結局やる気は出ても実行に移さない
俺の名前は神木倉之助
比津組の若頭だ。関東の狂犬なんて言われたもんだ…
だが今は…
カキーン!
「エラーだ!走れ走れ!」
「おーい!サードしっかりー!」
なぜか三塁の守備をしている…
なぜだ
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倉之助「ったく、迎えの車も寄越さねぇなんて若頭に対してこんな扱いあるか。ん?」
魔王「よーし!野球すんぞ!今日こそは執事!貴様を打ちのめす」
執事「ふっ…魔王様…いくら私でも勝負事は手加減しませんよ。また前回みたいにコールドゲームに」
子供達「「そーだそーだ。あんなダメ人間なんてやっちまうぞ」」
魔王「だってさ。渚くん。ダメ人間なんて言われてるよ」
渚「いや、どう考えてもあんたでしょ…てか、魔王さん…娘ちゃんそして僕…なんでうちのチーム三人なんですか!!!!!おかしいでしょ!執事さんのチームなんて18人もいますよ!!」
魔王「だって集まらないし…それに犬といるから三人と一匹だし」
渚「執事さんも分けてくださいよ!こんなのフェアじゃないですよ!」
執事「私もそう提案したが魔王様は維持をはられてな…そんなところも魔王さまらしくて良いのだが」
魔王「なーに前は平日だったから我輩一人で投げて走って捕ったからな!今日は勝機はある!」
渚「いやいや、ないですから!僕は野球なんて小学生以来だし…娘ちゃんは…」
ブンブゥゥゥン!!!
娘「へぇ結構悪くねぇな!で、誰から殴ればいいんだ?」
渚「論外。」
魔王「んーさすがにこれじゃあ無理か…せめてもう一人いれば塁は守れるのだが…!おーいそこの怖い顔の人ー!」タッタッタ
なんだ汚いおっさんが走ってくる…
魔王「ハァハァ怖い顔のハァハァ人ハァハァ野球ハァハァしないハァハァかハァハァ我輩らハァハァチームハァハァ人がオエッハァハァ足りなくてなハァハァ今日勝たないとハァハァ明日からハァハァガキどもに毎日ハァハァジュース奢らないとハァハァ遊んでもらえなくなハァハァるんだハァハァオエッ」
倉之助「落ち着け。野球かぁ。そういえば中学のころしてたけっなぁ。でもわりぃが忙しくてな。他あってくれ」
魔王「頼む!そこをなんとか!経験者が居なくてな!1人はダメダメ社畜、1人は血祭り主催者、1人は地獄の番犬で頼り無さすぎなんだ!あとでいいものあげるから!」
倉之助「まぁそこまで言うなら少しだけだが」
魔王「おーい!もう1人確保したよー!」タッタッタ
倉之助「名は神木倉之助!比津組のもんだよろしく。」
渚「っておもいっきりその筋の人じゃん…えぇ後で殺されるって…」
「プレイボール」
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ハァハァそして現在だ。ハァハァ
魔王「もう神ちゃんしっかりしてよー」
倉之助「てめぇが打たれんのがわりぃんだろ!なんだよあの遅い投球は!?てか、なんでお前らも捕球のフォローしねぇだよ!走れよ!」
娘「あ?なんでだよ。私に指図すんのか?」
渚「いや…怖くて…」
魔王「もう喧嘩しないの!まだ3回表20対0だ。前回よりはマシだからみんないい仕事してるよ!」
渚「どんだけ酷かったんですか…」
執事「魔王様!どうですか?もう攻守交代してみても」
魔王「いやまだまだ!」
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現在7回表45対0
倉之助「いや無理だろ」
結局すべて俺が捕りなんとか攻守交代まで持ってきた。だがここまでか…外野に飛べば絶望的…てかなんだあの犬は…なんで三つ首なんだよ。周りも驚けよ、
渚「魔王さーん。もう諦めませんか?このままやっても時間の無駄ですよ!ジュースなんてうやむやにしてしまえばいいですし、何言われたら学校にチクったらいいんですよ」
娘「そうだよ親父。てか、いまここで反抗できないところまでシメちゃえばいいんだろ。」
犬「ワン!」
倉之助「そうだ、魔王。こんなことしてなにになんだ。敗けは確定だろ」
魔王「わかってない!お前らはなんも分かってない!我輩は子供に負けたくないから意地をはってるんじゃない…我輩は教えてあげたいんだよ…いまの子供達に…どれだけ絶望的であっても諦めないことが重要なんだと。たとえどれだけ点数に差があろうとも一点…まずは一点を取ること目指すべきなんだ。一点を取ればなにかが変わるかもしれない。今の大人は傷つかない方法ばかり教えてばかりなんだよ。敗ける大人はカッコ悪い?違う。向き合おうとしようとしない大人がカッコ悪いんだ。我輩はその事を彼らに教えたい。だから逃げないんだ」
倉之助「魔王…」
執事「魔王様」
娘「親父…」
子供達「魔王…」
渚「いや…よく逃げてるよね。現実から」
倉之助「よーし!魔王!見せてやろうぜ…俺たち大人がもがいて足掻いて頑張る姿をよ!」
魔王「神ちゃん…!」
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ゲームセット!
「「「「ありがとうございましたー!」」」」
魔王、渚、娘、倉之助「ハァハァ」
ドサッ
倉之助「結果は負けたけどさ、なんか俺らも気持ちのいい気分だな魔王」
魔王「あぁ神ちゃんありがとう。感謝するぞ。最後まで付き合ってくれて」
倉之助「なぁいいもんくれるんだろ。なにくれんだ?」
魔王「もう持ってるだろ。忘れてたあの情熱ってものをな」
倉之助「ハハハ!確かに!これはいいもんだな!ありがとよ!」
「「かしらー!!!!!!」」
倉之助「ヤス!それにおまえら」
ヤス「よかった!頭がいないからてっきり殺されたのかと、にしてもなんでそんなボロボロなんすか。まさかのオッサンてめぇか!」
倉之助「おいやめ」
バッ
ドン!
魔王「子供の目の前だ。暴力は許さんぞ」
気がついたら俺を迎えに来てくれたヤスはあまりにも軽く吹き飛ばされた
ヤス「いててて、なんだよこれ。お前化け物かよ」
倉之助「おい。よせ。魔王!すまなかった。うちの部下が余計なことをした。謝る」
魔王「いやいや、神ちゃんが謝るなら許しちゃう。もう二度ともしちゃダメだよ。」
倉之助「ありがとう。おい帰るぞお前ら。」
「「「はい!」」」
倉之助「魔王!今度また野球するときは誘ってくれや!ガキどもに諦めないこと教えてやっからよ!」
魔王「いやぁ神ちゃんいいやつだなぁ、」
子供たち「おい魔王!早くジュース買えよ!」
魔王「あ、そうだった記憶改竄」
渚「大人のやり方は汚いってのも教えないとな」
子供たち「あれ、何してたんだっけ。」
魔王「何って帰る準備してるんだから、帰るんだろ」
子供たち「そっか。じゃあね!執事さん!ダメ人間!」
魔王「渚くん言われてるよ」
渚「いやあんた以外いないから」
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ヤス「は?野球チーム作るんすか!?」