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ゲットあんどメイクアップ

「あ、そういえば見て見て!」


かなめがスマホの画面を見せながら言う。するとあゆむが、


「あ、まさかお前!あれ見せる気じゃねえだろーな」


 と慌てた様子でかなめに訊く。

 

「え、昨日つくつくにやってもらったメイクの写真見せようと思っただけだよ!」


 あっけらかんとかなめが言うと、


「そのまさかじゃねえか……!」


 あゆむが項垂れて言った。


「いいじゃーん!別に減るもんじゃないんだし!」


「減るだろ!確実に!体力が!」


 明るく言うかなめに、あゆむが嘆いていると、もちろん、ちづるとしぐれが


「えー、なになにー?」


「何のしゃしーん?」


 と話に入ってくる。


「ほら見ろ、騒音コンビが食いつきやがった」


 だから言ったのにと、あゆむがかなめを睨むが、かなめは気にすることなく、


「昨日ねー、父さんと母さんが四人のことを送りに出かけてる間につくつくにメイクやってもらったんだよね!」


 と笑顔で答えた。


「早速試したんやな」


いおりが言うとかなめは


「そーそー!その写真がこれ!ほら」


 そこには化粧を施した四人が並んで写っていた。


「わーわー!拡大して見てもいい!?」


「すごい!そんな隠すことない、いい出来やん、」


 ちづるがあゆむの方を見て言いかけた。だが、遠目で見ると分かりにくかったが、しぐれが写真を拡大することにより、明らかに、厚塗りと言える施しを受けたあゆむが不満げな顔で写っていた。


「な、なに?これ」


「何でこんなにほっぺたピンクにされてんの……?」


肩を震わせながらちづるとしぐれが言う。


「だから見せたくなかったのに」


 そう言って写真と同じように、不満げな顔をするあゆむ。


「でも何でこんなことになったん?のぞみくんとかなめくんは上手くメイクしてもらってるのに。あと自分も」


 いおりがつくもに訊くと、


「んー、あゆむ、練習しやすくて。つい何回もやっちゃった」


「落としてやればいいやろ、なんで重ねんの……!」


まひろがもう限界、と言うように笑い飛ばす。


「でも初めてにしては上手くない?」


「そうかな。自分にもだけど人にやるのめちゃくちゃ難しかった」


 いおりが感想を述べるとつくもが答える。


「もっと練習しないと」


 そんなつくもの言葉を聞いて、あゆむは


「オレ以外の二人も積極的に練習に使えよな。何であんなにオレばっか……!しかも練習しやすいってなんだよ」

 

 嘆き、訊ねる。


「だって、のぞみは化粧してたら微笑んだり、急に涙流し始めるし。かなめはずっと喋りかけてくるし。その点、あゆむは目瞑ってって言ったら瞑ってそのままずっと動かないでいてくれる。やりやすい」


「うわ、めちゃくちゃ想像つくわ」


「今はまだ慣れてない状態でいっぱい試したいって思ってるからやっぱりあゆむに協力してほしい」


「ちっ、わかったよ」


弟にそう言われたあゆむは渋々、これからも練習に付き合うことを承諾した。


「ありがと」


つくもが静かに微笑む。


「あ、なあなあ!つくも!うちも練習台にしてくれていいで!」


「あ、しぐもしぐもー!」


「のぞみとかなめにも上手くできるようになったらお願いする。二人はさらにその先のステージって感じだから」


「えー?ラスボス的な!?」


「あー、なるほど!激強、みたいなことか!」


 ちづるとしぐれが良い方向に解釈する。


「兄たちで慣れて上手くできるようになったら、いおりとまひろにもメイクさせてほしいかも」


 つくもがそう言うと、いおりもまひろも


「もちろん!」


 と答えた。


 いつもと違って珍しくよく喋るつくもをのぞみはにこにこと、それでいて涙を流しながらも、温かく見守っている。


「いやほんと、どういう情緒だよ……」


「あはは、のんのん、感情が大忙しだね!」


 そんな兄の様子を見てあゆむとかなめが思い思いの感想を述べた。そして、ようやくつくもも気付いたらしく


「うわ、のぞみ。何で泣いて笑ってるの」


 と訊くがのぞみは微笑み、気にしないでと答えた。

 

「のぞみくんの言いたいことは何となくわかるけど。つくもくん、珍しくよく喋ってるからほんまにメイクすきなんやなって感動してた、で合ってる?」


いおりが訊くとのぞみは


「すごい、合ってる。いおりちゃんってエスパー?」


と少し驚いた顔をして答えた。


「いや、お前のそう言うところは、ほんとにわかりやすいから」


 あゆむも続けて言った。


「でも、うちもほんまにそう思うわ。だってつくもがこんなにちゃんと起きて人と話すなんて」


「いや、おれそこまでじゃないでしょって」


「やから、そこまでやねんて」


「まじか」


「だから何で自覚してないねん。そろそろ気付いてほしい……。いつも担任の先生困らせてるし」


「いつもじゃないよ、たまに」


「困らせてる自覚はあるんかい。けど、こんなに生き生きしてるつくもの様子見せたらたぶん、いや絶対めちゃくちゃ驚くで!信じひんかも」


「大げさ」


 そんなちづるとつくものやり取りに六人もくすりと笑う。


「興味持てるものに出会えたのはよかったよな」


まひろがしみじみと、それでいて笑顔で言う。


「そういえば美容室に行ってインナーカラーを入れたことがきっかけって言ってたけど、美容師にも興味あったりする?」


 いおりがつくもに訊くと


「うん。もちろんある」


と答えた。


「やってさ、おかーさん!」


「えーなになにー?」


突然ちづるに話しかけられて何のことかわかっていないさくらが返事をした。


「え、もしかして?」


 そんな様子を見てつくもが言うと、まひろが


「うん、うちのお母さん、美容師」


 と笑顔で言った。


「まじか」


「つくもくん、メイクの練習してて、美容師にも興味あるって」


いおりがさくらに言うとさくらは嬉しそうに


「えーそうなん!?聞きたいことあったらいつでも遠慮せんと聞いてくれていいで!」


 と言った。


「ありがとうございます、心強いです」


 つくもも珍しく嬉しそうに言った。そして、案の定、のぞみはにこにこ涙を流していた。












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