第26話
た だ い ま 。
………。
いや、本当に長い間お待たせしました。
約5カ月……ですね。はい。
本当に遅くなり、申し訳ありませんでした。
そして短いうえに、まだ本調子じゃないっていう……ね。
ま、まぁ。これからまた更新を再開していきますので、楽しみに待っていただいた皆様、こんな作者でよかったら、またよろしくお願いします。
それでは、どぞ。
不意にヒスイはゆっくりと目を覚ました。
最初に目に映ったのは、何てことのない素朴な天井。宿の天井だ。
ゆっくりと周りを見渡すと、おでこに乗っていた濡れタオルがずれ落ちた。慌ててそちらに目をやると、そこには天使がいた。
あ、いや間違えた。女神だった。
女神ことセレナの寝顔が、目の前にあった。
どこか不安や心配などの哀愁を漂わせながらも、その寝顔は安らかでとても可愛らしい。長いまつ毛はさっきまで泣いていたのだろうか、少し湿っているように見える。
よく見ると頬に涙が伝った後があった。
何だろう…この、何とも言葉にしがたい気持ちは。とても心が温かくなる。
ヒスイはかすかな痛みを感じながらもゆっくりと横向きになり、セレナの頬を優しく撫でる。するとセレナはにへらと、何とも幸せそうな顔をした。それが何だかおかしくて撫で続けていると、セレナが「う~ん……」と身じろぎをした。
さすがにやり過ぎたと思いそっと手をどかしたが、セレナの髪が顔にかかってしまったので、それをよけてあげる。
「う………ん…………。ヒスイ?」
「あ、起こしちゃったか。おはようセレナ」
涙の跡があったりと、寝てばかりのようだったから起こすのは可愛そうかなと思っていたが、起こしてしまったか。
「ひ、ヒスイ~、良かったよぉ~」
セレナはそれだけ言うと泣き出してしまった。
理由が分かるだけに、俺にはどうしようもない。
だから俺は黙ってセレナの頭を撫でた。
それに感極まったのか、セレナは尚のこと目を潤ませて……。
「ヒスイ~! 良かったよ~!」
「ちょ、待ってセレナ! まだ抱き疲れてら―――っ!」
ヒスイの絶叫が、宿に響き渡った。
◇
「ご、ごめんねヒスイ」
絶賛、痛みに悶えているヒスイに、セレナは顔を青くして誤っていた。というのも、セレナが抱き着いてきた衝撃で傷が若干開いて、体に巻かれている包帯に血が滲んできていたからだ。
「だ、大丈夫………」
たぶん。
ヒスイが内心でそんなことを言っていると、ドタドタと誰かが階段を駆け上がってくる音が聞こえてきた。足音は2つ。軽いので、恐らく女性。ということは……。
「「夜様! 大丈夫ですか!?」」
ドアを蹴破るようにして、双子の暗殺者、アカハとミズナが部屋に飛び込んできた。
二人はさっと部屋を見渡し俺が起きていることを確認すると、2人とも感極まったような顔をしてこちらも泣き出した。
そしてそのままヒスイの方へと………。
「セレナ様、そこをどいてください」
セレナがヒスイと二人の間に立ちふさがった。
二人の目からスッと涙がひく。
「ダメ」
短い返答。しかしそこには絶対にここから先へはとさないという、確かな意思があった。
「ダメじゃありません。治療の続きをしたいので、すぐにそこをどいてください」
「ダメ。治療なら私がするから、2人は部屋から出て行って」
「治療? お嬢様であったセレナ様に、治療なんてできるんですか?」
「ふふん。学園で学んだから大丈夫よ!」
「つまり、実際にやったっことはないんですよね?」
図星だったのか、セレナは悔しそうな顔を浮かべる。
「うっ………。で、でも大丈夫よ。今は前までひどくないから、私でも治療できるわ!」
「いや、血が出てるじゃないですか。私がせっかく縫ったのに」
と、アカハが言った。
………どうやらアカハが傷を縫ってくれたらしい。
「うっ……。それは、その「どいてくれますね?」」
「……はい」
………何というか、驚いた。随分と仲良くなっているようだけど、俺が寝ている間にこの3人に何があったのだろうか。
「でも、手伝うからね!」
「はい。それはご自由に」
そう言った後、セレナはしぶしぶと言った感じで横にずれ、アカハとミズナを通す。
ミズナが口を開いた。
「目覚められてよかったです。どこか痛むところは――あるようですが、体調はどうですか?」
「あ、ああ。体はあちこちが痛いけど、特に体調は大丈夫かな。それより………」
ヒスイがそこまで言うと、アカハが言いたいことを察したのか、全てを聞き終える前に口を開く。
「セレナ様とは、夜様の治療が終わった後に話をしました。私たちが何者で、敵ではないということ、夜様に助けられたことがあるということや、2日前の戦いなど」
「そ、そうか………。それはよかっ――って、2日前? 俺2日も寝てたの?」
「はい。さすがに出血が酷かったので。本来ならもっと目を覚まさないことを覚悟しておりました。増血剤が効いたのでしょう」
そう言って、本当に良かったですと言ったアカハの目は少しばかり濡れていて、ミズナもセレナもそれは同様だった。
正直、ヒスイはまだこの二人を完全に信用したわけではない。当たり前である。
アカハが言ったことが正しければ、2日前とはいえ目の前にいる2人とヒスイは、殺し合いをしていたのだし、2人とも暗殺者だ。信用できるはずがない。
とはいえ、どうやら治療をしてくれたのはこの2人のようだし、本当はセレナを殺すことが目的だったとしたら、この2日の間にセレナは殺されていただろう。
だからまぁ、まだ完全に信用する必要はないが、少しぐらい警戒を緩めるか。
そう考え、ヒスイは取り敢えず3人に心配させたことを謝るのだった。
ありがとうございました。
皆さんのアドバイスもあり、無事にプロットもある程度完成しました。まだ納得できるようには書けませんが、しっかりと完結までは持っていきます。
ということで、この作品の更新を再開していくのですが、更新速度は1週間に1話ぐらいの頻度だと考えてください。
また、他の作品も随時更新していく予定ですので、そちらもよければどぞ。
最後に感想についてですが、返信ができていない感想がいくつかあります。が、全部しっかりと目を通しておりますので、そこはご安心ください。
返信についてですが、これからは基本的にしていかない方向で行こうかなと考えています。というのも、返信をするのが大変…というのも少なからずありますが、単純に返信が思いつかないからです、はい。
気になった感想や、面白いと感じた感想は返信するか、もしくは前書き、後書きのどちらかでお答えしようかと考えています。
長くなりましたが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
短いうえに駄文が続くかと思いますが、どうぞこれからもよろしくお願いします。




