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早く言ってよ!/いざ、作戦会議!

「そういえば四人はどこ行ったん?」


 すっかり真野母と話し込み、盛り上がっていたため、思い出したかのようにしぐれが聞いた。


「ほんとね、あの子たち全然こっち来ないわね。ちょっとー!みんな何してるの?」


 真野母が声をかけるとガチャ、とドアが開いた。


「いや、さ、のぞみの部屋どうなってんのかなと思って久しぶりに見たら想像以上にひどかったからちょっと片付け手伝ってた」


 そう言ってあゆむが心底疲れた顔をして出てくる。


「よくかなめもあそこで生活できてたよね」


 つくもが呆れ気味に言った。


「慣れちゃってたよね。でもあゆあゆとつくつくの部屋を見て我に返ったよね」


「もうなんで今そんなことしてるのよ。のぞみくんは?」


「のぞみ、全然片付けようとしないから。片付けないなら口聞かないって言ったら真剣にやり始めた。声かけても返事しなくなったから、しばらく出てこないと思う」


 つくもが答えた。


「ああ、のぞみくんってばほんとに。ごめんね。せっかく来てくれてるのに」


 真野母が言うが


「けど母さんとみんなも結構盛り上がってたでしょー?笑い声聞こえてた!何の話してたのー?」


とかなめが聞く。


「あ、自己紹介してたんやけど、真野くんのお母さんがめちゃくちゃ話振ってくださって……!」


「すごいしぐたちこと知ってくれてた!」


「だってうちの子たちから、あなたたち四人のこと、よく聞いていて、会う前から覚えちゃってたのよ。だから会えて本当にうれしいわ」


 真野母がそう言うと、


「待って、そんなにうちらのこと話してるん?」


とちづるが聞く。


「いや、まあ普通に」


 あゆむが目を逸らして答える。


「へぇ?」


 そんなあゆむにしぐれが面白そうに言うと


「ちっ」


とあゆむは顔を背けた。


「こら、かなめくん舌打ちしないの」

 

 そんなあゆむを真野母が注意する。


「あはは、あゆりん怒られた〜!あ、そういえば!お母さんのことなんて呼んだらいいですかー?お母さん若くてきれいやからおばちゃんとは呼べへんし!」


 しぐれがそう言うと


「まあうれしい。じゃあ名前がえまだからえまちゃんって呼んでもらっちゃおうかしら?」


 ウキウキとした様子でえまがそう答えると


「母さん……」


とつくもが呟いた。


「ちゃん付けで呼んじゃっていいんですか?」


 いおりが聞く。


「ええ、もちろん。なんだか親近感があっていいじゃない?」

 

 そんないおりにえまが微笑んで答えた。


「じゃあえまちゃん!えまってかわいい名前!」


 早速しぐれが呼んでみせる。


「ありがとう!しぐちゃんだってかわいいし、みんなもかわいいお名前でよく似合ってるわ」


「ありがとうえまちゃん!」


 ちづるも元気よく言うので


「えまちゃんの定着はええな」


とぼそっとあゆむが言う。


「私たちもそうだったけど、一気に四人の名前をつけることってなかなかないからきっといっぱい考えてつけてるだろうし」


「確かに。そうかも」


「そう言われるとなんか自分の名前いいかもって思えてきたわ!」


「ふふ。よかった。そういえば四人は誕生日いつなの?」


「明日だよ!」


「え、明日!?」


 えま、あゆむ、かなめ、つくもが声を揃えて言う。


「なんで言ってくれなかったの!?」


 と、かなめが口を尖らせて言う。


「え、だって……聞かれへんかったから?」


「自分の誕生日あんま自分から言わんやろ」


「そうだけどー!でもちづるんは言いそうなのにー!」


「だからうちのイメージとは」


「とりあえず明日なんだな?」


「う、うん」


「母さん、昼ごはん食べたら出かけてきていいー?」 


「いいわよ」


「のぞみにも声かけて」


「え、なになになに」


「もちろんプレゼント買いに行くんだよ!」 


「いいって、そんなん。うちらだってなんもしてないし。てか四人は誕生日いつ?」


「七月七日」


「ほらー、終わってるやん」


「だってその時はボクたちまだ出会ってないじゃん?」


「そーやけど!あたしらだけなんかしてもらうのは悪いし」


「あ!じゃあさ!一人一人に七人がプレゼントするのはどう?一人あたり七百円くらいの予算でも七人いたら五千円くらいになるから結構いいの買えそう。せっかくバイトも始めたし」


「それいいな!あとプレゼント交換もしたい!」


「結局ノリノリじゃん」


 そんなしぐれとちづるの様子を見てつくもがぼそっと言うと


「うちらだけもらうんじゃなくてあんたらにも買うからいいの!」

 

