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新しい朝が来た死亡の朝だ

 翌朝起きるとアシュリーが涎を垂らして俺の隣で気持ち良さそうに寝ていた。


 ……何か自分だけ早く起きてイラッと来るが深く考えないことにして狩りしに行こう。


「あ、あと一応ゴブリンとかオークとかその辺りの討伐依頼でもあれば受けとくか。」


 目立ちたくはないが、生活費は要る。金は持ってるが急に大金持った奴が羽振りよく動いていると妙に思われるだろうし、そのためのカモフラージュであるカジノの稼ぎも奴隷を買ったことがバレれば貯蓄がおかしいと思われる。


 それなりに働こう。さぁ行くか。


「アシュリー。起きろ。」


 揺さぶる。……凄いなこいつ。昨日あんだけ怯えてたくせにここまで警戒心なしで寝れるのか。少なくとも俺には無理だな。未だに自室でも浅くしか寝れないし人が後から来ればすぐに起きる。


「……お父さん……?」

「生憎だが俺には妻も子どももいない。」


 何言ってんだこいつ。そんなに俺とお前はそんなに歳離れてねぇだろ……せめて兄にしとけ。あ、妹の顔が思い付いてイラッと来たからやっぱ他人で。


 どうでもいいことを考えているとアシュリーは恐縮していた。


「あぅ……ごめんなさい……」

「気にするな。」


 答えとしては変かもしれんが……まぁ適当な答えが分からん。……アレ? クルルは……


「……は?」


 クルルは昨日買ったヒヨコの黄色い羽の中で何か白くてでっかい鳩の饅頭みたいな形になってた。……え? 昨日の晩に何があったの?


「クル……?」

「いや、何か? みたいな感じで言われてもな……」


 ……まぁ異世界だし、そんなこともあるよね。うん。クルルは喰われて別の鳥が来たとかじゃないよね?


 深くは考えないことにしてさっさとギルドに行くことにした。



















「……フム。何の依頼にしよっかな……とりあえず赤字決済になりたくないから……」


 消耗品なんかのことを考えて5000Gは稼ぎたいところ。……となると、【死喰い鳥討伐】とかいいかもな……


 死喰い鳥は要するにでっかいカラス。大体60㎝くらいあるみたい。殺した奴の右翼を持って来いとのこと。


「……一羽1000Gか……」


 ちょうどいい。場所は……こっから1キロ。森の中なら目立つこともないだろ。殺戮のお時間だ!


「これを受けますかね。」

「あいよ。じゃ、この書類にサインしてくれ。……それと、そこの混じり物は奴隷だろ? パーティー編成組んどくか? それともやっぱり嫌か?」

「組んどくよ。」


 嫌って……嫌な奴もいるんだろうけど……


「ほー珍しい……あぁ、帝国の奴か。じゃ、レベルに気を付けてな! まぁ、まだ2レベだし35レベまで結構あるが混じり物のレベルアップは早いからなぁ……」

「まぁ気を付けますよ。」

「混じり物ってのはすぐ裏切るからなぁ……本当に警戒しておくんだぜ? 細めにステータス開示させておかないと35になったのに気付かなかったら大変だからな~」

「気を付けますって。」


 ……何かアレだろ? 大体35レベル辺りのステータスになったら奴隷印を更新しないと奴隷印を勝手に解除するかもしれないって話だろ?

