6話
――王国;とある貴族の屋敷にて――
「シュウ様、紅茶の準備ができました」
「あぁ、ありがとうぼっちくん! ところで砂糖は小さじ何杯分入れたのかな?」
「いつも通り2杯ですが……その呼び方だけはやめてください。トラウマがフラッシュバックします」
ここは王国貴族の屋敷である。東京ドーム並みの広さを誇るが、戦争前の王国は忙しく、現在は5人の人間しか生活をしていない。
「まあ、そう言うなってぼっち君。そろそろ戦争が始まる。僕らも王国を出て、田舎町まで避難しなければならない。新天地でも君はぼっちを貫き通すのかね?」
「…………別になりたくてなってるわけではありません。ただ友達を作るためのコミュ力と、それ相応の顔面偏差値が僕には備わっていないだけです」
「ところでぼっちくん。そろそろ僕も15だし、旅に出たいと思うんだが、どうかな?」
「はなし振っといて無視ですか。…………旅とか無理に決まってるでしょ。あと1週間もすれば敵勢は攻めてきます。そんな暇どこにもありません」
「えぇ~、おもしろくないなー」
「仕方が無いですよ。僕らだってあと3年もすれば、命をかけて戦わなきゃいけない」
「あーうるさいうるさい」
「(ピン、ポーン)」
「……っと、客人がいらっしゃっておりますので、私は行きますね」
「はいはーい。頑張ってねー」
貴族の少年は退屈だった。別に旅をすることにこだわっているわけではないが、昔よく読んでいた書物の主人公のように刺激的な何かをしてみたいのである。
(本当にこの世は退屈だ)
そんなことを妄想していた少年はやることも無くなり、また読みかけの書物を開いた。
(んっ?)
「おーいぼっちくーん! 良いことを思いついてしまった!」