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仲間は要りません。まぁ…

「クルルル……」

「よし、じゃあお前の名前はクルルな。で、【玉成ぎょくせい】」


 俺は何か俺が引き取った後、安心したように鳴いた声から安易な名前を付けた後、良く育つようにということで能力を行使した。

 それにより、光る球が俺の手から出て行ってクルルの体に消えていった。その上、感覚的にずっと作用している感がある。


「……まぁある程度育ったら回収すればいいし。それはそれとして宿屋を探さないとな。」


 でもこう割り切る事にして進もうとしたところで何か変なのに絡まれた。


「ようよう兄ちゃん。さっき見てたが今、懐が温けぇだろ? 俺らにもその温かさを分けてくんねぇがっ……」


 口上は無視、ヒヨコは降ろしました。ということで始めましょう。相手は4人。ははっ懐かしいな……中学の時授業中にうるさいって言ったらその五月蠅かった奴等が逆恨みで呼び出してきたことを思い出す……


 あの時は到着と同時に問答無用でパイプで殴ったなぁ……


「てめっ……」


 最初の男の何かの皮の鎧をこの世界に来て補正されている力でぶち抜いて昏倒させる。

 その男の近くにいた男は最初に口上を上げた男がいきなり攻撃をされ、不意を打たれた形になったが、剣を抜いて俺に襲い掛かって来た。


 ……まぁ、ちょっと反応遅いけどね。


「【玉鉾たまほこ】!」


 俺は玉で飾られた美しい槍を出して近付かせる前に倒す。で、後ろに回っている君。別にね、鉾の刃の部分だけが武器じゃあないんだよ?


 ということで後ろに回り込んでにやり、みたいな感じのことをして息を殺しつつ俺が油断するのを待っているアホを鉾尻で突き飛ばした。


 狙ったのは胸のど真ん中、胸骨。人体の中で最も表面に出て来ている骨だ。


「うん。こっちでも同じか。」


 しっかりとした感触と骨が折れた感じに突いて俺は最後に残った男に笑いながら近づいて行った。


「く……来るがっ……」

「誘拐に監禁に暴行……まぁ相手を間違えなきゃ別にいいけど。さて、な~んか良いもんねぇかなぁ?」


 武術の達人とまではいかないが、ある程度は戦えるからとりあえず全員気絶させておいた。

 ついでに持ち物検査。何がいいものか分からんが、とりあえずキラキラしたものは持って行こう。後、武器。……っと、身分証だな……


「冒険者ギルドか……またベタな……この分じゃ城で調べてたのと実体は同じような物か。ま、分かりやすくていいんだけどね。」


 身分証代わりに宗教に染まった統治者からは嫌われているギルドでギルドカードを作りましょう。俺はクルルを抱き上げてギルドに向かった。














 ……つもりだったんだが……


「……ここどこかね?」


 迷った。人に聞いたんだが迷った。区画整理しろ! ったく……カジノは分かりやすかったのにギルドは分かり辛いなこの……


 それでも何となくさっきの奴らの印象からして見てガラの悪そうな奴がいる方に付いて行ってみたが思いっきりはずれのようだった。


 よし、もう勘に頼るの辞めてここで何かの客引きしてるおっさんに訊いてみるかな……それとも【目玉】で……そう思ってそちらを見ると目が合った。


「奴隷! 奴隷はいかがですか~? おっとそこの坊ちゃん。坊ちゃんくらいの年になると性奴隷欲しくなるでしょう? お安くしておきますよ~?」


 ……話しかける前に声を掛けられたか……目が合ってるし俺のことだよな? 人自体が少ないし、少なくとも周りにはゴツイおっさんかキツそうなおばさんしかいねぇしそうだろうが……


 一応確認。


「……俺ですかい?」

「はい! いい生地のシャツですね~奴隷市に来たなら王族貴族様御用達のうちの店が一番ですよ!?」


 ……成程、奴隷がどうこうというより目利きではあるな……貴族の物だから物は上等だしな。


 まぁそれは置いといて、入ってから見るだけ見て、良いのがなかった風を装って道を訊こう。ここでただ道を訊くのは何か気が引けるし、ってか入れオーラがスゲェし。


 ……奴隷ねぇ……この国のこの時代の奴隷は悲惨だな……まぁ現代社会にも同じ様なものはいるが……大変だよなぁ……社畜って。奴隷より家畜の方が酷いか……?


