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第21話

お、お待たせしました……。

戦闘……嫌い。



 夜。誰しもが寝静まった深夜。

 ヒスイはゆっくりと目を開けると、徐に起き上がった。

 一度セレナの方へ視線を向け、しっかりと眠っているのを確認すると外出の支度をする。刀を腰に挿し、短剣を背中側の腰へ。フード付きのロングコートを着込み、穴抜きグローブを付ける。投擲用ナイフをコートの内側に仕込み、フードを深く被って、ヒスイは【夜】となる。


 外に出る前に部屋に魔法陣を描く。それはあの洞窟に描いた魔法陣の比ではなく、あれよりも確実に強力な代物を数十秒で書き上げ、即座に起動。部屋が不可視の結界に覆われた。


 部屋を出る前、ヒスイは最後にセレナが寝ているかを再度確認する。


「う~ん……ヒスイ……いかないで……………」


 息をのむ。

 一瞬起きているかと思ったが、しかしどうやら寝言のようで、すぐに寝息が聞こえてきた。


 ヒスイはそっと息を吐くと、静かにセレナを見つめる。

 はたから見るとその様は、まるで少女の傍に佇む死神のように見えた。


 ヒスイは静かに目を閉じる。どうやら、もう待ってはくれなさそうだ。


 ヒスイは優しい手つきでセレナの頭を撫でる。そして、


「ごめんな。少し待っててな」


 静かに部屋から出て行った。




     ◇




 ヒスイは物音を全く立てずに宿から外に出る。

 道の真ん中までゆっくり進むと、ヒスイは徐に口を開いた。


「出てきたらどうだ? そこにいるのは分かってるぞ」


 瞬間、それまでの夜の静けさが嘘のように、その場に濃密な殺気が溢れかえった。

 常人なら発狂してすぐにでも逃げ出してしまう殺気のなか、けれどもヒスイは顔色一つ変えることなく静かに暗闇の中から現れた二人の人物を見る。


 二人は全身を黒いローブで包み、その顔は深く被ったフードで見えない。それでも、ヒスイには相手が誰であるか分かった。


「……違ってたらいいのにって、思ってたんだけどな」


 ヒスイにどうやら正体がバレていると悟った二人は、徐にフードを脱ぐ。

 そして現れた顔は…服屋の青い髪の少女と、サーカスにいた赤い髪の少女、その二人だった。


「…どうして、気づいたの?」

「まず、青い髪の方。お前自分の正体を隠すの下手過ぎ。しかも尾行も下手くそ。俺とセレナが買い物中ずっと視線を感じてたよ。そして赤い髪の方。お前はそれなりにうまく隠せてたけど、最後でミスしたな。俺の魔法に気づいた人間は、恐らくあの場で二人だけだ」


 ヒスイの物言いに、青い髪の少女から殺気が漏れ出す。今にも飛び掛かってきそうな雰囲気だ。

 それを赤い髪の少女が手で制しながら、口を開く。


「そう…。自信を無くすわね。私たちはそれなりに名前の売れている暗殺者なんだけど………。まぁそれはどうでもいいわ。それよりもさっき、あなたの魔法に気づいた人間が二人いるって言っていたけれど、もう1人は誰なの?」

