ケーキは好きだけど
「かおる、ケーキ♡」
「ありがとママー!」
深夜に帰宅したママに飛びついた。
香り。
ケーキも食べたいけど、ママの柔らかい全部がすき。
3時過ぎの帰宅を見計らってお風呂にお湯を溜めておくのが僕のしごと。
追い炊き機能とかそんな贅沢なのうちにはないからね。
不満はないよ、ママは寝ててもいいって言うけどいつも勝手に目が覚めるんだ。
かおるのママはNo.1風俗嬢。
愛情をたっぷり受けて育ち仲の良い親子。
父親は離婚したからいない。
中学生になり性に目覚め始めたかおるは母親が性職だということを気にし始める。
大好きだけど汚らわしい。
知らない男に母親を舐めまわされるという考えにとらわれてしまう。
親友の省三くんの両親はカフェを経営しておりいつ見ても爽やか。
比較してはいけないと思うがいつしか母親に仕事をやめてほしいという想いを抱くようになる。
自分が働くから、自分が養うからと。
母親はかおるのためでもあるが自分のためにも働いていると言い張る。
天職だからと。
そのたびに一応は納得し、自分の考えを変えようとするが一時期が過ぎればまた繰り返す。
強い男になりたいと自分を変えようと奮起する。
すべては母親を真の美しい女性に目覚めさせてあげたいという一心で。
本当はもっともっとママは表に出てみんなの役に立てる超一流の女性なんだ!
かおるは一途にそう信じる。
誰がなんて言おうとも。
僕が信じてあげないと一体誰が。
風俗にくるママの客は本当のママの良さなんてちっともわかっちゃいない。
単なる道具で、都合のいい時だけ会いに来るのさ。
本当のやさしさなんかじゃない。
毎月婦人科にいくら使ってるかなんて誰も気にしないだろう。
客が来なければそんなとこに行かなくてもいいんだ。
そんな店がなければママは他の仕事をするのに。