 元々、説明書はあんまり見ないタイプだが、異世界なら話は別だし、命にかかわってくる問題だからきっちり読んでるよ。


 ……だから、しつこいのはいいって。


「お! しかもにっくきあの糞猫と同じ属性か~……俺にも一発殴らせてくれよ~金なら払うぞ?」

「ひぅ……」

「……とりあえず依頼に行きたいんだが? 手続きはまだか?」

「おっと、そうだった……悪いなアンちゃん。」


 書類を確認して何かの術を掛けると仕舞った。


「よし、依頼の受領完了だ。」

「じゃ、行って来ますよ。」

「おう! なるべく怪我すんじゃねぇぞ! 上手く混じり物を盾に使って頑張ってな!」


 ……多分、この国基準では基本的には良い奴なんだろうが……何か引っ掛かりながら俺は怯えるアシュリーを連れてギルドを後にした。



















「ハハッハ……ア~ッハッハッハッハ!」


 あたーらしいあーさが来たっ! しーぼーぉのあーさーぁだ! 全員永眠してろぉ! ヒャハハハハハハ! 糧となれ!


「ご……ご主人様……」


 今、死喰い鳥カラスを宝玉で呼び寄せてそれを嘴で咥えた瞬間、体の中へと貫通させるというお仕事をしております。


 大変楽なお仕事です。笑いが止まりません。すでに目標はクリアしています。


「……チッ。こっち来んじゃねぇよ!」

「ひゃぁっ!」


 隠れていても宝玉ではなく俺らに気付く者もいる。そういうのは直接戦闘だ。無謀に突撃してくる奴らは【琨瑚こんご】の剣を使って切り殺す。


 まぁ、鳥だし、足と嘴しか武器がないから大変だよね。的が先端で来るとは……狙い目は頭しかないし……視界から外さなければそこまで危険はない。


 だが……悲鳴を上げて縮こまるアシュリーは何気に全く戦闘力にならない。まぁここまでの道案内とかが有能だし、何気に気配探知にも優れてるから役には立ってるが……まぁいいよ。


 それより、目の前の烏くんの方が重要だ。


 急降下して来たので降りて来ると思われる、頸の辺りに剣を振るう。……斬れなかった。ん~かっこ悪いなぁ……まぁ叩き落とせたし、いっか。殺せるし。


「かーらーすー何故なくのー仲間が虐殺されて悲しいから~?」


 貫くと血が迸った。その血を見ながら俺は歌う。アシュリーは俺に怯えてるのかな? それとも血に怯えてるのかな?


 そんなこと関係なしに【玉】の力で死体が処理される(何か消える前にナイフで切り取ったら右翼は残った。)のと競うようにして死骸を貪るクルル(と思われるもの。※入れ替わりの可能性あり)。


 カラスの死骸って筋張ってて不味いって聞いたけどなぁ~ん~個人的に烏は鳥の中では頭いいし、好きだからあんまり虐殺はしないでおこう。


 羽は……20枚か~渡すのは7枚でいいや。こっからは別件で殺しをしよう。カラス以外で。


「まぁ来たら何でも殺すけど……」

「こ……殺さないでください! 死にたくないです!」

「……誰もお前さんを殺すとか言ってねぇよ……お! 冒険者の死体だ~! 漁ろっと。」


 死喰い烏に啄まれたのか、白骨に近い形になっていた死体を発見。めぼしいものはないかチェック。


「あ、それ危ないです!」

「ん? 何が?」

「この森の死体は、モンスターになっていることが……」


 ……それは、言うのがちょっと遅かったかなぁ? 起っきなさいましたよ?


「……どうすれば殺せるかな~?」


 起きたなら仕方ない。戦おう。そう決めたと同時にお目覚めなさったお骨様が腰の物を振り向き様に一閃。


「っとぉ!? 【玉壁展開】!」


 はっや! この骨野郎(女かも知れんが)剣筋はっや! 油断してた。危うく死ぬところだわ……こりゃ目ぇ離したらマジで死ねる。


「アシュリー! クルル持ってどっか行ってろ! 邪魔!」

「えっ!?」

「勝てんかも知れんっての! 邪魔!」


 よし、どっか行った。俺は自覚している歪んだ笑みを浮かべた。


「ハッハ……まぁ殺し直すけどな! 【玉体】!」


 俺の体に宝玉を埋め込んで身体能力を向上させてみる。これで若干俺の方が優位か……まぁ、倒し方が分からんから互角でもあるが……



 今村の【玉体】は魔力を消耗する。数値で言えば1分間に4だ。今村は今の時点で様々な【玉】の力を行使していたので残り魔力は20。つまり、大体5分以内にはこの骨を土に還す必要がある。