 とちづるが答えた。


「はいはい」


「じゃあそうと決まればのんのんにも事情話してこよー!まあ、いいねって言うとは思うけど!」


「てかあいつそろそろこっち来させよーぜ。いつまでやってんだよ。つくも、お前があいつに強く言い過ぎたんだからお前から言えよな」


「えー。けどまあしょうがないか。わかった」


 そうやって三人がのぞみのところへドタバタと向かう。そんな息子たちの様子を見てえまが


「あなたたちいつもこんな感じなの?」


といおりたち四人に聞く。


「あーまあ大体そう、ですかね」


「あの子たちとても楽しそう。あなたたちと本当に気が合うのね。なんだかうれしいわ」


「わたしたちもめちゃくちゃ楽しいです」


「そーそー!のぞぴよ、あゆりん、かなっぺ、つっきゅん!転校先に四人がいてくれてよかった!しぐたち超ラッキー!」


「毎回思うけどこんな偶然もなかなかないよな」


「ないない。あ、おかえりー!のぞみ部屋片付いたん?」


「えっと、ある程度は?」


「普段からちゃんとやれよな。お前の部屋、とにかく本が多すぎんだよ」


「のぞみくん本すきやもんな。本で散らかってるんか」


「でもそんなに散らかるほどあるってことは結構お金かかっちゃったりしーひん?結構スペースも取るやろ?」 


「基本的に図書館で借りてるからそうでもないかな。けど、その中から、月に一冊、面白かった本を買うようにしてるんだよね。」


「へえー!なんかそれいいな!」


「ふふ、ありがとう。中学生の時から続けてて、ジャンルや本の形態もバラバラなんだけど、メモ挟むようにしてたりもするから、ふと見た時に当時の心境とか状況を思い出せたりするんだよね」


「えー、めちゃくちゃ素敵やわ。後で見に行ってもいい?」


「まだ足の踏み場は確保しきれてないけどそれでもよければ」


「そ、そんなに?じゃあ汚してもあかんしちらっと覗かせてもらうだけにしとこかな」


「ふふふ、わかった。それで三人に聞いたけど明日が誕生日なんだってね。みんなでプレゼント買いに行くって」


「そーやねん!のぞぴよも大丈夫そう?」


「もちろん。楽しみだよ」


「よかった!」


「母さん昼ごはんオレ作るけど」


「あーもうそんな時間か。そろそろ作らなきゃ。ありがとうあゆむくん。でもみんなせっかく来てるんだからあゆむくんもお喋りしてていいのよ」


「ん、わかった。ありがと」


「あゆりんって料理上手なんでしょー?家事もよくやるみたいだし!あ、そうや!見て見て、えまちゃん、これあゆりんが作ってくれたマスコット!」


「あら、あゆむくん何かやってたと思えばマスコット作ってたのね。さすが、とてもかわいい出来ね。そうなの、あゆむくん料理も上手なのよー」


「でも、えまちゃんのご飯も美味しそう!だって四人のお弁当めちゃくちゃ美味しそうやもん!」


「あらうれしいわ。よりをかけて作るわね。さ、あゆむくんもみんなもプレゼントの相談とかしてていいわよ」


「あ、じゃあ、お言葉に甘えて」


 えまの言葉にいおりが答える。


「それで、七人から渡す方は予算七百円だっけ。七人だから五千円くらいのプレゼントになるね。交換する方の予算は決めてるの?」


「うーん、千円くらい?」


「プレゼントはどうやって探す?七人から個人に渡す方は本人がほしいもの決めた方が探しやすいしもらってもうれしいかもね」


「確かに!ある程度決めておいた方がいいかもな!プレゼント交換用の方は完全にシークレットにしてしまえばお楽しみ感も確保できるし!」


「いいな!なんかもうすでに楽しいわ」


「わかる!ボクもめちゃくちゃ楽しい!」


「何が欲しいかまず紙に書いて〜、どう回るかある程度決めておかへんと日が暮れるかも」


「確かに八人分だからな」


「じゃあ紙とペン持ってくるよ」


「ありがとうのぞぴよ!」


「ふふ、にぎやかねえ」

 

 えまがご飯を作りながら八人のやりとりを聞いて微笑む。


「みんなほしいものあるん!?うちランニング用のシューズが欲しかってん!」


「んー、オレはすぐには思い付かねえけど家電量販店見たら何かほしいのあると思う」


「しぐはーおうちにいる鳥ちゃんへのおもちゃがいいかなあー」


「それ鳥へのプレゼントみたいにならねえか?」


「楽しんでるケチャップちゃんとしょうゆちゃんを見れるのがうれしいからいいねん!」


「まあしぐがいいならいいけど。って、それ名前か?」


「うん!他にもハムスターのしおちゃんとこしょうちゃんと熱帯魚のはちみつちゃん、ジャムちゃん、上白糖ちゃん、グラニュー糖ちゃん、粉糖ちゃん、和三盆ちゃんがいて……」