「何だ? もう一人この場にいる暗殺者に気づいてないのか? よくそれで生きてこられたな……」


 そう言うと、ヒスイは宿の向かい、そこにある狭い路地に視線を向けて、その暗殺者の名前を呼ぶ。


「【沈黙】さん。そこにいるってわかってるって言ったよな。さっさと出てきてくれないか?」


 二人の少女は、【沈黙】という名を聞いて息をのむ。

 それを視界の端に捕えながらも、ヒスイは【沈黙】に意識を向ける。


 かくして、狭く暗い道から、一人の男が出てきた。

 それはあの夜、ヒスイに背中を見せて引き下がった暗殺者、【沈黙】。

 どうやら今回は戦う気満々のようで、静かな殺気を放っている。


「さて、役者はそろった。今この場には4人の暗殺者がいる。……どうする? この場で殺し合うか?」


 ヒスイからも強烈な殺気が噴き出る。【沈黙】は沈黙を貫き、2人の少女はヒスイの殺気に当てられ一歩下がる。


「そこの二人、お前らにはまだこのステージは早い。引いて二度とセレナの命を狙わないというのなら、ここは見逃すが?」


 ヒスイとしては、例え暗殺者と言えども自分よりも年下であろう2人の少女を殺したくはない。だが、セレナの命を狙うのなら、その命を刈り取る。

 下がれ。そう願い、ヒスイは少しづつ殺気を強くする。だが………。


「ふん。甘く見られたものね。私たちとて暗殺者。死ぬ覚悟位できている。それに、私たちは一人じゃなく二人。1人では厳しくても、2人ならなんとかなるかもしれない」


 赤い髪の少女がそう言い放つや、2人は同時に剣を抜く。そして――


「【沈黙】さん。あなたの狙いもエインズリー公爵家の娘なら、目的は同じ。ここは一つ、共闘と行きませんか?」


 【沈黙】は答えない。だが、【沈黙】は静かに剣を抜き放った。

 その行動はどういう意味か。この場に分からない者は一人としていない。


 ヒスイはやっぱりこうなったか…と内心でごちつつ、自分も自らの武器を抜く。


 かくして、3対1の戦いが、幕を開けた。




     ◇




 まず初めに動いたのは【沈黙】だった。

 【沈黙】はまずどこからか取り出したのか、その手に持った小さなナイフをヒスイに投擲すると、それに続く形で駆けだした。それを見て即座に反応したのは青い髪の少女。音もなく駆け出す。赤い髪の少女はその場にとどまり、何やら魔法の準備を始めた。


 ヒスイはそれだけの情報を目だけを動かして把握すると、すぐさま行動に移す。

 まず初めに2本の投擲ナイフを取り出し、それを双子の暗殺者の方へ投擲。そして無詠唱で風魔法を発動。投擲したナイフは風の力を受け、その勢いを増し、まっすぐに2人へ飛んでいく。

 そのあとすぐにヒスイは刀を背中に回し、高速移動歩法「縮地」を使い、一瞬で後ろに回り込んだ【沈黙】の横なぎの斬撃を受け止めた。

 このまま鍔迫り合いになれば、背中越しに剣を受け止めているヒスイが不利。横からはナイフを弾き落とした青い髪の少女が迫ってきている。


 ヒスイはすぐさま、今度は水魔法を無詠唱で唱え、ヒスイの足元から水の触手のようなものが伸び、【沈黙】を拘束しようと襲い掛かる。

 【沈黙】はすんでのところで気づき、バックステップふみ後退。


「イィイイイヤァ!」


 ヒスイは青い髪の少女の斬撃を、素早く戻した刀で受け流す。

 一合二合三合と、少女から放たれる斬撃を受け流す。

 受け流していると、タイミングを合わせて【沈黙】が投げナイフを投げてくる。

 ヒスイはそれをなんとか躱しながら青い髪の少女の剣を受け流す。


 実にやりづらい。ヒスイが少女の剣を押し返そうとしたころ合いに、丁度【沈黙】から投げナイフが飛んでくる。かすってでもこの少女を押し返そうかとも思ったのだが、どうやらナイフには毒が塗ってあるようでそれもままならない。

 青い髪の少女は押し返されないのをいいことにどんどん打ち込んでくる。


 不味い。

 赤い髪の少女が目の前の少女で視界にとらえられない。いつ魔法を放ってくるか分からない。

 しかもさらに不味いことに、【沈黙】も投げナイフを投げつつ魔法の詠唱をしている。


 ヒスイは飛んできたナイフを避けると同時に、無詠唱で風魔法を発動。目の前の少女の顔に直接風を叩きつける。少女が怯んだその隙に、ヒスイはその腹に掌底を叩き込む。


「カ八ッ」


 少女は口から酸素と血を吐きながら、3メートルほど吹き飛ぶ。

 ヒスイはそのまま、飛んできたナイフを刀で弾き、弾いたナイフをキャッチすると追い打ちのように吹き飛ばした少女へそれを投擲。

 そのまま【沈黙】へと駆け出す。


 赤い髪の少女はとっさに準備していた風の魔法【エアロ・ブラスト】をヒスイが放ったナイフに向けて放ち、青い髪の少女へ当たる前に何とか弾き飛ばすことに成功した。


 【沈黙】はツッコんできたヒスイに、慌てずに一本ナイフを投擲。剣を構え、魔法の詠唱を続ける。

 ヒスイはその詠唱から何の魔法かを聞き取ろうとしたが、それを警戒してか【沈黙】はぼそぼそと詠唱しているので聴き取れない。

 ヒスイは小さく舌打ちをすると、ナイフを体を沈みこませることでかわし、その低い姿勢のまま【沈黙】に切りかかる。

 【沈黙】がその剣で受けようと剣を構え――その瞬間に、ヒスイは「縮地」を使い一瞬で【沈黙】の後ろに回り込み、そのままの勢いで斬撃を叩き込む。


 が、それは【沈黙】の足元から出現した水の触手のようなもの――先ほど、ヒスイが使った魔法と同じ魔法により、その勢いを弱らされ、その隙に【沈黙】は「縮地」を使いヒスイから距離を取った。

 しかし完全に避け切ることはできなかったようで、致命傷は避けたもののその背にヒスイの斬撃を受けたのだった。




ありがとうございました……。

戦闘描写無理です書けないです(泣)

ううう~………頑張ります。

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