幼馴染の気持ち
私はクラリス。人からは男装の麗人と言われる。今は王家直属の騎士団に所属している。
そんな私には、幼い頃から愛する女性がいる。幼馴染のシャルだ。
シャルは幼い頃から純真で、男装趣味の私のことも否定しないでいてくれた。
女の身でありながら騎士になった私のことも、認めて応援してくれた。
けれどシャルは王太子殿下の婚約者。だから私は諦めていた。
けれど王太子殿下はエマとかいう女の魅了の呪いによって、シャルを冷遇して婚約破棄まで突きつけた。
魅了の呪いに侵された被害者だといえばそうだが、それまでも王太子殿下は彼に恋するシャルを大切にしている様子はなかった。
だから私は、王太子殿下の魅了の呪いを解くために幼くなったシャルに会いに行った。
シャルは精神的にも幼くなっていて、普段よりさらに素直になっていた。
だから王太子殿下を諦めたらどうか、自分ならもっと大切にできるとアピールしたが玉砕した。
けれど、その後も幼くなったシャルを愛でることは許された。
『シャル、髪を触ってもいい？色々な髪型のシャルを見たいんだ』
『ふふ、よろしくてよ！』
楽しそうに笑いながら、私に髪を触らせてくれて色々な髪型を試すシャル。
『ねえ、わたくし意外と縦ロールが似合うわね』
『似合うね。さすがシャル』
『ふふ、クラリスは本当に手先が器用ね』
『まあね』
シャルの可愛らしさを堪能する。
シャルは元がいいから、そして幼くなっているのもあってどんな髪型を試しても可愛らしい。
『でも、やっぱりいつもの髪型が一番似合うかな？』
『ふふ、そう？なら良かったわ！』
『ああ、どうせなら子供用のドレスとかもプレゼントに持ってくれば良かったかな』
『もう、すぐに元の姿に戻るんだからもったいないわ！』
『すぐ元に戻るからこそ、今を大切にしなくちゃ』
『クラリスったら！』
クスクス笑うシャルも可愛い。
けれどシャルが王太子殿下をこれからも愛していくというのなら、私もそろそろ諦めをつけないとだな。
