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第14話

やったー!!! ブックマーク登録者数が100人突破しました!(どんどんパフパフ!)

書き始めた時「20人ぐらいブクマしてくれたらいいや」なんて思っていたので、すごく嬉しいです! ありがとうございます!


あと、お知らせです。

昨日第13話を更新した後新作の「召喚士ののんびり旅」という新作を投稿しました。

もしお時間があって、尚且つ覗いてやってもいいかなって方は覗いてやってくれると嬉しいです!

(尚、相変わらずあらすじは苦手な模様……)


それでは第14話、どぞ!

 迷宮都市パルミドは、街の中に迷宮がありその迷宮を中心に街がつくられている。

 そのためパルミドは、内にある迷宮から魔物があふれだした時のためにある内側の5メートルほどの壁と、外から魔物が攻めてきた時のための同サイズの壁の2つの壁を持っている。

 これは他の都市ではあまり見られない特徴で、似たような形で王都も壁が2枚あるのだが、それは平民層と貴族層を分けるためのモノであり壁自体も2メートルほどとそこまで高くはない。


 ヒスイとセレナの二人はそんな迷宮都市パルミドに入るため、同じく迷宮都市に入ろうとしている人たちの列に並んでいる。並んでいる人たちは商人や冒険者、どこぞの貴族に騎士といろいろな職業の人達が見て取れた。それだけでも、この都市の人の往来の多さがよく分かる。


「それにしても、人多いね」


 セレナが感心したようにつぶやく。


「そうだな。パルミドは数少ない迷宮都市の中でも特に大きいからな。一攫千金を狙う冒険者や強力なマジックアイテムやアーティファクトを狙う貴族、鍛錬に来る騎士とか、そんな彼らを目的とした商人まで、とにかく様々な目的を持った多くの人が足を運ぶからな。必然と、ラドフォード王国中の人が集まる」

「うん。そうだね…」


 そう言って、セレナは不安そうに如何にも貴族が乗っていそうな馬車や騎士たちをそっと見る。


「セレナ。あんまり見てはいけないよ。下手に目をつけられるかもしれないから。自然にただ立っていればいい。どうしても気になるなら俺と話してよう」


 セレナの頭をポンポンと優しく叩くヒスイに、セレナは少し強張った顔で頷く。


 それからはセレナも貴族の馬車や騎士たちの方を一切見ず、ヒスイと何でもない会話をして楽しんだ。


「ヒスイ。こうしてパルミドに来てけど、これからどうするの?」

「そうだな…取り敢えず今日一日は宿を取ってゆっくり休んで、明日冒険者登録をしに行く。あ、その前にセレナの服とか買ったりもしたいから…取り敢えず明日は買い物をして、明後日から迷宮に潜ってお金を貯めて…って感じになるかな」

「分かったわ。でも、私魔法は使えるけど剣は使えないわよ? それに実際に戦ったことがないから足を引っ張ると思う」


 しゅんと俯き不安げにいうセレナに、ヒスイは微笑みを浮かべて言う。


「大丈夫。あんまりゆっくりできないけど慣れるまではゆっくりとやっていくから。それにセレナは剣は使わなくていいよ。護身用に短剣は持ってもらう予定だけど、セレナは魔法で援護を中心にしようとしているから」

「でも、2人なんだし私も剣は少しでも使えた方がいいんじゃ……」


 セレナがそう言うと、ヒスイは苦笑を浮かべた。


「まぁ…正直に言うと2人だから何が起こるか分からないし、セレナも多少は剣を使えた方がいい…というのは否定しない。でも、今すぐじゃなくてもいい。セレナは一度も剣を握ったことはないだろう?」

「うん」

「なら、ゆっくりとやって行こう。まずは戦いの空気に慣れて欲しいから魔法を優先。剣を練習するタイミングは俺が指示するよ」

「……分かったわ。それじゃあ私はできるだけ早く戦いの空気に慣れてヒスイの役に立つから、待っててね!」


 そう笑顔で言ったセレナに、ヒスイは思わずその頭を撫でてしまう。


「うん。待ってる」


 そう笑顔で言ったヒスイに、セレナは顔を真っ赤にさせて「あうあう……」と口を閉じたり開いたりしていた。

 周りに並んでいる恐らく独り身であろう男たちからワザとらしい舌打ちと、僅かな殺気が零れてくる。

 それを敏感に察知したヒスイは、殺気を放った連中の顔を確認した後、人当たりの良さそうな顔で苦笑をして見せた。


 周りで舌打ちをした男たちはもう一度舌打ちをした後、前を向き仲間であろう人たちと話をし始める。

 まぁこういった類の舌打ちとか殺気は大抵がただの嫉妬なので、一応気には止めておくがそこまで気にしないことにする。

 実際、集中して会話を聞くと「チッ、イチャイチャしやがって…」「まぁまぁ」という会話なので、あまり後から突っかかってきたり絡んできたりはないだろう。


「ヒスイ?」


 セレナが不安そうにヒスイを見上げ、名を呼ぶ。


「いや、何でもな――」


 いと、そうヒスイが言おうとしたとき、後ろの方から馬車が進んでくる音が聞こえてきた。

 ヒスイたちが並んでから、それなりに時間が経っており大体列の半ほどまで来ていて、後ろには2人が来た時よりも長い行列ができている。

 そんな行列を無視して前へと馬車を進めている様子から、周りの人達が怒りそうなものだが、そう言った声は聞こえてこない。


(……これは、嫌な予感がしてきたな)


