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紛争地帯で

 紛争地帯、この世界に置いて魔族と人間、また亜人などの勢力が入り乱れ日夜自らの権利を求めて争いを行っている地域。

 そこには傭兵や対人専門の冒険者などの出稼ぎの連中や一般社会には不適合なならず者、そして他に何もできないような貧困層の人々という自らこの地にやって来た者や、奴隷、誘拐、出自などからやむを得ずこの地で戦っている者たちもいる。


 そんな所に今村たちは着いた。


「……あーやっちまったなぁ……」

「なの! なの!」

「残党だー! 狩るぞー!」

「うぇ……」


 そして現在、今村たちは数百名が駐屯する一つの拠点を落とした。理由は殺気込みのムカつく歓迎を受けたのでそいつを殺し、その団を破滅させ、舐められては困ると出て来た物たちを皆殺しにしてこの有様となったのだ。


「……まぁ俺に殺気を向ける方が悪いな。アシュリーは大丈夫か?」

「はい……」


 初めての大量殺人で気分を悪くしているアシュリーのことを気遣いつつまだ諦めずにこちらを攻撃しようとする敵を【タスラム】で撃ち抜く。


「あ、悪魔め……」

「外道どもが五月蠅い。こっちはきちんと挨拶して来たのに魔術使って来たのはそっちだろうが。礼に対して武を以て返すならこっちにも考えがある。」


 賄賂もきちんと包んで渡したのに……カモだと舐めるからこんなことになるんだよ……そんなことを考えつつアシュリーには【水玉】を飲ませて落ち着かせ、周囲を見る。


「人の気配は遠ざかって行く奴らだけか……逃げる方向もバラバラだが……増援が来るかなぁ……? 身内の恥を晒すことになるからウチだったら自力で解決するけどな……」

「ざんとーがりおわったなの!」

「女子供以外は殺し終わったぞー!」


 褒めて褒めて! というノリで戻ってくるクルルとルナール。見て取れるほどのアピールに頭をしばらく撫でて今村はルナールに尋ねる。


「……そいつらは?」

「逃げた。」

「……じゃあ応援が来るかもな……面倒な……」


 ルナールの方だけ手を止めてクルルは抱えて撫で回す。死喰い烏が死者たちから何かを喰い、残された体をスライムが食べる光景の中で今村は溜息をついた。


(寄る辺がないと死ぬ奴らだからまず別の場所に行く。何があったかの説明をすると未知の危機の為に動きがある。……で、俺ら見てくれは弱そうだから新しい部隊の示威行為の生贄にしようとして……俺らに皆殺される……)


「……次からは皆殺しだぞ? 応援が来られても面倒だ。」

「えー……うーわかった……」

「人間は滅んだ群に固執するからな。ルナールたちみたいに柔軟じゃない。過去に集中して今を忘れることもざらにある。特に、子どもの時の恨みは激しいからな……面倒なことになる前に殺さないと。」

「……あんまり気は進まないなぁ……いや、やるぞ? やる! やるから!」

「……何も言ってないんだが……」


 ライオンなんかだと新しい雄が入った時に前の雄の子どもは皆殺しとか当然の義務のようにするんだがなぁ……と思っていたら何故か急にルナールに必死になって謝られたので首を傾げて撫でていたクルルを降ろす。


「なぁーのー」

「まぁ……正直この辺のやつらに急襲されても【玉壁】すら貫けないから別にいいんだけどね……」


 今村の使役しているスライムがヒューマノイド型になったらもう相手は勝てないくらいの力量差はある。人間側の魔獣や人間たちは基本的にあまり強くないのだ。


(強ければ国で抱えられるしな……ここにいる厄介な奴は戦闘狂と頭おかしい奴だけ。後は元の縄張りから追い出された弱者だけだし……ただ数が多いからなー相手するのは面倒……)


 結構殺したのにステータスはいつもの筋トレに少しプラスした程度にしか上がらない。


「怠いなー……まぁ、取り敢えず今日はこの砦の飯を強奪して割と豪華な食事を食べるか。」

「なのー!」

「…………はい……」

「うん……」


 元気なクルルとあまり元気ではないルナールとアシュリーを連れて今村は移動すると食糧庫らしき場所に移動して食事を摂った。


 その夜、今村の予測通り夜襲をかけられた。アシュリーがそれを伝えようと一室の中に入った時には今村は目を覚まし、睡眼を向ける。


「眠い……」

「あの、でも……敵に、強い方が……」

「じゃあ皆おいで……守るから……」

「ありがとうございます!」


 だが、今日は何となくどうしても眠いので今村は荷物を持って来させてアシュリーやクルル、ルナール、死喰い烏にスライムを呼び、【玉壁】に包まれた自身のベッドの中で全員二度寝させる。