 とりあえず、今村は全身をぼっこぼこに殴ってみることにした。硬いが、今の【玉体】状態の今村の体なら破壊は出来る。


「ん~……どうすりゃいいのかねぇ……燃やしてみるか……? コラーゲンを失ったら骨って結構脆くなるはずだし……でも魔力がなぁ……」


 今村の魔力はこれを燃やすには足りない。大きな【炎玉】を作るとなれば魔力が10は要る。四肢の元をぶっ壊して後でとどめを刺すというのも考えたが、本体がどこなのか分からないし、仮に繋がりに意味はなく、個々に魔力で以て動いているならまさに骨折り損だ。


「……どうしたもん……うぉっ?」


 考えているといつの間にか骨が皹まみれになっていた。とりあえず流れに任せて砕いてみる。


「おっらぁっ!」


 吹き飛ばして大木に叩きつけると骨は木をへし折りつつ砕け散った。


 今村はこれでまた纏まって動きだしたら困るなぁ~と思っていたが、骨は動かなかった。


 そして、骨は【玉】に今村に近い方の足元から吸収されていく。今村はそこで確実に死んだなと思い、【玉体】を解いた。


「……思ったより、弱かった。……でもこの分じゃ明日は多分筋肉だな……動きたくない……」


 【玉体】は前に城の中で使ったら寝こんだ物だから使いたくなかったが、まぁ死んでは元も子もないので仕方ない。


 溜息をつくが、今は奴隷がいるし、看護も何とかなるだろう。そこでふと逃げた後の子どもたちが気になった。


「ん……そういやその子どもたちは……?」

「あ……えと……勝っちゃったんですか……? スケルトンナイトに……」


 気にしたところで茂みからひょっこりアシュリーとクルルが出て来た。いいタイミングだ。……っと、ん? なんか茂みの上に黒いのが乗ってる……


 クルルは骨が飛びついておそらく頭蓋骨と思われる骨の破片から喰っていく様子やアシュリーが何か変な顔して骨を見ていたが、俺はそれらを気にせずに茂みの上の黒い物体を見る。……カラスか?


「ぴぃ。」

「……カラスかな。」


 多分大木を骨ごと折り飛ばしたときにその上にあった巣をぶっ壊してしまったのだろう。


 ごめん! よし、気は済んだ。連れて帰って育てよう。魔鳥ならクルルと同じ感じでいいんだろうし、烏は好きだからいいと思う。


「……あ、アシュリー。この後、俺かなり激痛に苦しむ予定だから看病よろしく。命令だ。」

「ふぇ……? あ、はい……」


 よし、換金が終わったら風呂に入って柔軟したら速攻寝るぞ! 今回は多少無理したって感じに10枚位渡していいかな。


「よし、帰るぞ。」


 こうして今回の依頼は終了した。……が、何か別のことが忙しすぎて依頼がおまけみたいになってたなぁ……




イマムラ ヒトシ (17) 人間 男


 命力:62(前回+12)

 魔力:67(前回+18)

 攻撃力:55(前回+11)

 防御力:58(前回+3)

 素早さ:51(前回+7)

 魔法技術:88(前回+16)


 ≪技能一覧≫

 【特級技能】…【玉】

 【上級技能】…【言語翻訳】

 【中級技能】…【近接戦】【杖術】【槍術】【刀術】

 【初級技能】…【剣術】


 ≪称号一覧≫

 【異界の人】【ハンター】【軽業師】【魔物使い】【狂戦士】


【魔物使い】…育てている魔物に成長補正小

【狂戦士】…痛覚鈍化、疲労減少

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