バイトって面接にたどり着くまでがめんどくさい
真っ暗な空に浮かぶ浮遊城、、、そしてその下で輝く人々の生活そしてその2つを混ぜるかのような風が吹く。
ここは、まさに非現実と現実が重なりあう最高の場所だ。
僕の名前は有村都
そう、あの時のニートさ。
僕はあの月が綺麗な夜にすべてを見つめ直した。
両親に謝り、髪の毛を切りに行き、コンビニバイトの面接も受けた。今はまだ一人で生活するのは難しいがあの頃よりも親のすねをかじることはなくなった。
僕がここまで変われたのにはある目標がある。
それはあの時僕を目覚めさせてくれたあの人にお礼を言い、告白することだ。
そして告白したあと夜景の見える場所に行き、ベンチで二人きり…誰も邪魔をしない、まさに僕らだけの世界。僕たちは唇を重ねあわせる。
なんてことが目標だ。もちろん目標なのだからそのための努力もしている。
それがいまだ。
夜景の下見だ。
ここは僕の自宅から自転車で30分のところにある。
荷台にあの子を乗せてここまで来るとしても45分…少し長いな。話のネタを増やすか…そうだな…最近見たアニメか…いや野党についてか…Twitterでバズったあのネタを…
「よーし!じゃあこの辺りに建てるか!我が魔王城を!」
ん???魔王城??なんのことだ??
僕は恐る恐る声のする方に近づき木の陰に隠れて様子をうかがった。
魔王「ここに建ててあの小学生どもを見返してやる!我輩をこけにしたあのガキどもめ…!」
渚「そんなことのために僕を呼び出すの止めてくれませんか。いま何時だと思ってるんですか。23時ですよ。普通の人は寝る時間なんですよ」
魔王「普通の人はじゃろ?渚くんは帰る途中だったじゃん。普通じゃないから関係ありませーん」
渚「くそじいじが…はぁ分かりましたよ。少しだけ手伝いますけど0時になったら切り上げますよ。さすがに警察が来たら恥ずかしいですし。それに娘ちゃんも心配するでしょ」
おいおい…嘘だろ…いい大人がこんな時間から秘密基地作りだと…
狂ってる…社畜になったらあんなことになるのかよ…
渚「てかこれ全部段ボールとガムテープじゃないですか!もう少し木とか材料あったでしょ!」
魔王「仕方ないじゃん。そんなお金ないし…これなら近所のスーパーでタダだったし…」
渚「いや、あれタダじゃなくて買った人へのサービスですから…はぁ」
とかいいながら、なんで作業を止めないんだ…なんなんだあいつら…
渚「いやいや!ここはこの方が絶対頑丈ですってば!」
魔王「いやじゃ!頑丈でもダサいもんもっとかっこいいのがいいもん!」
なんで真剣に言い争ってんだよ…いい大人だろ…バカかよ…
「おーい!親父!ここにいるのはわかってんだよー!早く帰るぞー!」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
この声はあの時の…まさか!
渚「あ、娘ちゃん。このバカ探しに来たの?夜中なのに危ないよ」
娘「危ないのはこのバカを野放しにしとくほうだろ。」
魔王「バカバカ言わないでよ…我輩だって傷つくこともあるんだよ。それに娘よ!お前はこの前変質者に遭遇しただろ!こんなところまで来たら危険だろう」
変質者!!そんなことが許せない…僕の最愛の人に…これから一生を添い遂げるパートナーに…僕が彼女を守る…!
だがまずはお父様にご挨拶をしなければ…
娘「そんなもの私の拳で一撃だったからな!渚も見てただろ?」
ガサッ
魔王「何奴!」
都「こ、こ、ここんばんわ…おととととうさん。ぼぼぼくはむむむむすめ
バキッ
渚「うわ…容赦のなさ。さすが氷の女帝」
娘「あ、こいつまえ言ってた変質者だよ。」
魔王「なに!貴様かぁ!許さんぞ!!!!!」
「親父おちつけって!!!!!」
「魔王さん!さすがにそこまではだめですって!!!!」
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ハッ
朝だ。ここは…そうか昨日挨拶をして気がついたら目の前が真っ暗で…あぁここはお父様が作ってた秘密基地か。
ん?そうかここにいるということはお父様に認められたのか!
なんて清々しいんだろうか!
輝かしい未来のための障害を乗り越えたんだ!まるで頭が軽くなったようだ!
この風もなんて気持ちがいいんだ!
まるで僕を祝うかのように素肌を覆っていくような感覚。
そうかこれが希望なのか!
さぁ帰ろう。僕たちの結婚のために頑張らないと!
「ママ…あの人…「シッ見ちゃダメよ!」
警察「ちょっといいかな」
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執事「モヒカン全裸男が逮捕か…この世界の人間はあまりにも理解できない」
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