「……狭い……」

「ごめんなさいなの……」

「いーよ……」


 敵に囲まれ、小屋に火を放たれる。崩落する屋根に潰されたりもしたが、【玉壁】はびくともしない。


「明日やるから……それまで……うっさいな……【双音玉】……」


 両耳付近に音を吸収する【玉】をセットした後、【金剛玉】で急所は全て保護して今村は睡眠に戻る。


「おー……近い……何かドキドキするなー」


 敵が迫って来ていること、また焼けている周辺や崩落する建物の中で様々な興奮が迫り、自身の感情がどうなっているのかよくわからないルナールたちは眠るに眠れない。


「ぅぎゅ……ご、ごしゅじんさまーくるしいなのー」

「……クルルちゃん……ご主人様……もう寝てます。」

「なの!? じゃ、クルルくるしいまんま……まぁいーなのー」

「何かズルいなー」


 しばらくの時間が経ち、崩れて燃える場所がなくなり燃え残った小屋。敵は撤去を始めて死体を確認する。


「……! いましたぜ!」

「もうちょっと待って。食後だからちょっと横になる。」

「……舐めんなぁっ!」


 今村たちはベッドに座って朝食を食べていた。食事を終えた今村だけは元々壁があった方にクルルと一緒に転がっており、アシュリーとルナールは剣戟が【玉壁】に阻まれているのを見ながら朝食の残りを摂る。


「うわー……何か凄いなー……」

「怖いですね……」


 血走った眼で壁をガンガン叩く男たち。唾などが入ったら嫌だなと思いながらアシュリーとルナールは食事を急いで摂る。


「ふぅ……あの、それでいつごろ戦いを……」

「ん? もういいの? 食休みは? 早食いしてすぐ動くと体に悪いぞ?」

「あの、大丈夫です……」

「食後にいきなりスプラッター見て吐くのは大変だぞ?」

「……では、お言葉に甘えます……」


 罵声や怒声が響く中で20分ほどの休憩を取る。そしてようやく全員が戦闘準備を揃えて立ち上がった。


「じゃ、皆死ね。」


 【玉壁】が消える。それは同時に殺戮の幕開けだった。


 殴るだけで貫く。


 蹴るだけで千切り飛ばす。


 術を使えば10人単位で死んで行き、


 刀を振るえば直線状に死山が築かれる。


「なーのなの。ごしゅじんさまとおそろいのぶきなのー」


 風を纏った拳で仕留めた相手の刀を拾って新たな相手をキル。だが、刃筋の立て方も知らないクルルからすれば斬るのではなく撲殺するのと変わらない。


「まがっちゃったなの……むずかしいの……」


 だが、それでも相手を殺すことには違いなく、旋風のように次々と相手へ襲い掛かる。そんなクルルを見てルナールも敵を見据える。


「……ルナ、迷惑かけちゃったみたいだしなーいいとこ見せないと……群れから追い出されると困るしなー」


 そう呟きつつ生み出すのは竜巻。数十メートルに上る高さで猛烈な勢いを伴い辺りを吸い上げて行く竜巻はまさに災害だ。


「あ、アシュリーちゃんが! あるじが助けたかー……ヤバいぞ。ルナ、怒られそう……どうしよ……と、とにかく頑張るぞー!」

「ザケんな。」

「あうっ!」


 竜巻に飲まれかけていたアシュリーを空中に【玉壁】を展開させて空を駆けるようにして救った今村はそのままの勢いでルナールに拳骨を落とす。


「すぐに消せ。」

「わ、わかった。ごめんなさい……」

「……謝ればいいと言う問題でもない気がするが……まぁ被害者アシュリーにその辺は任せる。取り敢えず……」

「今村ぁ……お前、生きてたのか……!」


 ゴミ掃除は終わった。そう言おうとしたところに10人ほどの人影が見られる。


「おやおや……粗大ごみを片付け忘れていたか……」


 その中心にいたのは、王城で見たことのある人物だった。




イマムラ ヒトシ (17) 魔人 男


 命力:3643(前回+7)

 魔力:5669(前回+8)

 攻撃力:6107(前回+9)

 防御力:4031(前回+5)

 素早さ:4149(前回+8)

 魔法技術:5474(前回+10)


 ≪技能一覧≫


  【特級技能】…【玉】

 【上級技能】…【言語翻訳】【大魔導術】【総合戦闘術】【王氣術】

 【中級技能】…【気配察知】【悪魔の御業】【複魔眼】

 【初級技能】…【奇術】【水棲】【総耐性】【調合】


 ≪称号一覧≫

 【大魔導師】【真玉遣い】【美食の悪食王】【異界の者】【闇夜の虐殺者】【超理者】【魔物統者】【破壊の奇行師】【魔闘氣武王】【英雄殺し】【薬師】


 現在所持金…1710万G

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