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きっと世界は不可思議=ミステリー=  作者: 叶 シュージ
5/8

5話

「じゃあ、話を付けてきます」

「うん、がんばって」


絶対無理だろ!? 16歳(見た目)のかわいい我が娘を、童貞のおっさん(26歳)と旅立たせるとか正気の思考回路じゃ無いわ! そんな世の中簡単じゃないことぐらい、26歳のおじさんでも知ってるんだからなっ! 勘違いスンナよっ! 

というか、今俺がこの場で消えたほうが彼女のためになるだろうか。自宅に未練なんて無いはずだが、今ではゴキブ…………Gと共存していたあのアパートが懐かしい。

ついでにうじむしさんもいたな。台所に。


ま、そろそろ優も諦めて帰ってくるだろう。仕方ない。俺のかわいい未来の嫁だから、慰めてやろう。いや別にヘンな意味じゃなくてね?


「おーい! 山下さーん」


ほら、きっと今にも泣き出しそうな顔をして帰ってくるはずさ。そうして俺はこう言ってやるんだ。

「優。俺の胸は現在、君のえぐれた傷心ユアハートのためだけに準備万端だぜ?(キリッ)」

ひゅー、かっこいいー。


「もうすぐ許可取れそうなんで、こっち来てください」


「聞いてくれガール。俺の胸は現在、夏休みの外に出た回数ぐらい、ガラッガラだぜ?(キリッ?)」


「はあ? 何言ってるんですか。売れない新人芸人ぐらい寒くて気持ち悪いんですけど」

………………………………。

「何でいきなり無言になるんですか? ていうか早くいきますよ」


「待ってくれ」


「え……?」

そうだ。俺は何をやっている。10も年の離れた女の子に手を出そうとするなんて、人間失格だ。


「優。お前に言わなきゃいけないことができた」


「えっい、いきなりなんですか? 真面目な顔になって。あぁ、新しい一発芸でも思い付いたんですか(笑)」


コレは、言うならば自分への罰なんだ。たるんでいる心を引き締めるための儀式なんだッ……。

「見て欲しいモノがある」


「も、モノですか……? それってまさか……」

「あぁ! それはもちろんry、いやこれは俺への罰だ! この罰はきっと死刑よりも重く、死ぬわけでなくとも一生俺の体に害を及ぼすだろう!」


「えぇ!? 別にそんなのしなくていいですよ!」


「いや、絶対にやる! やるったらやる! 死んでもやってやるううううううう!」


「(ゴクリ)それは何なんですか!」


「もち、腹筋100000万回!」

「絶対無理です!」


「じゃあ、ネトゲ48時間耐久!」


「確かにきついですけど、それじゃ罰にならないですよ!」


「あ、そういえばさっきしなくてもいいって言ったよね?」


「男だったら、意見を曲げない心ぐらい持ち合わせていないんですか!」


「あいにくないね。うん、まったく」


「もう、いいです! 早く行きますよ! もう、ホント時間の無駄です!」


ですよね。


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