プレゼント選びその②
次は家電量販店だね。じゃあボクはチェキ選んでるからさ、あゆあゆまだ何がいいか決まってないでしょ?ぐるって店の中見てきなよ!」
かなめがカメラ関連のコーナーを指さしながら言った。
「ああ」
あゆむが返事をすると
「しぐも連いてったげる!」
「うちもー!」
と、店頭に大きな声が響く。
「なんでよりによってお前ら騒音コンビなんだよ……。ろくなもん選ばねえだろ」
二人を見て嘆くあゆむに
「これとかいいかなって思ったのに」
しぐれが謎の物体を持って来て言う。
「んだそれ、どっから見つけてきたんだ?戻してこいよ……」
そんなしぐれにあゆむがため息をつきながら言うが、
「はーい。あ、ちづる!これとかどうかなー?」
「めっちゃいいやん!あ、でも見てこれ!」
「何それ超いい!」
「やろやろ!」
と、勝手に二人が盛り上がるので
「あーもう全部却下!静かに見させてくれ頼むから……!あ、そうだお前らかなめのとこ行って来いよ」
とさらっと弟に押し付けようとする。だが
「何しれっと追いやろうとしてんねんそうはいかんからな!」
とちづるに言われてしまった。
「ちっ、あっそ……!あっ」
あゆむはちづるに軽く苛立ちつつも何かを見つける。
「どうしたん?あゆりん」
そんなあゆむの様子を見てしぐれが聞いた。
「……これいいなと思って」
「なになに?」
「自宅で簡単!フォンデュメーカー?」
あゆむが二人に見せたのはチョコレートや、チーズフォンデュが自宅でもできる家庭用機器だった。
「ああ。なんかご飯用意するの忙しい時でもこれがあれば食材切るだけで勝手にあいつら楽しんで食ってくれそうで楽かなって。それに……」
「それに……?」
次に言葉を続けるか、少しためらっているかのようなあゆむに二人が声を揃えて聞く。
「……それにお前らこれからもたまにうち来たりするだろ。母さんだけでもあんなに喜んでたし。だからこういうのあったら楽しめそうだなって思ったんだよ」
意を決したように理由を二人に言う。すると
「あ、あゆり〜ん!」
「あゆむ、お前ってやつは、お前ってやつはー!」
としぐれとちづるはうれしそうに言った。
「な、なんだよ。そしてなんでのぞみはそこでちょっと泣いてんだよ。不審者みたいになってんだけど」
なぜか混ざっては来ないで、コーナーの端の方でこちらの様子を見ていたのぞみなら気づいたあゆむが言及した。
「泣いてないよ。でもあゆむくんがすごくいい子だから、勝手に涙が……!」
そう言って、のぞみが目元を拭う動作をする。
「だから泣いてんだってそれは!ああもう、とにかくオレはこれにすっから!かなめはもう決まったのか?」
そんな兄につっこみつつ、かなめの様子を聞く。
「ううん、あれ」
しかし、そう言ってのぞみが向いた先を見ると、なぜかチェキのコーナーではなく、隣にある本格的なカメラを吟味しているかなめがいた。
「あいつ、チェキほしがってたよな?なんか、普通のカメラ見てねえか?」
「そう。チェキコーナーの手前にカメラがあるの見つけてずっとあの状態。チェキまだ見つけてすらないと思う」
のぞみが微笑みながら言った。
「なんでだよ…さすがにあんな本格的なカメラは買えねえって。あいつもカメラのことになると周り見えなくなるんだからさっさと選ばせるぞ」
「了解」
のぞみがあゆむの言葉を受けて、かなめの所に行こうとしたその時だった。
「かなめ、これとかどう?」
「あ、さすがのつくもくんもしびれを切らしてか、自分から動いてかなめくんに働きかけてる。」
「つくもが動くて、それよっぽどやな……!」
カメラコーナーから動く様子のない兄を見かねたのか、つくもがチェキをかなめに見せていた。
「おー!つくつく!チェキじゃん!見つけてきてくれたんだ!どこにあったの?」
当のかなめは少し驚いた様子を見せたあと、つくもに聞いた。
「ここ」
そう言ってつくもがすぐ隣のコーナーを指さす。
「本当だ!全然気づかなったよ!」
「うそやろ、どんだけカメラに夢中やってん……」
そんなかなめにちづるが口をあんぐりと開けた。
「あ、あゆむくん、いいのあったん?」
そこへ、トイレに行っていたらしいいおりとまひろも合流した。
「ああ」
いおりの質問にあゆむが答える。
「あんなあんなー!」
「あゆむがこれ選んだ理由ってのがー!」
「おい騒音コンビ!お前らもうしゃべんなほんとお願いだから!」
あっさり答えたあゆむの代わりに何を選んだか話そうとするしぐれとちづるにあゆむが頼み込む。
「ええ、だってー!」
「だってじゃねえの!ごねんな!」
「あんたらあんまあゆむくんのこと困らせたらあかんで?大人しくしとき」
いおりが妹二人を嗜めた。
「ちぇー」
「へいへーいっと」
しぐれとちづるも渋々、言うことを聞いて大人しくなる。
「チェキも結構種類あるんやな。こっちのやつキャラクターとコラボしててかわいい!」
そんな姉たちの様子は気にせず、まひろがチェキを手に取る。
「ねー!ボクはこれにしよっかな!このピンクのやつ!」
かなめが言うと、後ろからしぐれも
「いいやん!オシャレやしかなっぺに似合うー!」
と言った。
「しぐっちありがと!じゃあこれで決まりっと!」
そう言ったかなめとあゆむの選んだ品物の会計を済ませて店の前で八人が集まる。
「まだなのは化粧品の二人かな?」
全員を見回し、かなめが聞く。
「うん」
とつくもが答えた。
つくもの返事に続いて頷こうとしたいおりに
「いおりちゃんも化粧品でいい?」
とのぞみがこっそり聞く。
「え、うん。なんで?」
「つくもくんのこと聞いてから思いついたっぽかったから。でももし今お店見て気が変わってても言いにくいかなって思ってさ」
「……それは大丈夫。お気遣いありがとう」
「どういたしまして。じゃあみんな、化粧品見に行く前にちょっと休憩しよっか。ずっと歩いてたし荷物が重い人もいるでしょ。一番小さいサイズのアイスでよければお兄ちゃんが奢ってあげよう」
のぞみはいおりに微笑んだあと、みんなに言う。
「え、いいの、のんのん!?やったー!」
「確かにちょっと疲れたな」
「わーい、行こ行こー!」
アイスと聞いてテンションの上がるかなめに続き、他のメンバーものぞみの提案に快諾した。
「……意外とのぞみくんって気遣いとかしたりするんやな」
いおりがぼそっと呟いたのをのぞみは聞き逃さず、
「これでも一応、長男だからね」
と、にこにこして答えた。
「ただのぼーっとした超絶ブラコンのんびり屋さんかと思っててごめんな」
いおりがそう言うと
「……いおりちゃんって何気にひどいよね」
のぞみが面白そうに笑った。
「のぞぴよー!いお姉ー!早く行くでー!」
「はーい、行こいおりちゃん」
「うん」
六人に少し遅れた長子の二人も後に続いた。




