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図書館到着

「……それなりに文明のありそうな町だな。」

「なの。」

「期待して入ろう。」


 いくつかの村を平和的に、いくつかの町も平和的に、時に賊を滅ぼすついでに何かを滅ぼしつつ今村たちは期待できそうな町に着いた。


「おっと、人間型か……悪いがステータスを開示させてもらうぞ?」

「えぇどうぞ。」


 相手の【目玉】を騙して今村とクルルは普通に町に入り、宿を取る。そこで宝石を渡して話を聞いた今村は笑顔になっていた。


「図書館、あるんですね?」

「あぁ。まぁ知能指数が一定以上じゃないと入れないっつー決まりはあるがな。しかもそこには魔王が求婚したって噂をするほどの美女がいるらしいぞ?」


 そんなものに興味はない。欲しいのは本だ。


「まぁ、その兄もいるらしいけどなー……その兄が強いのなんのって。最強種なんじゃないかって噂だ。」

「その辺はどうでもいいんですが、図書館は何時ごろからですか?」

「あ? ……さぁ? まだ日が高い方だから開いてるんじゃないか?」

「クルル! 部屋は任せた!」

「まかされたなの!」


 今村は宿を飛び出して【目玉】を駆使して目的地に向かう。この時間でも図書館の扉は閉まっているようだが、扉の前にある結晶に利用できない方は諦めてくださいとの文言を見て今村は手を翳した。


「よし、開いたな。」


 ひんやりとした空気が流れ出て、その匂いの中に独特の匂いが混じっているのを感じ取った今村は鳥肌を立てた。


「あー……古書とかの独特の香り……細胞が歓喜しているのか……?」


 入ると、扉は閉まった。だがそんなことは関係ないとばかりにさっさと奥へと入って行く。


「……もう、昼食の時間なのかしら……? 兄さん、いつもありがと。」

「あん? 飯か。俺は今機嫌がいいからこれやるよ。退いて。」


 目の前からまさに傾国の美少女と称するに相応しい女性が現れたが今村は無視して本の在り処へ突撃する。


「…………誰……?」

「くっはぁぁあぁ~……生き返る……あーぁ……さて、どれどれ? 分類はどうされてるのかな?」


 無視されたので無視することにした紅の髪を持つ美少女。席に戻って男から渡された食事を見る。


「……? 何、これ……」

「あー……本からエネルギーが流れ込む……私は今回復している……」


 後ろの人は変な奴らしい。透き通るような白い肌を持つ彼女は例え、目の前のそれが毒であっても術で解除すればいいと判断してそれを食べた。


「っっっ! これは……」

「魔導書か……どうなんだろ? 俺が読んでも楽しいのか? 仮説と実験、そして結果とデータの累積だったら微妙なんだが……いや、それでもないよりは数百倍いいけど。」

「あなた、これは何?」

「……干し肉。」


 今まさに読書を開始しようとした今村は目次を開け、本に落としかけた目を上げてそうとだけ告げて本の世界にダイブして行った。


「サーシャ。遅れて済まない……今食事を……」

「? この人が持って来た……」

「! サーシャ、毒だったらどうするんだ! 他人から渡された食べ物は食べるなと言っているだろ!?」


 そんな折に別の男が現れる。燃えるような赤い髪をした美男子だ。彼はこの場にいたサーシャと呼ばれる美少女から干し肉を取り上げようとして抵抗を受け、驚きの表情を浮かべる。


