“ちょっとしてない”休み時間
そのままSHRを終え、休み時間になった事で教室内が賑やかになった。
もちろんその渦中にあるのは転校生の早川幸希・・・ではなかった。
「・・・。」
幸希に対し興味深い視線を送ってくる者はいるものの、彼に話しかける者は一人もおらず、皆、思い思いの人との交流に花を咲かせていた。
「・・・何も話を掛けてこないって、正常だよな?」
アニメやマンガでよく見る“質問攻め”に遭うものだと一人確信していた幸希は周りの状況に不安を覚え、隣席の伊吹に聞いてみた。
今の彼の心中は不安が強大な闇となり、誰かに「今の状況は正常だから心配するな」などと言われなければ泣きかねない程に脆く、簡単に崩れてしまう砂城と化していた。
だが、彼のそんな心中など知ることのない伊吹は、
「おかしいですね。私も一年の頃にこの学校に転校したのですが、その時は、皆さんは優しく接してくれましたよ?」
と、今の幸希には辛すぎる事実を渡してしまった。
(嘘だろ…?何で、何で誰も話しかけてくれないんだ…?まさか、これが転校生いびり…?もう、何でもいいから誰か話しかけてくれよ…)
伊吹の、転校という言葉を思考回路から弾き飛ばしてしまう程、幸希は、ショックを受けた。
その後、すっかりセンチメンタルになってしまった幸希は、クラスの反応を直視するのが嫌になり、誰も視界に入らないところをぼーっと眺めはじめてしまった。
「・・・魔力実習?」
いつの間にか目線の先に入っていたその単語をほぼ無意識で呟いていた。
「ああ、魔力実習というのは、この学校が最も力を注いでいる教科なんです。」
横から伊吹が説明をしてくれたが、その言葉は幸希の耳には届いていなかった。
意識が少し遠くにある幸希は(こんなものに時間を割くなんて…物好きな学校だな)と、周りに気づかれないようにうっすらと魔力を纏わせた自分の腕を眺めながら思った。
この世界では、魔力はあまり、好印象ではないらしい。理由としては魔力が、あまりにも便利すぎるが故に魔力を悪用する者がいるからだ。もちろん、そのようなことを起こす者は小数派に過ぎないのだが、一人でも何かを悪用する者が出れば、悪用した時に使用したものが、悪印象を受けるのはどんな分野でも同じらしい。
それが、人類の敵を追い返すことのみで使用され、“人の希望”とまで言われたチカラでも、だ。
「そして、この学校の生徒が、最も本気になるものが、この“シングルマッチ”と、“タッグマッチ”です!」
途中から話を聞いてない事に気づいていないらしく、興奮して説明している伊吹。いつの間にか自分の机の中から一枚のプリントを出し、そのプリントの中の二箇所を指差していた。どうやら、彼の出したプリントは年間行事予定の書かれたプリントで、幸希も、この学校に転校した際に担任の教師に渡されたので多少は見覚えがある。
(・・・あれ?おかしいな)
プリントに書かれていたある表記に疑問をいだいた幸希は、その疑問を確認するため、前の壁の8割以上を占めている巨大なモニターの、右縦の端、日付を表示されている箇所を見た。
「・・・。」
彼の視界の先には、一番上に7と、割と急な右上がり直線を挟んで下には12と表示されていた
「・・・。」
彼は、再度伊吹の出しているプリントの、“シングルマッチ”と書かれた文字の左、その行事がある日付を記された箇所を見た。幸希の視界の先では、7月20日と、文字と数字がいやらしく笑っていた。
「・・・ーーーーーーーっ!!???」
状況を飲み込んだ脳が拒否反応として送った絶叫を口を必死に閉じることで止めようとする。
(は!?馬鹿じゃん!あの担任ほんっとに馬鹿じゃん!?なんで?なんで行事の説明とか確認とかしなかったの!?プリント渡して「はい解散」なの?大事なこと!これ大事なことだから!頑張って!?もっと自分の仕事に熱意とか責任とか真心とか込めようよ!?)
幸希に残されたことはただただ担任を呪うことだけだった…
ちょうど一週間で投稿できました。赤坂ラルラです。
今回は、“HRと一時間目の間にある休み時間”という時間設定です。この話は何も考えていなかったため、ちょっとおかしい点がありますがいつものことですよね!
なので、思ったことをどんどん書かせてもらいました、電車内で。
実はですね、4日の時点で投稿をする予定で、話も出来上がっていたんですよ。なのに、その文章データを誤って消してしまいました。
その時は、ショックのあまり全身から脂汗が出てました。そして、数分の間、自分が、何をしたか理解したくなくなった程です。
そんなハプニングの中出来上がった話なので、個人的に最も思い入れが深いかもですね(笑)
という訳で、次回は何をするか分かりますよね?自分でも(この流れにしたんだから過程はすっ飛ばして良いよな?)という状態です。それでは、そう遠くないと思う次回で会いましょう。