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押し通した反動はデカイ……

この世界では最強クラスの能力「神降ろし」を与えてもらった俺は、異世界なんか怖くないとばかりにウキウキとステータスを確認して愕然とした……。


【ただしマッチョに限る】


この文言を見て凍りついた。


そう、俺は元の世界のどんな神様も召喚できる能力があるのだが、何故か「マッチョに限る」という制限がつけられている。


何で?!

何でマッチョしかダメなの?!


何で可愛いor美しい女神様を召喚しまくってうはうはできない訳?!

何でマッチョ限定?!


せめて動物系はOKとかなら!!

もふもふを堪能する事なんかができただろう。


しかし悲しいかな、マッチョ限定……。


「もうヤダ……泣きたい……。」


しかもはじめに依代となる義精霊マッチョを呼び出し、人々の活力と熱気を取り込んで降ろすという二段階方式……。


俺の能力はこの世界ではかなり最強に近い。

だが制限が厳しすぎる……。


マッチョって何?!


しかも二段方式って何で?!

スッと降ろさせてよ!!


何が悲しくてマッチョを称え、マッチョ崇拝せねばならんの?!

しかもまわりの人達から筋肉を賞賛させまくる事で神格化のエネルギーが貯まるって何なの?!

確かにここの人達って今の所凄く素直な人ばかりだから、召喚した義精霊マッチョに感動して賞賛してくれるけどさ?!

この先そんな人達ばかりじゃないだろうし!!

そもそも俺が一人だった場合!召喚しても神様降ろせないかもしれないんだよ?!


というか……。


この耐え難い羞恥心……。

何故こんな苦行をせねばならないの?!


筋肉は裏切らないとか叫んで……。

もう消えてしまいたい……。


恥ずかしくて死にそうだ……。


先程のトチ狂った行動を思い返し、これでもかというほど赤面した顔を両手で覆う。

何とか正気に返らずやり遂げたが、やり遂げたらやり遂げたでダメージが大きい……。


「もうヤダ……こんな能力、いらない……。」


反動で酷く落ち込み、プルプル震える。

こんな辱めを受ける能力なら、自分の身を守れる程度の能力で良かったのに!!


俺が羞恥心に震えている中、わ~!!と歓声が上がる。

どうやら仁王様達が魑魅魍魎退治をし終えたようだ。


仁王様達は柵の向こうの町の人々に少しだけ近づくと、仏の微笑みでグッと力強く頷いた。

そして決めポーズとばかりにポーズを決めるとキラキラした光になり天に上って行った。


「筋肉は裏切らない……っ!!」


それを見上げていた町の人々。

誰かがボソリと呟いた。

すると皆が興奮冷めやらぬ様子でその言葉を繰り返しだす。


「……なんか、ここも筋肉教に染まりそうだな……。」


いつの間にか側に来ていたハックが興味なさそうに呟いた。

俺は喜び合う町の人達を半泣きで見つめがっくりと肩を落としたのだった。

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