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四つ子たちの入学

私は羅野(らの)いおり。よくいる普通の高校一年生……と言いたいところだが。


「いおり〜今日ってほんまに教科書とかいらんよな?カバンになんも入れてないねんけど!」


ちづるが見事に空っぽの鞄を誇らしげに見せてくる。


「いおちゃん、あの猫めっちゃ大きくない?飼い猫なんかなあって…あ、どっか行っちゃった」


ふらふらと猫を追いかけようとするしぐれの腕を引っ張る。


「いい天気でよかったなあ」

そんな二人を横目に、のんびり空を見上げるまひろ。


……うん、普通ではない。


「あんた達、ちょっと待って!入学式は私らも行くんやから」


「娘達の晴れ姿、ちゃんと写真に収めるからな」


後ろから母と父の声。高校に向かうだけでもこんなに騒がしいのだから先が思いやられる。


なぜなら私たちは――


「ほな行こ!うちら羅野家四つ子姉妹、記念すべき初登校や!」


……頼むから目立たないでくれないか。



昇降口に張り出されたクラス表。

私はAクラスに自分の名前を見つけて、そっとその場を離れた。


「あった!!!!うちBや!」


「しぐはCクラスやった!うれC〜、なんちゃって」


「わたしはDやった!やっぱみんなバラバラやんな」


ぼんやりと妹達を見ているとふと会話が耳に入った。


「そういえば新入生に四つ子がいるって噂だよ」

「え、四つ子?双子じゃなくて?」


上級生らしき二人がこちらをちらちらと見ている。


……来た。

私達四つ子が避けては通れない道だ。


「てかあの子達じゃない?すっごい似てる!」


「本当だ!でも男の子って聞いたんだけどな」


「じゃあ四つ子ブーム?」


なぜそうなる。ただでさえ珍しいのにもうひと組いてたまるか。……というか目立ちたくない。


案内通りに教室へ向かい、黒板の座席表を確認し、自分の席に腰を下ろす。

やっと静かになった。……いやそんな訳がない。


「いおりの席めっちゃ後ろやん!うちなんて1番前の席やねんけど!!」


来た、うるさいのが。


「いおりお願い、席交換して!」


本当にばかすぎる。


「いお姉とちづ姉じゃ性格が違いすぎるやろ」


……まひろ、そういう問題でもない。


「しぐは座席表見ずに座ったら違うよって言われちゃった」


何してんねん。


本当に騒がしい。まだ一声も交わしていないクラスメイトの視線が痛い。


「あれ?つくつく、Bクラスじゃなかった?」


「ん?あー……本当だ。かなめごめん」


隣の席で何か手違いがあったようだ。つくつくと呼ばれた男子は突っ伏していた頭をゆっくりと上げてのそのそと教室の外へ出ていく。


ちらりとしか顔は見えなかったが、声をかけた男子に似ている気がした。もしかしたら双子なのかもしれない。なにせ四つ子がいるのだ。双子くらいいてもおかしくない。


三人にも教室へ戻るよう声をかけ、やっと静かになる。帰宅したら、勝手に来ないよう言っておかないとな。


「ねえねえ!君達めちゃくちゃ顔似てるよね?」


さっき「かなめ」と呼ばれていた男子が今度はこちらに話しかけてきたので、四つ子だと答える。いつもの流れだ。


「やっぱり!そっか君達か!あ、てかごめんね。おれは真野かなめ!よろしくね」


すでに制服を着崩している見た目に反して、意外と礼儀正しいらしい。


「実はさ、おれ達もさ--」


チャイムが鳴り、担任と思わしき教員が入ってくる。だがこの男が言った言葉は聞き取れている。


「四つ子なんだよね。」


……四つ子がいるのだから四つ子がもうひと組くらいいてもおかしくない……のだろうか。


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