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プチ打ち上げ??

 文化祭は大成功と言える出来で無事二日間を終えることができた。明日から二日間は体育祭である。改めて、少しハードなのではと思えてしまうスケジュールだが、それでもちづるは楽しみという気持ちが勝っていた。

 また明日、そう言って四人ずつが校門前で別れると、それぞれの帰路につく。帰宅するとあきらとさくらが玄関まで出迎えてくれる。


「お腹空いたー!今日のご飯なにー?」


 四人は自室で鞄を下ろし、上着とブレザーをハンガーにかけてリビングに向かう。何やら机にはホットプレートがあり、隣にはキャベツ、粉を溶かして作られた生地、海鮮等が入ったボウルが並んでいる。


「もしかしてお好み焼き!?」


 お腹が空いて仕方ないのであろう、まひろは早速席につき、並んだ食材たちを見て目を輝かせている。しかし、へらを持って調理を行う準備万端のあきらによるとお好み焼きではないらしい。ちづるも当然、お好み焼きだと思っていた。


「え、お好み焼きじゃないん!?」


 いおりとしぐれもそう思っていたようで、四人の声が重なった。がはは、とさくらが声を上げて笑い、今日はもんじゃ焼きやでと教えてくれる。もんじゃ焼き。店でほんの数回、食べたことがあるかどうかくらいの記憶しかない上に、家では食べたことがなかった。なぜ急にもんじゃ焼きをしようと思ったのだろうか。

 ちづるの心の中で浮かんだ疑問は、他の三人もやはり同じように感じたらしい。いおりの


「でも何でもんじゃ焼き?」


 と言う問いかけにうんうんと素早く首を縦に振るしぐれと静かに頷くまひろの様子から見て取れた。


「ほんまはお好み焼きにしよう思てたんやけどな、そうまくんとえまちゃんからもんじゃ焼きも美味しいよって教えてもろてな」


「確かにあんまり食べたことないなと思ってやってみよかってことになってん。善は急げって言うやろ」


 楽しそうな両親に急ぎすぎやろと言ういおりだったが、普段あまり食べることのなかったもんじゃ焼きに少しわくわくしているのか、それ以上は言葉を続けなかった。しぐれも、もんじゃもんじゃともんじゃの小さなヘラを両手に持って上下に振っている。もちろん、まひろは誰よりも良い笑顔を浮かべ、待ち遠しそうにプレートを見つめている。

 もんじゃを焼くあきらがさくらに何か頼み事をすると、さくらがテレビの方へ向かい、リモコンを操作する。何やら画像が映る。そしてそれはもちろん、あきらがカメラで撮影していた、本日のらま鉢の有志発表のステージだった。


「もう早速見る気やん」


 相変わらずの親バカぶりだ。いおりがため息をつく。両親としぐれは観客のような歓声を上げて盛り上がっている。まひろも文化祭の有志発表に出るという念願叶ってうれしそうだ。そんな様子を眺めて面白く感じたちづるも、合いの手を入れて楽しむ。


「もんじゃってこれで大丈夫?」


 気付けばもんじゃ焼きが焦げつつある。だが、あまり食べたことがないので正解が分からない。いおりがあきらに訊ねるとまずい、と慌てた様子で先程までペンライトのように振っていた両手に持つヘラでもんじゃをひっくり返す。なんとか間に合ったようだ。

 

「それにしても、前からやってたあゆりんとかなっぺも含めてみんな上手くなったやんな。もちろんしぐも!」


 もんじゃ焼きをふーふーと、息を吹いて冷ましながら食べていると、まだテレビの方を見ていたしぐれが呟く。


「ほんまに!めっちゃ練習したもんな」


 四人はここ数週間を振り返る。バイトと課題などの合間を縫って練習をしていた。もちろん、忙しく、大変だったがそれでも楽しいと思える時間だった。それからも本番のことなどを話し合っていると、いつの間にか満腹になっていた。


「まひろ、食べ終わった?」


 いおりの質問にあとちょっと、と答えるまひろ。じゃあ先にお風呂入ると言ったいおりが使い終わった食器を洗ってから浴室へ向かう。便乗してちづるが


「うちもうちもー!」


 と浴室へ向かおうとしたが速攻で却下された。別に良いやんと言ってこれでもかという程、ちづるは頬を膨らませた。






「はぁ、さっぱりした」


 心ゆくまでもんじゃを堪能していたため風呂に入る順番が最後になったまひろが部屋に戻ってきた。結局あの後はいおりが風呂からあがると、とにかく早く済ませるからと言う理由でしぐれが風呂に向かわせたので、ちづるは三番目に入ることになった。ちなみにそのちづるが風呂から出てリビングにいるまひろに知らせに来た時、まひろはまだもんじゃ焼きを食べようとしていた。これで最後、そう言って一口もんじゃ焼きを頬張ると美味しいと呟いてから食器を下げる。


