朝起きてから帰りたいと思うけど土にじゃない
午後14時30分。
僕はやっとお弁当を食べて一息つける。
会社では人間ではなく奴隷のように扱われ…取引先では神頼みのように無理難題を押し付けられる。
渚「はぁこのまま還りたい。土に。僕にこの仕事向いてないんだよなぁ。就活もおろそかにして適当に入ったこの会社。でも転職できるほどのスキルもないから辞めれない。はぁ」
「やっぱりこの世界は窮屈で退屈でつまらないわよね。」
僕の後ろから聞こえたその声は透明でよく通る、まるで初夏の心地のいい風のようだった。
「いやぁ次元融合なんてことが起きたせいで私もめちゃくちゃでさ。働くために就職活動ってやつしたりして朝から足がスティックよ!」
つまらない…だが…この人は次元融合の被害者なのだろう。突然見知らぬ世界で生きるために労働を強いられる。
魔王さんは殺し合いもなく平和な世界になったと言っているが殺し合う余裕もない人だっているんだろう…
「ごめんね。急に。でも貴方から私と同じオーラを感じたのよ。負のオーラのような。疲労して限界なものを」
オーラを感じる?そういえば魔王さんがオーラが見える種族がいるとか…確かエルフだっけな
渚「ハハ確かに疲れていますよ。なんせブラックですから。なんで生きるために働いて生命力削られてるんですかね。」
「そうそう。変よね!昔は自然溢れる場所で楽器とか奏でて時間が過ぎるのただ感じるだけの生活してたのにね。帰れば美味しいご飯があったってのに…はぁ帰りたいわ…」
あぁエルフって確か森の奥で自給自足の生活をして悠々自適に過ごしてるって言ってたな。
「でも、好きことだけして生活してたらさ、ある日雷が落ちてね…こんな生活よ…就職活動ってのに勤しんではバイトバイトバイトの日々。帰ればエントリーシート、起きれば面接。何回祈られたのか。私は神かっての」
やっぱり大変なんだよな…助けてあげることができれば…
渚「あ、あの!僕にできることがあれば何でも言ってください!仕事は用意できないけど面接の対策とかそんなことなら協力できますから!環境が変わって大変だと思うし…」
「ほんと!いやー助かるわー私北海道から進学してこっちに来てさ、パチンコに競馬に競艇にハマってねー。朝から並んだりして、留年留年の繰り返しでやっと卒業間近なんだよねぇ、で周りには誰も知ってる人いないから就職活動も何も分からなくてさぁ。あ、私道川曜子よろしく!」
渚「え…ホッカイドウ…?いや、エルフなんじゃ?」
曜子「はぁ?エルフ?違う違う。ほら耳とがってないじゃん」
渚「でも雷が落ちてって」
曜子「雷?あぁお母さんのね。卒業出来ないなら実家の農業手伝いなさい!ってさ。でも嫌じゃん。時代はやっぱり丸の内OLしょ!ドラゴンにのって通勤とか憧れるわぁ」
渚「せよ…」
曜子「ん?なんかいった?」
渚「返せよ…僕の心配…返せよ…僕の少ない優しさ返せよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
曜子「うわぁぁぁぁまた雷だぁぁぁぁぁ」
魔王「渚くーん!おか…ん?なんだこの霊圧は?まっ我輩霊圧とか見えんけど。げ…渚くん怒ってんじゃん…あぁなると我輩より怖いからなぁ…執事に借りよ…」
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お母さんへ
元気にやっていますか?お父さんとは喧嘩せずに仲良くしていますか。
私はやっと分かりました。母の優しさ温もりを
この前初対面の人に初めて怒られてました。東京はとても怖いです。今は学校に真面目に通っています。大好きなギャンブルも学校終わってからにしています。
それから私決めました。家の仕事手伝います。正直泥臭くて嫌だけど…それでも生活をするためにはとても大切な事だと思い知らされました。ですので卒業したら帰ります。
これから寒くなりますが体に気を付けてください
PS
今月の生活費がありません。倍にして返すので振り込んでください。
曜子より
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魔王「あいつ女の子に怒鳴っててさ。あれ彼女かな?」
執事「DV夫の才能がありますね。」
魔王「それなー」