クールビューティな彼女の内面
わたくしの婚約者には、可愛い妹がいる。
わたくしはあまり素直な方ではない。
一方で婚約者…ジズの妹はとても素直で可愛らしい。
ジズのシスコンは有名だから、勝ち目はないと思っていた。
せっかく素敵な方と婚約できたと思ったけれど、あまり良い仲にはなれないかもと。
けれど、そんなことはなかった。
『ほら、ご挨拶なさい』
『あ、アデールです。よろしくお願いします』
『アデール!こんな可愛い子が俺の婚約者だなんて、嬉しいなぁ』
『えっ』
『アデール、俺はシルヴェストル!ジズでいいよ。これからよろしくね!』
ジズはわたくしにそう言って、わたくしの手を取った。
その後もわたくしを事あるごとに可愛い可愛いと褒めてくれて、わたくしが素直になれない時も「そんなアデールも可愛いね」と微笑む。
わたくしはいつのまにか、ジズに惚れ込んでしまった。
ジズもわたくしを愛してくれて、相思相愛だと有名になってしまったほどだ。
そしてジズの妹…シャルも、わたくしに懐いてくれた。
『初めまして、わたくしはシャルロットと申します。お義姉様とお呼びしてもよろしいでしょうか』
『ええ、わたくしはアデールと申します。好きに呼んでください。よろしくお願いします』
『ありがとうございます、お義姉様!わたくしのことはシャルとお呼びくださいね。わたくしには敬語は要りませんわ』
『そうですか』
『こんなに美しい方が将来の姉だなんて、わたくしは幸せ者ですわ!』
そう言って微笑むシャルに、これはジズがシスコンと言われるようになったのも無理はないと思った。
いつからかわたくしもジズと同じようにシャルを甘やかすようになり、シャルはそんなわたくしを受け入れてくれた。
『…シャルが縮んだ?』
国を離れて留学生として色々なことを遠くの国で学んでいたわたくしの耳に、そんな話が飛び込んできたのはシャルが幼児化してしばらくしてからのこと。
わたくしは急いで祖国に帰ってシャルの様子を見に行った。
そしてしばらくはシャルと会うため祖国に留まり、また留学先へ向かうことになった。
次にシャルに会えたのは、シャルが聖女に選ばれてから。
幼いシャルも可愛くて仕方がなかったものの、今のシャルも十分に可愛い。
幼いシャルともうちょっと戯れていたかったものの、留学先で学ぶべきこともまだまだ多いので仕方がなかった。
久しぶりに会えた大人のシャルも、変わらずわたくしに懐いてくれる。
が、そこでジズに可愛い可愛いとまた褒められて照れるところをシャルに見られてしまって恥ずかしかった。