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プレゼント選びその③

「アイス美味しかった!元気いっぱい!」


「のぞみくん、ほんまにありがとう!」


「どういたしまして〜!」


 うれしそうに言うしぐれとまひろにのぞみが微笑む。


「新作のきなこもちとさくらもちとずんだもちのミックスアイス美味しかった〜」


「変わったフレーバーがあるもんやな」


 満足げなかなめの選んだフレーバーに改めてちづるが感心している。


「……」


「いお姉?どうしたん?」


 なぜかアイスの空容器とスプーンを持ったまま動かないいおりに気付いたまひろが聞く。


「なんか化粧品コーナー行くの初めてやから緊張してきたかも」


「大丈夫でしょ。まあ、おれも初めてだけど」


 あっさりとつくもが言う。化粧品コーナーに着くと、つくもは手当たり次第、化粧品を見始めた。そんなつくもの隣にいおりがしゃがむ。コーナーの一片を一通り見たつくもは


「んー、いっぱい種類あるね。どれを何に使うかとかあんま良くわかんないや」


と言った。いおりは


「店員さんに聞いてみる?色だけつくもくん決めてよ」


「わかった。んー。これとか良さそう」


「このアイシャドウ?」


「全体的にブラウンっぽいけど差し色に入ってるこのワインレッドに近い色がいおり似合うと思う」


「じゃあこれをベースにして店員さんにも聞いてみようかな。ありがと、つくもくん」


「いえいえ」


「あ、すみませーん。メイク初めてなんですけど、予算五千円以内で軽く揃えてみたいのですが教えてもらうことってできますか?これは使ってみたいんですけど」


「もちろん可能ですよ。このアイシャドウお客様大変お似合いになると思います。ではご案内いたしますね」


 いおりと店員につくももついて行く。


「なるほど、これはそういうために使うやつなのか……」


 店員の化粧品への説明につくもが頷くので


「お客様もメイクにご興味がございますか?」


と店員が尋ねる。


「あ、実は」


 店員の問いかけに答えようとするいおりだったが、つくもは自ら


「最近、店員さんみたいな感じのお仕事に興味がちょっとあって。友だちの分選んでみた、んです」


「じゃあこちらはお客様が選ばれたんですね。とてもセンスがあるかと思います。お友だちの雰囲気にぴったりですし魅力をさらに引き出せるお色かなと思います」


「魅力をさらに引き出す……」


 つくもが店員の言葉を繰り返し言う。


「ええ。それがお化粧ですので。ご興味を持っていただけたこと大変うれしく思います。よければいろいろ、お教えいたしますよ」


 本当に嬉しそうな顔をして店員がつくもに言う。


「ほんと、ですか。じゃあベーシックなやつが一式ほしい、です。できれば予算五千円以内で……。あ、でもちょっとだけなら超えても大丈夫、です」


 自分の財布の中を覗いてつくもがそう言った。


「承知いたしました。ではこちらとこちら、こちらあたりがあれば基本的なことはできるかなと思います。もしお友だちやご家族等にご協力いただけるのであれば一度試させていただくのも良いかなと思います」


「それなら大丈夫です。あそこに三人ほどちょうどいいのがいるので」


「なになにー!つくつく決まったのー?ボクこれいいなって思ってみてたんだけどどうー?」


 なんだか自分たちの方を向いていたような気がすると、かなめがつくもに近づいてきた。


「こんしーらー、はいらいと、べーすめいく……?何種類あるんだ化粧品って?」


「つくもくん、どうだった?店員さんに何か聞けたの?」


 それに続いてあゆむとのぞみも近づいてくる。


「同じお顔……!」


「これでいっぱい練習します」


 三人を手で示しつつ、つくもが言う。


「練習?」


「つくつく、なんの話?」


話が全く見えていない三人は首を傾げる。そんな真野兄弟四人のやりとりにいおりが吹き出した。


「つくもー!うちはどれが似合うと思うー?」


「みてみてつっきゅん、ほらこれ、猫のやつあった!めちゃくちゃかわいくない?鳥もあるし!」


「なんかいっぱいあって目移りしちゃうなあ」


「……あとこっちもたまに」


 そう言ってつくもが三人のことも手で示した。


「こちらも、同じお顔……?」


 ちづる、しぐれ、まひろを見て店員がこれ以上ないくらい、驚いているのがわかる。しかし、当の八人は全く気にしておらず、


「今日はいろいろありがとうございました。参考にします。あと、」


「?」


 驚いたままの店員がつくもを見る。


「やっぱりお仕事かっこいいなと思いました」


「……ありがとうございます!またいつでもいらっしゃってくださいね」


 その言葉を聞いて、店員の表情はとてもうれしそうなものに変わった。


「魅力を引き出すかあ」


「いおり、どうしたの?」


 店員が先ほど言っていた言葉を反芻するかのようにつぶやくいおりにつくもが聞く。


「つくもくん、めちゃくちゃ才能ありそうって思っただけ」


「え、なんで」


「だってあの店員さん、すごくうれしそうだったよ。そういうのも大事だと思うから」


「そっか」


「うん。あたしらもいつでも練習付き合うから。な、あんたら」


「?よくわかんないけど、うん!」


 突然のいおりの呼びかけにしぐれが答えた。


「うん、ありがと」


 つくもがお礼を言う。


「さて、あとは交換用のプレゼント買うだけやな!」


「そろそろこんな時間やし早めに決めちゃお」


「じゃあ制限時間三十分でバス乗り場前の入り口のところに集合ってことで!」


「制限時間かー!いいな!やったるで!」


「対決ちゃうねんから。何燃えてんねん」


「もし買うお店が被ったりしてもお互いに干渉しないようにしよう!とにかく中身は開けてからのお楽しみってことで!」


 かなめが言う。


「わかった!」


「じゃあ一旦解散!!」


 ちづるの号令とともに、八人が別方向に向かった。




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