 思考が迷子になってた。頭を今の状況に戻そう。……とりあえずは勘違いしてもらってるし貴族的な感じで行こうかね。


「じゃ、ちょっと見ますか……」


 そういうことで店主に連れられて店の中に入って行った。店主のご機嫌は良さそうだ。


「はい! それではご予算の方を!」

「……200万Gくらいかな。」


 まぁ、相場は世間話で吹っかけられてるかもしれんし、大まかにしか知らんが大体庶民の生活費一年分で。日本の昭和初期の身売りの相場は大体都市の勤労者の年収の六割くらいだったし……そう考えるとちょっと多いかな?

 ま、同情はするけど金は出す気がないから買う気はない。そうだから比較的にどうでもいいんだが……


「生まれはどう……」

「どこでもいいです。」


 ってかどうでもいい。そう思いながら言うと、おっさんは俺をまずは一室に案内してくれた。

 思ったより劣悪な環境じゃない。服もまともだし部屋も割とまとも……まぁ思ってた印象が変態貴族たちの嗜虐用奴隷だしそりゃそうかな……


「かしこまりました……では、こちらはどうでしょうか? 顔は良いですし、技もあります。勿論病気等の検査などは済ませてあります。」

「なんかちょっと違うんだよな……」


 まぁ、違うも何も見えてないんだけどね。視力悪いし乱視だし。ハッハッハ。今時の若者なんてそんなもんだよ。まぁこの女がスタイルがいいのはパッと見で分かったけど。


「そうですか……それでは、こちらのはどうでしょうか? 少々幼いですが、将来性はあると思います。また、初物です。」


 1畳半程度の部屋を後にして次の部屋へと移動する。が、正直今は基本的に勇者(悪)への復讐意欲に滾っているので性奴隷はどうでもいい。


「ん~……」


 ので、この人も知らん。見えん。次行って終ろう。


「お気に召されませんか……それでは亜人奴隷、産地はスラロルブからの奴隷はいかがですか? こちらなど回復魔法が使えますので憎き亜人への恨みを晴らすのには最適かと……」


 この国の貴族ということで亜人の区画に案内してくれた。亜人の部屋は1畳ほどの狭い部屋になっている。


 ……あ、獣耳けもみみ娘だ。ファンタジーだなぁ……回復魔法か……回復か……ふむ……ちょっとだけ悩む。買う気は全くなかったんだけど……やっぱ回復魔法の使い手となると……以前、執事にやりやがったみたいに過剰回復で……ってのが……ね。


 ま、買わないけどね。復讐は俺がするものであって他人に任せるものじゃないと思うし……

 ……でも……ん~……俺が惨殺の半殺しをして、それを酷過ぎると仲間割れのようにこいつが助けに入って、回復呪文を見て安堵するあの屑どもが、回復し切ったのに回復させられて体がガタガタになって行くのもみたい気が……


「ん~……どうするか……」


 ちょっと考えてると店主の目が光ったような幻覚に囚われる。


「お気に召されましたか? 戦役従属の方が身近におられたのですね。流石高貴なる方々! あの戦争の勇士の方々であれば当然こちらの獣は勉強させていただきますよ!」


 おーおー亜人の子が怯えてる。


「……ま、考えておきましょう。他に居ませんか?」


 考えるだけなら只だしね。やっぱ買わないよ。お金大事だし。


「こちら等どうですかね? お値段がご予算よりお高くなりますが、あの憎きキルトシュベルトの遺児です! 回復能力に関しては今まで多くの嗜虐用に出回っていますが、この姿を見ればお分かりでしょう!」


 あ、流石に髪掴んで目の前に持って来られたら見える。……まぁ可愛い。


 長い髪の三角形の耳がある頭頂部が真っ黒で、毛先に行くほど淡い色合いになっている。痛みで涙目になって潤んでいる瞳は薄い赤。肌は白く、小顔で目、鼻、口が綺麗に整っている。……まぁ、今は苦痛に歪んでるけど。


