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世界観は出来上がってんですけど、方針を立てずに書いたので 展開は やばいと思います。
昔から 不運なところがよくある。
今日は その様な日であった。
自転車がパンク
それが原因でバイトに遅刻をし、
挙句の果てには クビを切られた。
失敗は多いほうであったが まさかクビになるとは思わなかった。
落ち込みながら パンクした自転車とともに家へ帰る。頭の中では ネガティブな思考しか回ってこない。
僕 祇園響は 俗に言うメンヘラである。自分の不出来さというより、自分の存在自体を恨むことが多かった。
クビを切られたことで本日は昼帰りである。家に帰ってもやる事などない。屋外でなんては論外だ。
折角 見つけることが出来た働き口以外に 新しいバイト先を見つける気にはなれない。
正確にいうと 親の手助け無しでは面接の準備とか無理だ。とてもクビになったなどと両親には言えない。
頭の中で悶々としながらパンクした自転車を押しながら先についてを考える。
無意識にも死にたいっという言葉を連呼してしまう。
帰り道の半分ぐらいの所で雲行きが怪しくなり、その数分後には 土砂降りとなった。
僕は 雨を気にせず家路を進む。「自分なんかは濡れるべきだ」という思考である。
自分の住んでいるアパートについた時は 雨は止んでいた。服はびしょ濡れである。自転車を置き、自分の号室まで進んだ。
扉を開けて部屋に入る。秋口で体は冷えている。荷物を玄関の隅に置き、服を着替え、居間に向かった。
印象的だったのは 白い髪である。居間には見知らぬ20歳ぐらいの見た目の女性がこっちを見ながらそこにはいた。服装まで 白いワンピースで、赤眼だった。手には何か紙のような物を持ってる。
見知らない人が 部屋にいてオドオドしているのを見て、口を先に開いたのは 向こうだった。
「フフ…私は 貴方の望みを叶えるものですよ。私と契約してください。」
契約という言葉は コミュ障にとっては NGだ。何が起こるか分からない。どう見ても怪しい人からの誘いは 断らなければならない。
しかし、そんなやる気すら今は持ち合わせておらず、もうどうなってもいいやという自棄感しかない。
怪しい人がいるのに その人から殺してほしいと願う。もはや、殺してくれるのだったら怪しい人とか関係ない。どうせ死ぬんだから あの人がいう 僕の望みと言うのを叶えてもらってもいいと思い始めた。
「思考は まとまりましたか?ギオン ヒビキさん?」
いきなり自分の名前を呼ばれて、ハッとする。まぁ、無断で人の家に乗り込んでいるような人だ。僕のフルネームを知っててもおかしくはない。
「契約します。」
僕は 聞き取れるかも分からないぐらい小さい声で答えた。
それでも 彼女に その答えは届いたらしく、ニッコリと微笑んだ。
「じゃあ、これにサインをお願いします。」
彼女は 手に持っていた物を差し出す。
【契約書】と書かれた紙を前にして 僕は固まる。この様な 類を書くのは 初めてで 実際書くとすると 凄い恐怖を感じる。
目を通すと 「僕の望みを叶えてもらいます。」という内容であった。書かれていることに 怖さは感じない。
僕は 署名欄に自分の名前を描いた。
「契約完了ね。」
彼女の方を見ると ニヤニヤしているのがわかる。僕は 何か取り返しのつかない事をした罪悪感が 残る。彼女は 契約書を取りに僕の目の前まできた。
「はい、オメデトさん…」
彼女は ニタぁと笑っていた。片手で契約書を僕から奪う。僕は そんな彼女を見ながら、自分の胸に手を当てる。手の先に感じるのは 自分の体温と同じぐらいの液体と 通常は そこにあるはずのない細い板状の金属があった。
いうことの聞かない体に下を向かせると 彼女の手からナイフが、ナイフから自分の胸へと繋がっている。
自分がしでかしてしまったことを 後悔しながら床に倒れる。意識は直ぐに遠のいた。
※
目を覚ますと 辺りは真っ暗だった。
頭がぼんやりしている。暗くて何も見えない。
意識がはっきりしてくると 考えがまとまってきた。
僕は 刺された筈だった。腹部とかではなく胸部を… それなのに刺された箇所から一切痛みを感じない。
体を動かすも出来る。ただ 少し異様なのは 地面に足がついていない感覚。自分の体は宙に浮いているようだ。
これから考えられることが1つ…
「死んだのか…」
自分がいつも思っている死にたいという願い。契約書にサインした事で 殺されたのか…
確かに あの人は 『アナタの望みを叶える』とか言っていた。
自分の状況を考えて絶望をする。ここは何も無い空間。真っ暗で 生前の自我が残り、いつまでここに居ればいいかも分からない。
元々 死にたいと思っていたのは 自分の行為や性格に対しての 消滅を願っていたものであり、この結末なら 死んだ意味がない。自分の行いを振り返ること後できるし、何より性格は全く変わらない。
自分が動いても景色は何も変わらない。何処までも暗闇のようだ。
何もやる事が出来ないと 自然と過去のことを振り返ってしまう。
死ぬっということが どれだけ重大かが分かってきた。
※
どれぐらい時は過ぎたのだろう…
僕の中では 数十年とか経っている気がする
ここでは 眠くならないし、お腹も空かない…
1日の基準なんてない…
腕で脚を抱え、顔を埋めながら過ごす…
もう自分が誰なのかも分からなくなってくる。
彼女の言った 望みと言うものが やっと叶えられたのかもしれない。