聖女としての仕事
正式に聖女に選ばれたことで、わたくしにはやるべきことができた。
聖女の仕事とは、国の結界の維持や国民への加護を与えること。
我が国には他国から侵略されないための結界が張り巡らされており、それを維持するため聖魔力を流すのが一番の役目。
そして国民が重い病気や怪我などを避けられるよう加護を与えるのも聖女の大切な役目。
けれどわたくしの場合、もうすでに国がエマ様の聖魔力を吸い取り結界の維持や国民への加護に使っているのでやることは少ない。
その状況でわたくしがやることといえば、魔力石を作ること。
魔力石とは、宝石に魔力を込めて貯蔵しておくもの。
聖魔力を貯蔵できれば、いつか何かあっても国にとって役に立つはず。
ということで、わたくしは今日々魔力石を作りまくっている。
もちろん幼児化したりしない、無理のない程度に。
「シャル、無理はしていないかい?」
「お兄様、大丈夫よ」
「これだけ魔力石を作ったのなら、今日はもういいんじゃないかな?」
魔力石の製作は大変なので、ちょっとヘロヘロになっていたところでお兄様からストップがかかる。
「無理はしないって約束だよね?」
「ええ、そうよね」
有無を言わせないお兄様の表情に頷く。
とはいえ今日もたくさんの魔力石を作れたので、貯蔵は充分だろう。
「さあ、シャル。たくさん頑張ったんだからゆっくり休もう」
「もう、お兄様ったらすぐにわたくしを甘やかすんだから」
お兄様に連れられて甘ーいお茶とマカロンを出される。
「疲れた身体には甘いものだよ。さあ、お食べ」
「いただきます」
お言葉に甘えてマカロンを食べる。
甘くて、でもバタークリームがしつこくなくて美味しい。
「色々な味があって美味しいわ」
「ふふ、そうだろう?シャルが一番好きなのはキャラメル味かな?」
「まあ!さすがはお兄様、わかってしまうのね」
「可愛い妹のことだもの、わかるよ」
お兄様はこうして最近いつも、聖女として頑張るわたくしを甘やかしてくれる。
そんなお兄様につい甘えてしまうのは聖女として頑張っているからということで、許してほしい。