「サーシャ……?」

「毒があれば、自分で解毒する……これは、食べる……」

「僕の食事はどうする? 君は小食だろ? こっちも食べられるのか?」

「無理……今日はこっち……」


 もそもそと干し肉を噛み契るサーシャを見て男はそんなサーシャも超可愛いなどと思うが、心を鬼にして言い切る。


「おいアンタ! 僕の妹に何の用があってこれを渡した!?」


 サーシャには強く出れないと言い切った相手は今村だった。だが、今村は完全に自世界に没入しており、外界のことなど一切気にしない。


「聞け!」


 ガン無視。いや、本人には無視している自覚すらない。いつの間にか人が増えたことすら知らない。


「……エスカトーリュ起動術の魔学的解釈法……そんな没入して読める本じゃないだろ! 無視するなぁがっ!?」


 本に掴みかかった途端、男は天井に叩きつけられていた。何が起きたのか理解も出来ずにそのまま地面に落ちてくる男に対して今村は全く気にした様子もなくページをめくる。


「兄さん……大丈夫……?」

「あ、あぁ……一切攻撃意思を持ってなかったから、喰らっただけだ……」

「じゃあよかった……」


 天使のようだ……男はそれだけで癒された。非難がましく今村の方を睨むが相手は気付いてすらいない。


 その時だった。


「傾国の妖美姫……ご機嫌麗しゅう。」

「チッ……またここまで来られたか……! ……まさかこいつが手引きを……してないんだろうな。」


 突如として現れた謎の集団に対して臨戦態勢に入る兄妹に対して今村は我関せずと本を読む。


「ん? そっちの小僧は……まぁいい、目撃者は全員消すからな……」

「おい! そこの! こいつは魔王軍の陸軍団長ダタールだ!」


 無視。


「怯えて動けないか……ならばそこで見ているがいい。サーシャ。私の妻になるのだ。これが最後通牒。拒否するのであれば武力を以て実行する。」

「……兄さん……」

「心配するな。俺が、守る……」

「ふっ……まずはその男から殺してやろう!」


 戦端が幕を開けた。激しい剣戟のぶつかる音が図書館内に響く。また、引き連れられた軍団たちの援護が兄を苦しめた。


 だが、今村はにやにやしながら本を読み、現場の雰囲気などお構いなしでページをめくる。


「ぐぅぅうっ……流石に、厳しいな……」

「援護するわ……!」

「迎え撃ってくれる……」


 シリアスな雰囲気。無詠唱により生み出された衝撃波がぶつかり合う。斬撃が椅子や机を切り裂く。


「んー? ……もしや、貴様ら……これを庇ってるのかな!?」

「やめて!」


 不自然なまでに攻撃が行かなかった本棚側を軍団長と呼ばれた男はにやりと笑いながら見て拳を打つ。硬質的な音がしてそれは弾かれた。


「……ふぅん。」

「やめなさい……そこに、どれだけの先人たちの叡智が……」

「古ぼけた過去になど興味はない。欲しいのは君だ。……この様な図書館があるのがいけないんだな……?」


 サーシャの真剣な眼差しを受けてにたりと笑う軍団長。その隙をついたとばかりに兄が切りかかる。


「うぉぉおおぉぉっ!」

「ふっ……」

「兄さん!」


 しかし、それも虚しく空を切り、兄は一撃で沈められた。


「寝ていろ……結婚式には招待してやる……さぁサーシャ……二人を妨げる者はいなくなった……行こう。」

「何か微妙だな……ここ、司書さんとかいないのかなぁ……もっと物語系統が読みたいんだけど……」

「……【ダークサンドラ】」

「ん?」


 空気を読まずに普通に本を置きに行った今村に無粋として冷めた目で軍団長は攻撃を加えた。はた目から見るとどうしようもない一撃で今村は死んだようにしか見えない。


「……邪魔をしおっ」

「何しやがる屑……ゴミ屑か。死ね。」


 しかし次の瞬間、今村は軍団長の胴体を泣き別れにしていた。胴体を薙ぎ払った刀を一振りし、血を払うと肩にかけて呟く。


「あー……折角の本の香りが……微生物にも劣る存在の癖によぉ……」

「ぐっ……き、貴様ぁ……」

「おや、生きてた。じゃあ片付けやってね。そしたら無視位の存在として認めてやるよ。それでもまぁ社会のダニくらいかね。やったね。おめでとう。」


 そう言い残すと今村は魔王軍の総攻撃を片手間に処理しながら司書を探し始める。だんだんイライラして来たのか今村は攻撃元の一つ、ある女を踏み殺して集団を冷たい目で見た。


「しつこいな……幾ら機嫌のいい俺でも流石に皆殺しにするぞ?」


 殺気がこの場を貫く。しかしそれは一瞬のことだ。


「おっと、殺気で本棚とかがぴしぴし鳴ってる。本が傷んだら困るな……やめとくか。」

「くっ……虚仮にしおって……! だが、その余裕もすぐに崩れることになる……本物の軍団長様を前にして後悔するがいい……!」

「あ、帰ってくれるんだ。ありがと。まぁ外で会おうぜ。そしたらまともに相手するからさ。ムカつくからお前は今殺すけど。」


 偉そうな奴が殺されて驚いて撤収していく敵の軍団を見送りつつ今村は呑気にそう言って図書館を徘徊し始めた。




 イマムラ ヒトシ (17) 魔  男


 命力:10184(前回+101)

 魔力:10187(前回+98)

 攻撃力:10149(前回+56)

 防御力:10121(前回+44)

 素早さ:10102(前回+39)

 魔法技術:12200(前回+112)


 ≪技能一覧≫


  【特級技能】…【玉石】【悪魔王の方途】

 【上級技能】…【言語翻訳】

 【中級技能】…【気配察知】【複魔眼】

 【初級技能】…【奇術】【水棲】【調合】


 ≪称号一覧≫

 【不羈ふきなる悪魔王】【戦場の悪夢】【戦屍蛮行】【真玉遣い】【異界の超越者】【薬師】


 現在所持金…200万G


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