 そう思いつつ後ろを振り向くと、ヒスイの嫌な予感が的中した。

 あれはどこからどう見ても、貴族の馬車である。


 迷宮都市パルミドは、いかなる理由があろうと貴族だからと言って大勢の待つ人を無視して貴族を先に入れるようなことはしない。貴族だろうが何だろうが、それこそ王族だろうがしっかりと並ぶことを規則としており、そのことは国王も了承している。ただ、戦時や魔物の氾濫がおこった時などの非常事態の時は別だが。


 そんな中、順番を抜かしどんどん前え出てくる貴族の馬車。今は時中でもなければ、魔物の氾濫も起こったわけではいない。

 考えられるのは二つ。一つはセレナがまだ生きていることを知ったルイス達が、その知らせを届け、セレナが来たときは捕獲、または殺害命令を伝えるために急いでいる。

 この場合、特に街の中まで入る必要がなく、門番の一人にでも知らせ書状か何かをパルミドの領主に渡してもらえばいい。だが、それなら少し遅すぎる気がする。


 ヒスイが暗殺者の【沈黙】を追い払ってからパルミドに着くまで、1週間と3日かかっている。その間に知らせがなかったとは、さすがに思えない。王都からパルミドまではそれなりに距離があるが、そこまで離れている訳ではないのだ。その知らせがあったとすれば、もうとっくに届いていることだろう。


 そして考えられるもう一つのパターン。それは、選民意識の高い貴族が権力を使って無理やり入ろうとしている可能性。つまり、権力でいうことを聞かせようとするタイプの貴族であり、【夜】の暗殺対象になり得る貴族の可能性。

 もしこういった貴族だった場合、ただの平民にはどうすることもできない。そして位の高い貴族ならば今しっかり順番待ちをしている貴族が注意をしても、聞く耳を持たない可能性がある。

 さらに酷いことに、こういった貴族は並んでいる女性の中に自分の好みの女性がいればその場で権力にモノを言わせ連れて行こうとすることがある。ヒスイは暗殺者をやっている関係上、そう言った貴族の胸糞悪い光景を何度も見てきた。その度に暗殺(社会的に)していたが、それでもこういった貴族は後を絶たない。

 そしてもしそう言った貴族の場合、セレナがその対象になる可能性が非常に高い。今は長旅で薄汚れ疲れ切っているが、それでもセレナの美しさには目を見張るものがある。

 現に、セレナへの男性の熱い視線は後を絶たない。


「セレナ。後ろから馬車が来る。面倒事になるかもしれないから、俺の陰に隠れて」

「う、うん」


 貴族という言葉にセレナの肩が僅かに震える。恐らく追手だと思ったのだろう。だが、その可能性は限りなく低い。可能性があるのは――


 ガラガラガラと、馬車が過ぎていく。

 ヒスイが馬車の方を向くと、開いている窓からこれまた見事な豚――ふくよかな貴族らしい男の顔が覗いていた。


(嫌な予感が当たったか……)


 そうヒスイは確信し、そのまま過行く馬車を見送った。良かった、絡まれずに済んだ………と思ったのだが。

 どうしたことか、馬車が少し進んだところで止まった。


「………セレナ」

「何?」

「顔、出してた?」

「え? 出してたけど?」

「陰に隠れてって言ったよね?」

「え? だから陰に隠れて、様子を伺ってたんだけど……」


 そう来たか。顔を隠せって言っておけば良かった。

 いや、まだそうだと決めつけるのは早い。もしかしたらヒスイが考えた通りの貴族じゃないかもしれないし、そうだとしてもセレナじゃないかもしれない。


 そう、願望に近いことをヒスイが考えていると、馬車から肉の塊が降りてきた。肉の塊が降りるとき、馬車が若干傾き、肉の塊の重さで沈んでいたのか馬車の背丈がさっきよりも明らかに高くなる。


 周りのあちこちで、何人もの人の噴き出す音が聞こえた。一応声は抑えているが、それでも確実に笑っている。

 それが聞こえていないのか、肉の塊は一切気にせず、まっすぐヒスイとセレナの方へドスドスと走ってきた。お肉がブルンブルンと動いて、汗が飛び散り見ていてすごく醜い気持ち悪い吐き気がしてきた。


 それを見て、今度は笑いの中に「おえぇ…」という声も交じる。

 それでも肉塊はまっすぐにヒスイとセレナの元へ走ってきた。


(ああ…これは、「対象者」だな……)


 そう、ヒスイが目を細めると同時、2人の前まで来た肉塊はぶはー、ぶはー、と息を吐き出し、玉の汗を全身から流しながらヒスイに庇われているセレナの方へ向かって言った。


「おい! そこの女! 貴様をこの僕の女にしてやる! ありがたく思うんだな!」


 そうセレナに指を挿し、醜く笑う肉塊。



 ………取り敢えず、この肉塊本当にただの肉塊にしてもいいかな?



 そんなことを考えつつ、ヒスイは思ったことをそのまま口にする。


「黙れ豚。気持ち悪いんだよさっさと出荷されてその辺の魔物にでも食われてろ」

「……ぶひ?」


 おい「ぶひ?」だって、マジで豚だった。





ありがとうございました!

何だかテンプレ展開ですが、これからテンプレは多くなると思います。

ただ、できる限り工夫しようと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

あ、こちらの更新速度は変更ありませんので、そこのところは安心してください。

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