわ。
人の思考すら捻じ曲げてしまうほどだなんて。
「…お兄様、わたくしその占い師にお会いしたいですわ!」
「え」
「もうあと数日で大人に戻れるほど聖魔力も貯まってきましたし」
「だからって危ないよ」
「子供の姿の方が、相手の油断を引き出せますわ!問題のない方ならいいですけれど、もし国にとって害となる方なら放置できませんもの!ね!お願いお兄様!」
お兄様に上目遣いでおねだりする。
お兄様は幼くなったわたくしのこれに弱いんですの!
「…シャルがそれを望むなら」
ほら、イチコロですわ!
「ふふ、お兄様大好きですわ!」
「調子がいいんだから」
そう言いつつもわたくしの頭を撫でるお兄様。
さあ、いざカルト化した占い師さんの元へ突撃ですわ!