「そろそろ時間やし、洗っておいてあげるから風呂入っておいで」


 いおりが言い、まひろは時間が経っていたことに今更気付いたようで、お礼を言って慌てた様子で浴室へと向かったのであった。



「じゃ、電話かけるで」


 時間になったので、いおりがのぞみの携帯電話にビデオ通話をかける。先程も動画を見ていたが、本日の文化祭は昨日よりも達成感が強く、打ち上げしたいと言う気持ちは殊更にあった。だが、さすがに明日の体育祭に向けて英気を養う必要があると考えたいおりによって提案されたのは、一時間、それぞれの家でビデオ通話をすることだった。ちなみに、自由参加のためその間にお風呂に入ったり、明日の準備、就寝等をしてもいいというルールを設定し、負担を軽く、かつ打ち上げしたい気持ちも尊重したいおりらしい提案に七人も大賛成したのであった。

 打ち上げは二十時から二十一時までの一時間で行うことになっていた。ワンコールで電話が繋がると、のぞみとかなめが手を振っている。あゆむはすでに眠りかけているつくもの頰を両手でつまみ、寝るなと左右にぶにぶに引っ張っている。


「あはは、お疲れ様ー!」


 そんな四人の様子を見てちづるが笑う。つくもは薄らぼんやりと開いた目をこすっている。あゆむによると、いつもは二十一時に寝るつくもだが、疲れていることもあって三十分後には眠りにつくだろう、とのことだった。


「じゃあとりあえず、つくもが起きている内に……。今日もお疲れ様、かんぱーい!」


 そう言って用意していたお茶の入ったコップで乾杯する八人。なんとなく笑いが起き、それが収まると今日の夕飯の話になった。ちなみに真野家の夕飯はお好み焼きだったらしい。そうちゃんとえまちゃんも善は急げタイプだったようだ。


「ご飯食べてる時に今日のステージの動画見てたんやけど、みんなめちゃくちゃ良かったし上手くなったよなって話しててん!」


「改めて、みんな練習いっぱいしてくれて、そしてステージに一緒に出てくれてほんまにありがとう!」


 本日のステージを振り返るしぐれの言葉にまひろも七人の顔を順番に見て続けた。こちらこそ、楽しかったと七人が答えるとまひろはとてもうれしそうな顔をした。そして明日の体育祭の話になると


「いよいよちづるの見せ場だな」


とあゆむが口角を上げる。文化祭と同じく二日間行われる体育祭は、一日目の明日が日曜日で客が集まりやすいこともあって、メインの出し物である、ダンスやリレーを行う。どちらも三学年縦割りチーム対抗となっており、どのチームも必死に練習を重ねてきた。また、二日目は玉入れや綱引きなど、THE運動会な内容となっており、一日目のダンスで着用した衣装や部活動のユニフォームなど自由な服装で参加して良いこととなっており、先輩の話によると、参加するのも見ているのも楽しいらしい。そして二日目の目玉である部活動対抗リレーではそれぞれの競技にちなんだものをバトンにしたり、途中で出されるお題に答えなければ先に進めない、などとかなり自由なようだ。


「ほんまに!楽しみやわ!みんなちゃんとうちの活躍見ててや!」


運動だいすき、目立つことだいすきなちづるが良い笑顔でピースしてみせるが、いおりにはいはいとかるくあしらわれた。


「ってもう二十一時やん!」


 かなり話し込んでいたようでいつの間にか約束していた一時間が過ぎようとしていた。つくもを見るとなんとか持ち堪えてはいるがかなり眠そうだ。ここら辺でお開きにしようと笑う。


「また明日、おやすみ!」


 そう言って電話を切る。つくもの眠そうな顔につられてか、ちづるも眠くなってきた。他の三人も同じようなので、早めに眠ることにして電気を消す。


「おやすみ、また明日」


 そう言ってちづるは明日もいい一日になればいいなと考える。そして寝付きのいい四人は瞬く間に眠りについた。




 

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