「待て待て待て、多すぎだろ!」


「……なんだかその水槽とっても甘そうだね」


「のんのん、つっこむとこそこなの?かなり多いけどみんなでお世話してるの?」


「んーん!しぐがやってる!」


「え、そーなの?」


 しぐれの言葉にかなめが目を丸くする。


「しぐがほしいって言っただけでみんなは何も言ってないもん!」


「しぐれはお世話してるからいつも早起きやねんなあ」


「そういえばこの前五時に起こそうとしてまひろちゃんに怒られたって言ってたっけ」


「え、ちょっとなんで知ってるん?しぐ姉?」


「あ、ごめん言っちゃまずかったよね」


 言ってからのぞみがしまったという顔をする。


「しぐ姉、あとでちょっと話そっか」


「あは、あはは……」


「しぐれ、今までありがとう」


「短い間だったけど楽しかったよ」


「しぐのこと、忘れねぇから」


「ちょっとー!面白がってるやろ!」


「まあまあ、まひろも落ち着いて。まひろは何にするん?プレゼント」


「あ、バイトしてる時に思ってたんやけど、ウクレレがほしいかも」


「ウクレレ?」


「そう!始めてみたくなっちゃって!」


「いいねえ!ってドラムも始めたばっかって言ってなかった?」


「うん!楽しい!楽器っていっぱいあるしどれも楽しいねんなあ」


「新しいこと始めると覚えるの大変かなって思ったんだけど、幸せそうだからまあいっか」


「のぞみはなんかほしいのあんのか?」


「実はあそこのショッピングモールで物産展がやってるらしいんだけど」


「あーもう想像ついたわ」


「そこですきなスイーツ選びたいかな」


「それもおもしろそー!いいな!じゃあかなめは?」


「ボクはチェキかなー!」


「チェキ?大事な相棒ってこの前言ってたカメラらじゃダメなん?」


「いや、チェキもほしかったんだよねー!それこそさっきの、のんのんの話聞いて思ったんだけどラマ鉢で遊んだ時に毎回ベストショットを一枚撮ってアルバムにするのもアリかなって!チェキも味あってなんかいいでしょ?」


「ひえ、かなっぺ、もしや天才?」


「でしょー!あゆあゆも家電量販店で探すみたいだしちょうどいいしね」


「いおりは?工具?」


「うーん、工具もうれしいけど、わりと今持ってるので十分やしな……。けどなにがほしいか思い浮かばんかも。つくもくんは思い付いた?」


「うーん、おれも特に……」


「この二人、物欲ないな」


 しぐれが二人の様子を見て言う。しかし、少ししてから


「あっ」


とつくもが発した。


「なんか思い付いたん?」


「メイク……セット?」


「メイク……セット?」


 意外なつくもの言葉をちづるがそのまま聞き返した。


「うん。夏休みにかなめとあゆむが通ってる美容室でおれもちょっとの間だけインナーカラー入れてたんだけど」


「そうやったんや」 


「似合ってたよ。普段もすればいいのに」


 すかさず言うのぞみの言葉を無視してつくもが続ける。


「それで、カラーしてもらうのをぼーっと見てたんだけど、なんかいいなって思ったんだよね」


「えーっと、美容師が……ってこと?」


「うん。色とかデザインとか考えるのすきだから。それでこの前ちょっと調べてた時にメイクアップアーティストって職業も見つけてちょっと興味持ったってだけなんだけど」


「な、なるほど?」


「な、なんか」


「ん?うん」

 

 つくもが七人の反応を不思議そうにして続く言葉を待つ。


「しっかりしてる〜!え、あんた、今ほんまにつくもか?誰かと中身入れ替わったりしてない?」


「それ、どうやってやんのさ」


「あまりにもつくもらしくなかったからつい……!」


「失礼じゃない?」


「いや、あんたのうちに対する言動もいつも失礼やで?気付いてないかもやから言ってあげるけど!」


「ふわぁ、そーなんだ」 


「あくびすなぁ!」


「……」


「わかるよ、あゆあゆ。まさかつくつくがそんなこと考えてたなんてねー。なんかびっくりしちゃった。ってのんのん泣かないの」


「泣いてないよ。あまりの弟の素晴らしさに涙が出てきただけ」


「泣いてんじゃねえか」


「じゃあ化粧品コーナー見に行ってみよっか!」


「あ、じゃあさ、あたしのプレゼント枠も化粧品にしてもらってもいい?」


「いおりんも興味出てきた感じー?」


「練習台…ってわけじゃないけどつくもくん職業として考えてるなら誰かに試してみるのもいいのかなって思って。つくもくんセンスいいからよければ似合いそうなの選んでほしい」


「わかった」


 そう言ういおりにつくもは承諾した。

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