 そんな少女が俺を見て怯えている。


「う……うぅ……」

「…………ん~……」

「こちら、今でしたら500万Gの所を370万Gに致しますが……」


 可愛いけどやっぱり買う気にならないなぁ……今はそれどころじゃないって気分だし……まぁ悩む振りくらいはしておいた方がいいよな……? 道案内だけってのは時間取りで気分悪くされるし……


「え~……おそらくキルトシュベルト一族の固有魔法がご心配のようですが、今回は同額で、特別に重度奴隷印を付けますので貴族様への【気配探知】と【探査魔法】の対策は万全……」

「……それは確か地形とか建物とか色々……」

「えぇ、あのキルトシュベルトが使っていた魔法ですよ。」

「よし、買おう。」


 道案内。これ大事なんだよ。……俺、強くなれるらしいからダンジョンとかにも行く気満々だし、なるべく残虐に色々するために材料を求めて旅しまくる気だからな。


 元々拷問方法は知ってるけどファンタジーだから面白いのがあるはず。


 でも旅とか行くにもこの世界の地理とか知らねぇし、さっきも道に迷うくらい元々方向音痴気味だし……まぁそれプラス過回復での演目。プラス重度の奴隷印。プラス雑用、荷物持ち。後クルルの世話とか……


 ん~復讐方法に関しては色々考えてるけど強くなる過程は結構行き当たりばったり出しなぁ……幾ら強化されてても一人じゃアレかもしれないし……


 仲間とか言って来る奴は信用ならんからここで奴隷を買うのも良いのかもしれん。


 まぁそれに、可愛いから目の保養にもなるし。視力上がるかな?


「それでしたら、奴隷印込みの値段で375万Gとなります。」

「あいよ。」


 即金で渡してやった。翠緑貨10枚セット3つと8枚を渡す。


「それでは、こちらの呪印符を浸した水をお飲みください。」


 言うがままに儀式を熟していく。そして儀式は終了した。


「これで、隷属の儀式は終了です。お売りの際はまた当店のご利用をお待ちしています。ありがとうございました!」

「ギルド行くよ。」

「ひぃっ……」


 何か怯えてるけどまぁいいや。さっさと案内しな。【目玉】で城の動きを見てると俺の葬式で全員が馬鹿にして遊んでるが、これ終わったらあの屑ども集団で飲み直しに出て来るんだよ。


 早いところ済ませたいんだ。


「こ……こちらです……」

「あ、ちょっと待った。ステータス見せて。」

「はい! ステータスクオ!」



 アシュリー・キルトシュベルト (13) 白猫人 女


 状態:重度隷属→保有者:イマムラ ヒトシ


 命力:12

 魔力:21

 攻撃力:23

 防御力:10

 素早さ:19

 魔法技術:18


 ≪技能一覧≫

 【上級技能】…【気配探知】【探査魔法】

 【中級技能】…【回復魔法】

 【初級技能】…【杖術】


 ≪称号一覧≫

 【才女】


 【才女】…ステータスに小補正。



「……アシュリー・キルトシュベルト……ねぇ……ん? どうした?」


 俺が名前を呼んだだけなのにガタガタ震えて怯えている。それにもの凄い謝罪を入れて来ている。


「ごめんなさい。生まれてきてごめんなさい。キルトシュベルトはゴミで……ゴミです。」

「……まぁ知らんけど。とりあえずギルドに連れて行け。」

「はい! すぐに!」


 アシュリーは俺を連れてすぐにギルドに向かった。




イマムラ ヒトシ (17) 人間 男


 命力:50

 魔力:40

 攻撃力:34(前回+2)

 防御力:55

 素早さ:36(前回+3)

 魔法技術:68


 ≪技能一覧≫

 【特級技能】…【玉】

 【上級技能】…【言語翻訳】

 【中級技能】…【近接戦】【杖術】【槍術】【刀術】

 【初級技能】…【剣術】


 ≪称号一覧≫

 【異界の人】


 アシュリーは父親が白猫人で母親が黒猫人です。種族として父方を名乗っていますので白猫人となってます。(根元は母譲りの黒髪ですが、父が白猫人なので色素が定着せず毛先が白くなっている感じです。)


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